八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百一話 家庭その五
「それで豆腐をよく食べたが」
「湯豆腐が出たんだね」
「南禅寺のものも有名だな」
「あれはね」
「高いがな」
その高さたるや流石京都と言うべきか。
「美味いな」
「そうらしいね」
「他の湯豆腐も美味い」
南禅寺の湯豆腐以外もというのだ。
「京都に来た時に食べるといい」
「それじゃあね」
「食べて後悔はしない」
「お豆腐でしたら」
円香さんも言ってきた、今も留美さんと一緒にいるのだ。
「幾らでも食べられますが」
「幾らでもか」
「はい、何かお豆腐をかなり食べますと」
円香さんはさらに話した。
「独特のエグ味があると聞きますが」
「それを感じたことはないか」
「湯豆腐も冷奴も」
どちらを食べてもというのだ。
「特にです」
「エグ味は感じないか」
「そうしたものがあると聞いてそうなのかと思いました」
「そうだったのか、実は私もな」
「留美さんもですか」
「感じたことはない」
お豆腐のエグ味はというのだ。
「というかそうしたものがあるのか」
「わからないですね」
「どうもな」
「僕もね」
僕もお豆腐は好きだ、特にお酒の肴としてよく食べている。親父もお酒の最高の友達の一つと言っている。
「かなり食べることが多いけれど」
「それでもだな」
「エグ味はですね」
「感じたことがないよ。あるのかな」
そのことからして疑問だった。
「そうしたものが」
「話によるとあるらしいが」
それでもとだ、留美さんは僕に返してきた。
「いいお豆腐を食べているのかもな、私達は」
「そのせいでかな」
「エグ味を感じないのかもな」
「そうなのかな」
実は冷奴五丁飲みながら食べたことがある、親父が豆腐祭りだと言ってお豆腐を大量に買って来てそうしたのだ。
それでもだ、五丁食べてもだった。
「そのお陰で」
「元々関西はお水がいいですね」
「お豆腐は特にお水が影響するしね」
「はい、ですから」
円香さんは僕に応えて言ってきた。
「関西は全体的にです」
「お豆腐が美味しくて質もいいのかな」
「そうかも知れないですね」
「そういえば軟水でお豆腐を作ると」
日本は多くの地域が軟水だ、このこともお豆腐に影響するのだ。
「柔らかくなってね」
「硬水で作ると固くなりますね」
「そうなんだよね」
だから水蓮さんが言うには日本の豆腐は固くなくてびっくりするというのだ、中国は硬水の地域が多いのでお豆腐も固いのだ。
「お豆腐は柔らかいっていうのは」
「実はそうとは限らないですね」
「むしろ日本だけで」
それでだ。
「硬水の国や地域って多いからね」
「お豆腐も固くなりますね」
「そうなるんだよね」
「私もそのことは知っているが」
それでもとだ、留美さんも言ってきた。三人で八条荘の一階のリビングのテーブルに座って話をしている。
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