戦国異伝供書
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第二十六話 検地と刀狩りその四
「決してな」
「誰にも許しませぬな」
「その様なことは考えたこともないわ」
「ですな、では」
「そうしたこともさせぬ、あとじゃ」
信長は丹羽にさらに話した。
「九州のことじゃが」
「はい、今は攻めずとも」
「常にじゃ」
「島津家のこともあり」
「見てな」
そうしてというのだ。
「どうなっておるのかをな」
「常にですな」
「見ておくべきじゃ」
こう言うのだった。
「そして戦と政もな」
「考えるべきですな」
「うむ」
その通りだというのだ。
「常にな、攻めるとすれば数年後じゃ」
「それまではですな」
「じっくりと治める」
今の領地をというのだ。
「そうしていくぞ」
「わかり申した」
「本願寺も諸大名も降したしな」
「まさに後は九州とですな」
「伊予だけじゃ」
まさにそうした国々だけだというのだ。
「それだけとなった」
「あと一歩ですな」
「そうした時こそな」
信長はこうも言った。
「焦ってはならぬ」
「決して」
「ここで焦って九州も攻め取るとな」
「かえってですな」
「天下の政が遅れる」
そうなるというのだ。
「だからじゃ」
「焦らずに」
「じっくりと治めるぞ」
「わかり申した」
丹羽は信長に確かな声で応えた。
「城も築き」
「じっくりとな、この安土も結界にしてな」
「結界にこだわられていませぬか」
「否定せぬ、先に言ったのが理由じゃが」
「理由はですな」
「まだある」
「では」
「まだ気になっておる」
そうだというのだ。
「何かがおるとな」
「勘十郎様のことからですな」
「浅井家、幕府、本願寺とな」
「常にですな」
「わしに何かしようとするな」
「闇の者達をですな」
「感じる」
いないとは思っていてもだ。
「だからな」
「結界もですな」
「築く」
「そうされますのですか」
「安土もそうしてな」
そしてというのだ。
「大坂は安土程でもないが」
「それでもですか」
「あの城を結界にするのもな」
「それを感じられて」
「そうじゃ」
それでというのだ。
「あの城にも猿に命じてな」
「結界とさせていますか」
「江戸はよりじゃ」
家康に縄張りをさせているこの城はというのだ。
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