酒好きなれど
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第一章
酒好きなれど
山田美鈴と林純奈は二人で純奈の神託があった名古屋に来ていた、純奈は名古屋に入るとすぐにだった。
美鈴と共に居酒屋に入って味噌カツや海老フライ、名古屋コーチンの焼き鳥にきし麺といったものを肴に日本酒を飲んだ、そうしつつ共に飲んでいる美鈴に話した。
「うちはこっちの世界では夜になるとですばい」
「飲むたいな」
「そうですたい、起きた時も好きですたいが」
それだけでなくというのだ。
「今は特にですとよ」
「それで旅の間も毎晩飲んでいるたいな」
「そうですとよ、こうして名古屋の料理ば楽しんで」
実際に心から飲んで楽しんでいる。
「そうして地元のお酒を楽しむ」
「それもたいな」
「夜の楽しみですとよ」
「それはわかったたいが」
そえでもとだ、美鈴は純奈に話した。
「この名古屋の神託とよ」
「それが何かですね」
「そうたい、果たして何か」
「それが問題ですね」
純奈もこのことはわかっていた、そのうえでの返事だった。
「まことに」
「そうたい、では明日の朝からたい」
「この名古屋の街を歩いてですね」
「神託探したい」
「左様ですね」
純奈は美鈴の言葉に頷いてだった。
この日は酒と名古屋の料理を楽しんだ、そして宿で休んだ後で二日酔いの酒を抜く為に美鈴と共に風呂に入ってからだ。
名古屋の街に出た、そこで共に街の中を歩く美鈴にこんなことを言った。
「先輩又胸が大きくなってません?」
「そう言う純奈ちゃんの方こそたい」
美鈴は自分の胸のことを言う純奈に笑って返した、名古屋の街は朝から賑やかで活気に満ちている。
「前に見た時よりもたい」
「大きくなってますか」
「そうたい、純奈ちゃんは背も高いしたい」
観れば美鈴は小柄だ、少なくとも純奈よりずっと小さい。
「雅ちゃんに負けないとよ」
「あの娘はもっと大きいですよ」
胸、それがというのだ。
「あの顔であの胸は反則ですたい」
「両方の世界で美人さんたい」
「しかも胸も大きいですから」
「反則たいな」
「まことに」
こんな話をしつつだ、二人は名古屋の街を歩きギルドにも冒険者と名乗って神託を探してみたがだった。
神託かというものはなかった、それでまた明日神託を探そうとこの日も居酒屋で飲もうという時にだった。
夕暮れの中でだ、不意にだった。
二人は繁華街の方からメイジの法衣、青いそれを着た十二歳位のスリックの男の子が自分達のところに駆けて来るのを見た。
そのスリックの男の子を見てだ、純奈は美鈴に話した。
「あの男の子かなり濡れてますね」
「法衣が水浸しとよ」
美鈴も彼を見て言った。
「青いメイジのそれがたい」
「そうですね、しかも」
ここでだ、純奈は男の子が近くまで来て匂ったのでその匂いについても話した。
「これは酒ですね」
「確かに。日本酒たい」
「子供がお酒に浸るのは」
どうかとだ、純奈はこうも言った。
「よくないですね」
「お酒は大人になってからたい」
「全くです」
「酒の窯にでも入ったたいか」
「そうかも知れないですね」
二人で子供を見つつこんなことを話しているとだ、その子が二人の前に来てこんなことを言ってきた。
「お姉ちゃん達冒険者かな」
「そうたい」
純奈は男の子に即座に答えた。
「それがどうかしたとよ」
「うん、じゃあお願いがあるんだ」
「お願い?」
「実は今周りが大変なことになってるんだ」
「何かあったたい」
「実はね」
男の子は一呼吸置いてから純奈に話した。
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