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天王寺動物園にて

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第三章

「ワーウルフか」
「狼に化けていて」
「それも純粋な、な」
 ワーウルフ族は人間の姿が普通だが狼人の姿になることもなれば純粋な狼の姿になることも出来るのだ。
 それでだ、千歳も言うのだ。
「違うでしょうか、若しくは変化の術で」
「普段は獣に化けて動物園に隠れてか」
「真夜中は外に出てです」
 動物園の外つまり大坂の街にというのだ。
「悪戯をしたり暴れたりしているのでは」
「有り得るな、ではな」
「はい、それではですね」
「明日も動物園に行くしな」
 それでとだ、日毬は千歳に応えて述べた。
「ではだ」
「また明日ですね」
 こう話してだ、二人で共にだった。
 この日はお好み焼きや焼きそば等を食べ酒も飲んでから宿に入って休んだ、そしてその次の日だった。
 動物園を隅から隅まで術まで使って二人で観て回った、その結果だった。
 千歳はフェニックスのコーナーにおいてあるものを見付けた、それは一体何であったかというと。
「金色の毛ですね」
「そうだな」
 日毬は千歳が見付けたそれを見て応えた。
「間違いなくな」
「結構な長さですが」
「金髪、ではないな」
「毛ですね」
「普通に体毛に覆われた種族のものと思うが」
「少し調べてみる必要がありますね」
「そうだな」
 こうしてその毛が採取されて次は。
 二人で襲われたヤクザ者の屋敷や悪戯の現場を歩き回った、すると千歳はそうした幾つかの場所でも見付けた。
 今度も金色の毛だった、それもだ。
「同じものですね」
「動物園で見付けたな」
「髪の毛ではないです」
「明らかな毛だ」
 毛質でわかることだった。
「これはな」
「思ったのですが」
「何だ」
「はい、動物園の人達に毛を調べてもらいましょう」
 フェニックスのコーナーの前そして悪戯等の現場で見付けたそれをというのだ。
「そうしましょう」
「ではな、しかし並の者は見付けられないが」
「私はコロボックルでして」
「小さい分だけか」
「他の種族では見えにくい小さいものも見えます」
「そうだな」
「それで毛が見えましたし」
 それにと言うのだった。
「風水の術で周りの空気を清浄化しますと」
「余計によく見えるな」
「そうです、それでです」
「毛も見付けられたな」
「そうなりました、では」
「調べてもらうか」
「明日また動物園に行って」
 そうしてと話してだ、そのうえでだった。
 二人は次の日も動物園に行って動物園の人に毛を出して調べてもらった、その結果驚くべきことがわかった。
「これは鳥類それもかなり特別な種類のものです」
「特別、ですか」
「はい」
 鳥人、鳩の頭の園の研究員が話す。
「フェニックスです」
「フェニックスですか」
「その種族のもの、ですが」
 それでもとだ、研究員は二人に話した。 
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