八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百六話 イギリス風メイドその十
「それでもね」
「その作家さんは出過ぎなのね」
「酷過ぎる位にね」
「それでその考えが酷過ぎるのね」
「そうなんだ、だから読まなくなったんだ」
その十三巻以降はだ、その人の他の作品も含めて。
「他のライトノベルかウェブ小説読んでもいいしそれに」
「それに?」
「昔の作家さん読んでもいいしね」
そんな碌でもないとしか言い様のない本よりもだ。
「読む本は実際幾らでもあるから」
「それ現実よね」
「うん、本屋か図書館に行けば」
もうそれでだ。
「色々読む本あるから」
「その人達の本読むのね」
「シェークスピア読んだし三銃士も読んだけれど」
読破した、やっぱり文章次第で痛快なライトノベルになる内容だと思った。デュマは娯楽小説を書いていたと思う。
「そっちの方がずっといいし日本だと」
「日本の作家さんだと」
「吉川英治好きだしね」
この人は人物が爽やかだ、三国志でも曹操がかなり恰好いい。
「面白いよ」
「吉川英治ね」
「うん、もう昔の人だけれど」
亡くなって五十年以上経つ。
「この人の作品も面白いから」
「読むといいのね」
「本当にお勧めだよ」
「ふうん、そんなに面白いの」
「ストーリーは王道でね」
爽やかで熱血漢な主人公と主人公を慕う純情なヒロイン、ニヒルな感じで恰好のいいライバルと揃っていて主人公が戦いの中で成長していく。王道にしてもこの設定と展開が凄く面白いのだ。
「いいんだよね」
「そうなのね」
「だから読むと面白いよ。ただ」
「ただ?」
「長い作品は長いから」
吉川英治もそうなのだ。
「平家物語とか宮本武蔵はね」
「そんなに長いの」
「あと太平記もだね」
代表作は宮本武蔵になるだろうか。
「長いけれど主人公が爽やかでね」
「それ作家さんの趣味?」
「みたいだね、どうも」
三国志だと呂布まで純情で爽やかなところもある、貂蝉が死んで悲恋になるのはこの人からで演義では生きている。
「正義感も強かったりするし」
「何かそれって」
「そうよね」
テレサさんもモンセラさんも僕の今の話に顔を見合わせて話した。
「ライトノベルよね」
「そっちの設定よね」
「異世界に迷い込まなくても」
「異世界に入ってもそうしそうだし」
「そうだね、異世界に宮本武蔵が迷い込んでも」
吉川英治がそうなってもだ。
「爽やかに生きていくだろうしね」
「その手にある剣だけで」
「そうしていくから」
「あの人も今で言うとライトノベルかな」
今で言うとだ。
「太平記とか三国志って戦記ものだしね」
「架空戦記とか?」
「日本でよくある」
「史実通りに沿ってるけれど」
ただし人物の性格や細部の展開はかなり変えている、やっぱり爽やかだ。
「今じゃそうなるかな」
「そうなのね」
「吉川英治は今だと架空戦記書いてるかも知れないのね」
「そうかもね、逆に言えば今ライトノベルって言われてる作品も」
「未来は純文学」
「高尚なものになるのかしら」
二人もこう言った。
「そういえば源氏物語もね」
「あの作品も最初は」
「娯楽として読まれていたよ」
当時の宮廷の女の人達に熱狂的に読まれていたという。
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