夢幻水滸伝
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第八十一話 北陸の雄その九
飛騨に向かって進んだ、室生は鈴子と共に先頭を進む空船に乗っていたがその先頭から後ろにいる鈴子に言った。
「私は北陸は統一したが」
「それでもですね」
「実はそこから先はだ」
「日本統一等はですか」
「あまり考えていない」
こう言うのだった。
「すぐに加賀、越前、越中を統一出来てだ」
「越後を統一した私を迎え入れてですね」
「佐渡も手に入れられたが」
それでもというのだ。
「しかしな」
「そこまでですか」
「そう思う、野心自体がな」
「ありませんか」
「日本を統一することもな」
室生は話を続けた。
「その先のこの世界の統一もだ」
「考えられないですか」
「想像の外だ、北陸を治めることは考えられるが」
「そこから先はですね」
「想像も出来ない、だからな」
「東海との戦も」
「それに勝って東海を手に入れることも」
このことすらというのだ。
「考えられない、攻めようとは思っているがな」
「それでもですね」
「東海を治めることはな、ではな」
「もう、ですか」
「飛騨を奪われたならな」
その時点でというのだ。
「兵を戻してな」
「今後のことを考えますか」
「飛騨から来る敵は越中で止める」
まさにこの国でというのだ。
「越中を取られると我々は終わりだ」
「棟梁の加賀、能登と私の越後が断たれます」
「そうなってはな」
「はい、後は各個撃破も有り得ます」
寸断されたうえでそうされるというのだ、鈴子もこのことはすぐに考えられた。それも深刻にである。
「そうなりますので」
「だからだな」
「はい、どうしてもです」
「それは避けたいものだ」
「だから越中の守りは固めますね」
「我々の生命線になりかねない、しかしな」
「それは飛騨でどうかですね」
これからはじまる戦次第だというのだ。
「まことに」
「その通りだ、ではな」
「これからどう戦うかですね」
「それを考えていこう、それと近畿と東国だが」
室生はこの二つの地域の話もしてきた。
「どちらも勢力を急激に拡大しているな」
「はい、近畿は神星の方が二人となり」
「その二人が中心となってだな」
「勢力を急激に拡大させています」
「そうなっているな」
「そして東国も同じです」
この地域もというのだ。
「関東、奥羽そして蝦夷がです」
「急激に一つの勢力になろうとしているな」
「江戸を中心として」
「そうか、我々の敵は多いな」
「東海に加えてですね」
「近畿と東国もだ」
この二つの地域もというのだ。
「東海との戦が終わったらな」
「その後はですね」
「近畿そして東国だ」
まさにその二つの地域だというのだ。
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