八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百一話 家庭その七
「薄くなったね」
「その縁が」
「特に食事についてね」
グループの企業の本社も神戸や大阪に集中していてだ。
「そうなったかな」
「京都の食事は高い」
留美さんはこのことを言ってきた。
「美味いものを食おうと思えば」
「それ有名だよね」
「料亭等が有名だが」
京料理のそれだ。
「かなりの値段でしかもな」
「一見さんはだね」
「お断わりだ」
そうした世界が本当にあるのだ。
「そうしたお店が多い」
「そうだよね」
「しかし義和なら」
留美さんは僕を見て言ってきた。
「大丈夫ではないか」
「いや、それはね」
「一概には言えないか」
「だからうちの家あっちと疎遠になっているから」
八条家自体がだ。
「特にお料理とはね」
「そうなったからか」
「完全に神戸や大阪になったよ」
八条家の食事、それはだ。
「もうね」
「ううむ、不思議な縁だな」
「総帥さんは大阪の味がお好きなんだ」
僕はあの人のお話をした。
「あの人はね」
「そうなのか」
「うん、好物はたこ焼きとかお好み焼きだし」
そのまま大阪の名物料理だ。
「京都に行かれても」
「料亭等には行かれないか」
「お付き合いで行かれるみたいだけれど」
このことは八条家の人全体に言えることではある、神戸と京都は新幹線ですぐの距離にあるから行き来は楽なこともあって。
「それでもね」
「あまりか」
「そうみたいだね」
「ご自身から行かれることはないか」
「総帥さんもそうだし」
「八条家の人は誰もか」
「うん、そうしたことはしないね」
それこそ何処かで食べようとするならだ。
「大阪に行くことは多いけれど」
「そこで大阪か」
「大阪は第二の拠点だから」
八条家にとってはだ。
「だからね」
「それでか」
「うん、大阪に行くことが多いよ」
「成程な」
「親父もね」
あの破天荒な親父もだ。
「京都よりもね」
「大阪か」
「食は大阪が最高とか言ってるよ」
総帥さんもそうだし八条家の多くの人もだ。
「そして最悪はね」
「それは何処だ」
「イギリスだって」
「あの国か」
「美味しいものは期待するなって言ってるよ」
イギリスに行った時はだ。
「黙ってエールかウイスキ―飲んでろって言われたよ」
「酒で誤魔化せか」
「そうね、総帥さんもね」
大阪の味がお好きなこの人もだ。
「イギリスの料理はお好きじゃないらしいし」
「クラスにイギリスからの娘がいますが」
円香さんがここで言ってきた。
「その娘が言うには」
「うん、僕のクラスにもいるからわかるよ」
八条学園にいて何人ものイギリスからの留学生の子と会って話をしてきた、そのこともあってよくわかっている。
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