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虫下し

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第一章

               虫下し
 滝沢研二と正宗大二郎は二人で正宗が神託を受けて試練の場所と告げられた軽井沢に来ていた、この世界でも軽井沢は観光地、保養地だが。
 軽井沢についてだ、正宗は二人でその軽井沢のレストランでステーキを食べつつ向かい側の席にいる滝沢に言った。
「何度かここには来ていまして」
「知っているな」
「それは滝沢さんもですね」
「実家から近かったからな」
 だからだとだ、滝沢は正宗に答えた。
「だからな」
「何度かですね」
「もっと言えば何度もだ」
 それこそというのだ。
「来ている」
「そうですか」
「だから僕も知っている」
 この軽井沢のことはというのだ。
「そしてだ」
「こちらの世界の軽井沢のことも」
「知っている、だからこのお店のこともだ」
「ご存知でしたか」
「一回行ったことがある」
 こう正宗に話した。
「それで懐かしい思いをしながらだ」
「召し上がられていますか」
「美味い、だがな」
「拙僧の神託は何か」
「それが気になるな」
「軽井沢と出ましたが」
「果たしてどういった神託か」
 滝沢は正宗のその顔を見て問うた。
「そこまではな」
「わからないですね」
「そうだな、ではな」
「その神託は」
「どうするか」
「それを探していきましょう」
「そうだな」
 まずはとだ、滝沢は正宗に応えた、二人でコースの中にあるステーキを食べてだった。そうしてパンもデザートも楽しんだ。そしてワインも。
 それからだ、二人で軽井沢の中を見回っていたがふとだった。
 喫茶店の外の席で紅茶を飲んでいるダークエルフの少年が二人を見てこう言ってきた。着ている服は質のいい商人の着物だ。色は地味だが絹のものだった。
「あの、お二人は冒険者でしょうか」
「はい」
 正宗が応えた。
「左様ですが」
「そうですか、ではです」
「ではといいますと」
「少しお話を聞きたいですがいいでしょうか」
 少年は正宗に優しい笑顔で言った。
「そうしてくれますか」
「冒険のお話をですか」
「駄目でしょうか」
「いえ」
「僕達の話を聞きたいのならな」
 滝沢も笑顔で述べた。
「話させてもらおう」
「そうしてくれますか、実は僕は身体を壊していまして」
 少年は二人にさらに言った。
「今はこちらで療養中でして」
「そうなのか」
「今日は体調がいいので爺やと一緒にこのお店でお茶を楽しんでいますが」
「それだけでは物足りなく」
「はい、お二人のお話を聞きたいと思いまして」
 そうしてとだ、少年は正宗に答えた。
「お声をかけさせてもらいました」
「そうですか、では」
「これからですね」
「拙僧達のお話でよければ」
「話させてもらおう」
「ではそちらの席を」 
 少年は空いている席を紹介した、そしてだった。
 二人は自分達の冒険のこと、星の者であることは出さねばならない様な話はせずにそれを話した。
少年も自分のことを話した、名は神山平蔵といい上野の大店の跡継ぎだった。だが近頃実際にというのだ。
「身体がどうもだるくて」
「そうなのですか」
「はい、その理由は脚気とのことで」
「脚気ならです」
 それならとだ、正宗はすぐに答えた。 
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