クロスウォーズアドベンチャー
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第64話:強き想いは奇跡を起こす 後編
あまりにも強大過ぎる威力で、偶然ベリアルヴァンデモンをデジタルワールドに送る結果となってしまった大輔達。
インペリアルドラモンXFMとベリアルヴァンデモンが睨み合い、闇のエネルギーを吸収し続けて体はインペリアルドラモンXFM以上になり、ベリアルヴァンデモンは自身に漲る力に恍惚の笑みを浮かべた。
「クックック…素晴らしい…素晴らしい力だ…先程とは比べ物にならない程の力だ!これで貴様など…」
「ドラゴンキック!!」
ベリアルヴァンデモンが言い切る前に空中から勢い良く踵落としを叩き込み、地面に叩き付ける。
「スーパーポジトロンレーザー!!」
通常の物よりも太く強烈な光線がベリアルヴァンデモンに炸裂し、岩壁に向けて吹き飛ばした。
「おっと悪い、隙だらけだったもんでな。…さっさとかかって来いベリアルヴァンデモン。あそこまで痛めつけられてまだ調子に乗れるか乗れないのか分からないくらいお前も馬鹿じゃないだろ?」
「クククク…確かにパワーもスピードもまだまだ俺より上だな」
「ん?」
煙から出て来たのは無傷のベリアルヴァンデモンであった。
「無傷…?」
大輔が目を見開いてベリアルヴァンデモンを見つめる。
「クククク…驚いているようだな。俺は闇の力を吸収し、その力をパワーアップと自己修復能力に注いでいる。つまりお前が死に物狂いで攻撃しても俺はたちまち回復し、時間経過でパワーアップする…つまりお前は永遠に俺を倒せな…」
「インペリアルクロー!!」
「ぐあっ!!?」
ベリアルヴァンデモンが言い切る前に腕の鉄甲の爪で顔を斬り裂き、怯んだところで顔面に右拳の連打を叩き込む。
次の瞬間、インペリアルドラモンXFMの爪で斬り裂かれた部分が修復し、ダメージも癒えていく。
「成る程、確かに本当のようだ。どんどん回復してる」
「ふ…ふふふ…だから言ったろう…」
笑みを浮かべるベリアルヴァンデモンに対してインペリアルドラモンXFMも余裕を保っている。
「まあ、慌てる程でもなさそうだ。回復出来ても痛覚は健在のようだしな。はっきり言ってやろう。その程度のパワーアップじゃ俺に勝つくらいにパワーを引き上げるには数日かかるぞ」
「…っ!!」
ハッキリと言い切るインペリアルドラモンXFMに歯軋りする。
「知ってるか?生き物ってのは体は痛みに耐えられても心はそうはいかない。絶え間なく痛めつけられれば、体は無事でも心がぶっ壊れる」
拳を強く握り締めるインペリアルドラモンXFM。
次の瞬間、大きく殴り飛ばされるベリアルヴァンデモン。
「俺のエネルギーが尽きるのが先か、それともお前の腐りきった心が壊れるのが先かの勝負だな?」
「舐め…るなあ!!パンデモニウムフレ…」
「ポジトロンレーザー!!」
光線の出力を調整し、レーザーブレードにするとベリアルヴァンデモンの生体砲が本体から斬り離された。
「!?」
「ポジトロンレーザーはこういう使い方も出来るんだ。ただ単純に力を振るえばいい物じゃないぜ?」
「己ええええ!!」
「遅い!!」
殴りかかろうとするベリアルヴァンデモンの顎に強烈な膝蹴りが入り、そして怯んだ隙に拳による連続打撃を叩き込む。
「どうした!?図体が無駄にでかくなりすぎたせいでスピードがガタ落ちしてるぜ!?」
ベリアルヴァンデモンのパワー自体はどんどん上昇しているが、巨体になった影響でスピードが逆に落ちている。
強大なパワーも当たらなければ意味がないのだ。
「メルティングブラッド!!」
「おっ!?」
ベリアルヴァンデモンは滅多打ちにされながらも紅い霧を放ち、インペリアルドラモンXFMは紅い霧に包まれた。
「インペリアルドラモン!!」
「大丈夫だ!!」
目を見開く京だが、紅い霧を吹き飛ばしながら現れたのはバリアを張りながら拳を構えたインペリアルドラモンXFM。
「どりゃああああ!!」
勢いをつけた拳を横面に叩き込み、距離を取ると右腕の大砲を構えた。
「ポジトロンレーザー!!!!」
大砲から光線を連射する。
限界まで規模を絞り、威力と貫通力を極限まで引き上げた一筋の閃光がベリアルヴァンデモンの体を貫く。
しかも1発だけでなく連射だ。
「があっ!!ぐああああああ!!?」
「こいつは…耐えきれるかあ!?ギガデス!!」
周りにデジモンがいないことを確認すると、全身に風穴が開いたベリアルヴァンデモンに向けて胸部の竜顔を開き、砲門を展開するとエネルギー波を発射した。
直撃するのと同時にベリアルヴァンデモンを中心に周囲を勢い良く吹き飛ばす。
「やったか!?」
「いや、まだだ!!」
エネルギー波に飲み込まれたベリアルヴァンデモンにタケルが思わず叫んだが、ベリアルヴァンデモンはまだ生きていると感じた賢は目を細めた。
「ふ、ふはははは!!い、言った、ろ…う!!こ、こ…この程度で俺は…死なな…ぐほおっ!?」
「ふん、それでも随分と精神的に弱ってるようだな。徹底的に叩き潰す!!」
再びぶつかり合う2体。
デジタルワールドで最後の戦いが繰り広げられている中、タイキ達は次元の回廊を渡りながら、シャウトモン達、クロスハートとブルーフレアの面々…正確には最後の戦いを共にした仲間達と再会した。
「シャウトモン、まさかお前とまた一緒に戦えるなんてな!!」
「おう、大輔達はいねえが…クロスハートのメンバーは大体揃った…後は小せえ用事を済ませるだけだ」
「………」
「アカリさん?どうしたの?」
「ネネさん…私、何か…ドキドキするの…何か向こうには凄く良いことがあるような気がして…」
「良いこととは?」
「アカリさん?」
キリハとコトネが疑問符を浮かべ、タイキは一瞬きょとんとした後に笑みを浮かべた。
「まあ…アカリのこういう予感は当たるからな…もしかしたら新しい仲間が出来たりしてな…」
「ふん、俺達の眼鏡に適うような奴が向こうにいるとは思えんがな」
「まあ、とにかく行ってみよう。そろそろ抜けるようだしな…」
次元の回廊を抜けた先は先程、大輔達が抜け出した想いを具現化する世界。
「何だここは?」
「まるで玩具箱をひっくり返したような場所ですね」
キリハとコトネが辺りを見回す。
するとゼンジロウが空間にぽっかりと開いた穴に集まった人影に気付いた。
「おい、あそこに誰かいるぞ!?」
「デモ、アノ奥カラ感ジル気配ハ…!?」
「大丈夫ですか!?」
ネネが代表して倒れている及川と子供達に尋ねた。
及川は表情を歪めながらも、空間の裂け目の奥を指差しながら口を開いた。
「君達も…選ばれし…子供…なのか?頼む…デジタルワールドで戦っている子供達を助けてあげてやってくれ…」
「子供…?あ!?」
ベリアルヴァンデモンを一方的に叩きのめしているインペリアルドラモンXFMを見たタイキ達は目を見開いた。
「あれはHFMに似てる…まさか!?」
インペリアルドラモンXFMに声援を送る大輔達を発見し、ここは大輔達の時代ということに気付いた。
戦いの最中に世界中の選ばれし子供達がデジタルワールドに集結し、全員がインペリアルドラモンXFMとベリアルヴァンデモンの戦いを見守る中、インペリアルドラモンXFMは拳に全パワーを収束した。
「いい加減…くたばれええええ!!!」
「ぐおおおお!?」
顔面に全パワーを収束させた一撃を叩き込んで上半身を吹き飛ばすが、瞬く間に自己修復。
「チッ…ん!?」
舌打ちした次の瞬間、インペリアルドラモンXFMが分離、退化してしまう。
「しまっ…」
「いきなり分離して退化しちまったぞ!?」
「多分合体と進化のエネルギーが尽きたんですよ!!不味い、成長期や成熟期の状態では…」
「死ねえ!!」
ベリアルヴァンデモンが生体砲をブイモン達に向けた時。
「ビートスラッシュ!!」
「ぐおっ!?」
シャウトモンが進化し、ベリアルヴァンデモンを蹴り飛ばす。
「オメガシャウトモン!?まさか…」
ヒカリが辺りを見回すと空間の裂け目から…。
「ヒカリちゃん!!」
「アカリさん!?」
「大輔、久しぶりだな」
「タイキさん、どうして…」
「ホメオスタシスからの依頼でさ…まさか大輔達の時代に繋がってるとは思わなかったけどな…あいつは?」
タイキが起き上がるベリアルヴァンデモンを見遣りながら尋ねる。
「あいつはベリアルヴァンデモンって言って、3年前に先輩達に倒されたんですけど、自分の復活のために及川や無関係な子供達を利用したんです…」
「成る程…ダークナイトモンに匹敵するほどの外道だな。ならば遠慮は要らんな」
キリハがXローダーを取り出しながら呟く。
「よし、行くぞ!!」
「Oh Yeah!!」
タイキ達もXローダーを構え、高らかに叫んだ。
「「「「オメガシャウトモン!!ジークグレイモン!!アトラーバリスタモン!!イエーガードルルモン!!ラプタースパロウモン!!エヴォリューションクロス!!!」」」」
「シャウトモンEX6!!」
オメガシャウトモンと進化したジークグレイモン達がデジクロスし、シャウトモンEX6に。
「今度は俺達が相手だ!!覚悟しやがれ!!」
「スターモン!ピックモンズ!ジョグレス進化!シューティングスターモン!!」
シャウトモンEX6とシューティングスターモンがベリアルヴァンデモンに向かっていく。
「EX6!!ベリアルヴァンデモンは闇の力でほぼ不死身に近い状態になっている!!力押しでは倒せないぞ!!」
賢がシャウトモンEX6に叫ぶとシャウトモンEX6は余裕の笑みを浮かべた。
「だったらあの野郎の腐りきった心をバッキバキにへし折ってやるぜ!!」
「つまり、XFMと同じ戦法というわけね」
「喰らいやがれ!!」
賢がぼそりと呟くと、シャウトモンEX6がデモリッションホーンでベリアルヴァンデモンを吹き飛ばす。
「あ、あれが…未来で会ったって言う仲間…なのか…?」
「凄い軍団だな…完全体どころか究極体まで混じってるぞ…」
太一とヤマトがタイキ達と連合軍のメンバーを見遣りながら呟いた。
「クロスハートやブルーフレアだけではないよ。我々ロイヤルナイツもいる。」
「うおっ!?お前は…」
「君がこの世界の太一だね?僕はアルフォースブイドラモン…よろしく」
「アルフォースブイドラモン…お前がヒカリの言っていた別世界のアグモンなのか!?」
太一の言葉に当然反応するのはアグモンである。
「え?どういうこと?」
「成る程、君が別の世界の僕か…」
「アルフォースブイドラモンは俺じゃない俺が育てたお前なんだと……うーん、ウォーグレイモンよりもアルフォースブイドラモンの方が好みかもしれない」
「っ!?」
「ふっ」
太一の発見にショックを受けるアグモン、笑みを浮かべるのはアルフォースブイドラモン。
「うわああああん!太一の浮気者~!!僕という者がありながら~!!」
「ア、アグモーン!何だよ、ちょっと思うくらい良いじゃんかよ!!て言うかアルフォースブイドラモンは一応お前だろーっ!!」
ショックのあまりに走り去ろうとするアグモンを止める太一。
一応平行世界の同一人物なのに難しいものだ。
「…何やってんのかしら?」
「放っておこう。まさかホメオスタシスから召集が来て、来てみたら並行世界に来ることになるとは…」
「マグナモン!!」
「テイルモン!!」
「久しぶりね、ヒカリ。ちょっとあんた大丈夫?随分平和ボケしちゃったんじゃない?」
「余計なお世話よ」
並行世界の自分に支えられて立ち上がるテイルモン。
「ソル・キャリバー!!」
右腕の剣でベリアルヴァンデモンの体を斬り裂く。
「リュウセイロックダマシー!!!!」
そして追撃でシューティングスターモンとの連携技を叩き込む。
シャウトモンEX6はシューティングスターモンと組んでベリアルヴァンデモンを圧倒する。
「よし、僕達のエネルギーをブイモン達に渡そう!!」
デジヴァイスを使えば、ブイモン達にエネルギーを譲渡することも可能なはずだ。
アグモンの言葉に太一達は頷いてデジヴァイスをブイモン達に向けた。
日本の選ばれし子供達の行動を見た外国の選ばれし子供達もデジヴァイスをブイモン達に向けた。
「みんなの力が流れ込んでくる…」
「力が戻ってくる…」
「力を取り戻してあの方と共闘すれば確実にベリアルヴァンデモンに勝てるはずです!!」
ベリアルヴァンデモンを圧倒するシャウトモンEX6、シューティングスターモン。
そして沢山のエネルギーを吸収して復活しようとしているブイモン達。
そして世界を救う力を持つ選ばれし子供達…。
自分達には何もない。
暗黒の種を取り除くことも世界を救う力もない。
それを思い知らされる。
「もう1発。行くぜシューティングスターモン!!」
「おうよ、兄貴!!」
業火を纏わせ、シューティングスターモンを構えて突撃するシャウトモンEX6。
戦いから視線を逸らして、太一達に連れられてデジタルワールドにやって来たのり子が吐き捨てるように言った。
「やっぱり、そうなんだ……選ばれし子供達は特別なんだ。私達とは違う」
それは嫉妬と諦めが込められた言葉であった。
ベリアルヴァンデモンに利用された子供達は全員、“特別”に憧れていた。
大輔達のように特別な存在になりたかったのだ。
「……何を言ってるの!?」
「私達には、パートナーデジモンなんていないもの」
「戦う力も無いし、暗黒の種を取り出す事も出来ない」
「このまま、何も変わらないんだ……ずっと、重苦しい日々が続くんだ」
1人がのり子に同意すれば、他の子供達もつられていき、妬みと恨みはベリアルヴァンデモンの力となるためにデジタルワールドに。
「ん!?パワーが上がりやがった!?」
「ははは、そうだ恨め妬め!!」
子供達の負の感情を取り込んでパワーアップしたベリアルヴァンデモンは幾分か余裕を取り戻した。
「舐めるんじゃねえ!!リュウセイロックダマシー!!」
エネルギーの膜をぶち破り、ベリアルヴァンデモンを地面に叩き付ける。
「ぐっ、もっと選ばれし子供達を羨め、妬め!!お前達の負の感情が俺の糧に…」
「この陰険野郎がーーーーっ!!デモリッションホーン!!」
子供達の負の感情を利用しようとするベリアルヴァンデモンにシャウトモンEX6の一撃が炸裂した。
「チッ…何なんだあの軟弱な奴らは…」
「キリハ君…落ち着いて、みんなあなたのように強いわけじゃないのよ?」
情けない姿を晒す子供達に舌打ちをするキリハを諫めるネネ。
「あの子達は前の俺と同じだ。失敗をして挫けてしまった俺と…」
「タイキ…」
ベリアルヴァンデモンのエネルギー源と化してしまっている子供達を見てタイキは切なそうに呟いた。
「おい、お前ら!!」
大輔が子供達に向かって叫び、子供達の視線が大輔に向けられた。
「さっきから黙って聞いてれば、パートナーデジモンがいないからってなんだ!選ばれし子供がなんだ!俺はただの普通の子供だ!!」
「そんな事ないよ、デジモンがいるし……」
子供達はブイモン達を見つめ、妬みと恨みを込めた視線を大輔に向ける。
「デジモンがいるから!?正直言ってそれを除けば俺はそこら辺にいる子供だ!!」
「うん、あんた勉強大して得意じゃな…あべし!?あぎゃん!!?」
京の額に大輔の強烈なチョップ、脛に回し蹴りが炸裂し、京は痛みにのたうち回る。
「と、とにかく、デジモンは僕達がいて欲しいと思ったら、いると信じたら、必ず存在するんだ!それは、僕達に心があるのと同じように…子供には皆、夢を叶える力があるのと同じように!!」
のたうち回る京から目を逸らして子供達に言うタケル。
「そんなの、子供騙しよ!!」
「子供だろ…君も俺達も…あるだろ!?将来の夢くらい!」
そう吐き捨てるように言われた言葉に大輔が尋ねるが、子供達はそれを考えることもせずに俯く。
「将来の夢?」
「……そんなの、忘れちゃったよ」
「嘘だな、きっとあるはずだ……笑ったりしねえからさ」
「恥ずかしがる事なんてないよ」
大輔とタケルに促され、1人の子供が口を開いた。
「……じゃあ、君の夢は?」
尋ね返された大輔は一瞬目を見開くが、次の瞬間にあっさりと答えた。
「ラーメン屋、小さい時からの夢なんだ」
【え!?】
「やっぱり大輔君、ラーメン屋さんになるんだね…ケーキ美味しかったのに…」
京はオーバーリアクションを取り、タケルは肩を落として大輔の方を見た。
ヒカリはやっぱりそうだったかと肩を落とした。
「ヒカリちゃんが食べたいならケーキくらい何時でも焼いてやるよ。ヒカリちゃんのためならさ」
「大輔君…!!」
「大輔、ヒカリさん。惚気なら余所でやるように」
甘い雰囲気を漂わせる2人に賢がそうツッコむ。
「こほん、僕は…刑事か警察になろうと思う。デジモンカイザーとしての経験があるから…ね…ヒカリさんは無いの?」
「私?私は幼稚園の先生になりたいの!小さな子供達と一杯触れ合いたいから!!」
ヒカリの夢を聞いたのり子が口を開いた。
「そう…実は私も幼稚園の先生になりたかったの…」
「へえ、いい夢じゃないか。他のみんなは夢は無いのか?まあ、無いなら後で見つければいいし」
「僕、野球選手!」
大輔に尋ねられ、少年が声を上げて夢を言った。
「……私、本当はケーキ屋さんになりたいの」
「漫画家になりたいって言った時、みんなに笑われて諦めていたけど……」
「そうだ、なりたいものがあったのに、いつの間にかそれは考えちゃいけない事だと思ってた……でも、違うんだね!」
「何で一々他人に言われて諦めなきゃいけないんだよ?そんなの損じゃねえか」
大輔が溜め息を吐きながら言うとヒカリはタケル達に向き直る。
「タケル君達はないの?」
「うーん、僕達の冒険を色んな人達にいつか知って欲しいと思ってるから小説家かな?」
「僕は…まだ分かりません。でもいつか、夢を見つけてそれを実現させる。それが今の僕の夢です。」
タケルと伊織がそう言うと京は胸を張りながら口を開いた。
「私の夢はお母さんよ」
【へ?】
京の夢に全員が目を見開いた。
「女の子の代表的な夢でしょー!?家庭をしっかり、どっしり守り、母性に溢れた素敵なお母さん!それが私の理想よ!!」
「素敵な夢ですね京さん」
「でしょー?」
「「「……………」」」
「……く…っ!!」
賢は普通に賛同したが、普段の京を良く知る大輔達からすればここまで現実と願望がかけ離れている夢はないのでは無かろうか?
沈黙していた大輔達だったが、とうとうタケルが膝をついた。
「「「タケル(君・さん)!!」」」
「うう…、何でだろう…京さんはただ将来の夢を言っているだけなのに…何でこんなにも体にかかる重圧が凄いんだ…!!くあああ…っ!!体が、体が京さんの夢で潰されるぅうううっ…!!」
「タケル君、気をしっかり持って!!」
「大丈夫かタケル!!今すぐ京の言った可能性が皆無な無謀な夢を忘れるんだ!!」
「慌てずにゆっくりと深呼吸して下さいタケルさん!!」
「あんた達…そこまで張っ倒されたいわけ?」
額に青筋を浮かべた京が低い声で言う。子供達の笑い声が響き渡った。
「…なあ、キリハ」
「ん?」
子供達の笑顔を見て、タイキも笑みを浮かべていた。
「バグラモンが言っていたようにこの時代は夢と希望に満ちてるんだな。ちょっとしたきっかけで立ち直ることが出来るくらいに…」
「ふん、まあ…俺達の時代の現代人よりはマシと言ったところか…」
タイキの言葉にキリハも苦笑しながら頷いた。
最初に見た時は腑抜けていたのに今はこんなにも夢と希望で輝いている。
「大輔さん達の時代はこんなにも夢と希望が溢れていたんですね!!」
大輔の元にコトネが駆け寄ってきた。
「あ、コトネちゃん。久しぶり…背が伸びたし、普通に話せるようになったんだな」
「はい、久しぶりです。そっちではあまり時間が経っていないようですね。こっちでは1年経ったんですよ。」
「へえ…」
子供達が希望を取り戻した事で、ベリアルヴァンデモンの体が薄くなっていく。
恐らく復活に利用した暗黒の花のエネルギーが子供達に希望が満ちたことで消滅したのだろう。
「まあ、冗談はこれくらいにしておいて…お前ら、デジタルワールドに来いよ。ほら…あんたもだ、もう立てるだろ!!」
及川の手を引いて立たせるとデジタルワールドに引き摺ると、子供達も慌ててデジタルワールドに入っていく。すると及川と子供達の足元にデジタマから生まれたばかりの幼年期デジモン達が現れる。
「悠紀夫」
「!?」
「お前は…?」
「僕、ピピモン。悠紀夫のパートナーデジモンだよ」
「俺の…パートナーデジモン…!?」
宿主であった及川まで希望を取り戻したことで最早完全に実体を保つことが出来なくベリアルヴァンデモン。
「ば、馬鹿な…」
「へっ!さっきまでの余裕綽々な面はどうしたあ!?」
「馬鹿な……この俺が、こんな子供達の光に消されてたまるものかーっ!!!」
「往生際が悪いぜベリアルヴァンデモン!王を自称するなら潔くしな!!タイキさん、みんな…力を貸してくれ!!」
「分かった!!久しぶりに…やるか!!」
エネルギーを回復し、再びデジクロスでインペリアルドラモンXFMに。
シャウトモンEX6と共にベリアルヴァンデモンの成れの果てに向かう。
【オールデジモンズ…】
「「「「ファイナルクロス!!」」」」
「「「エンシェントクロス!!」」」
シャウトモンEX6は並行世界のメンバー全員と、インペリアルドラモンXFMは全世界のパートナーデジモン達全員とデジクロスした。
「シャウトモンX7SM!!」
「インペリアルドラモンXFM、モードチェンジ!インペリアルドラモンPM!!」
2体が再び最強の姿となり、ベリアルヴァンデモンに向けて大剣と聖剣を構えた。
「さあ、終わりにしようぜ!!」
「お前には勿体なさ過ぎる一撃だ!!良く味わいな!!」
「「くたばりやがれえええええ!!」」
かつてアルティメットカオスモンすら一撃で粉砕した大剣と聖剣の一撃はベリアルヴァンデモンに断末魔の悲鳴を上げることすら許さずに消し飛ばした。
こうして3年前から続いたヴァンデモンとの決着はついた。
後書き
02最終決戦…何ですけど、ブイモン達はエネルギーを消耗しただけでダメージをあんまり受けてないです。
ベリアルヴァンデモン:復活したり、パワーアップしたり不死身化したが、それを遥かに超えるXFMとEX6のほぼサンドバック状態。
大輔達:強くなりすぎて、ベリアルヴァンデモンが不死身に近い状態にならなければすぐに終わってた。
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