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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百九十八話 暑さ寒さもその六

「極端だとな」
「健康を害するのですね」
「そうなる、何度も言うが陰陽五行をだ」
「バランスよく食べてこそ」
「健康を保てる、これは現代の栄養学でも同じだが」
「古来から言われていたのですね」
「そうだ、柿は身体を冷やすので大事な時は食べ過ぎないことだが」
 これは茄子も同じだ。
「栄養は高いのでだ」
「食べ過ぎなければいいのですわね」
「そうなる、しかし大事を考えたご両親はな」
 円香さんの去年の話もするのだった。
「実に出来たご両親だ」
「他に兄にも言われましたの」
「柿を食べ過ぎるなとか」
「はい、その様に」
「お兄さんも出来た人の様だな」
「今は地元の高校に通っていますがやがては」
「神社を継がれるな」
「それでこちらの大学に進学を考えています」
 八条大学にというのだ。
「こちらの大学は神職の資格も得られますので」
「宗教学部でな」
「日本で数少ない大学ですので」
「うむ、この大学の宗教学部は素晴らしい」
 留美さんはこのことにも強い声で述べた。
「神道の神職、浄土真宗や禅宗の僧侶にな」
「神父や牧師の資格に」
「天理教の教会長の資格も得られる」
 他にはイスラムの法学者の資格も得られる様になったらしい。各宗教のそれぞれの立場にある人に来てもらって各宗教から許可を貰ってのことだ。
「実に充実している」
「ですから兄も」
「いいことだ、やはりな」
「神主になるには」
「資格が必要だからな」
「ですから今勉学に励んでいます」
「じゃあお兄さんもだね」
 僕は円香さんに笑って話した。
「受験の時には」
「今年です」
「じゃあ今年の秋は柿は」
「控えると先日メールで返事がありました」
「やっぱりそうなるんだね」
「兄も柿は大好きですが」
 それでもというのだ。
「その柿をです」
「控えてだね」
「受験に向かうとのことです」
「いいことだ、では冬はだ」
 まさに受験の季節にはというのだ、留美さんがまた円香さんに話した。
「身体を冷やさない様にしてな」
「陽のものをですね」
「食べるべきだ、例えば生姜や大蒜だ」
「そうしたものを食べるといいのですね」
「どちらも身体を暖め体力をつけてくれる」
 だからだというのだ。
「冬にいいのだ、そうしたものを食べてだ」
「身体を養って」
「勉学に励みな」
 そうしてというのだ。
「受験に挑まれるべきだ」
「兄にその様に伝えておきます」
「そうするといい、しかし円香の兄君は高校三年か」
「はい」
「私のお兄ちゃんより年下だな」
「あっ、そういえば留美さんも」
「そうだ、妹だ」
 円香さんと同じくというのだ。
「君と同じだ」
「そうでしたね」
「私のお兄ちゃんは今年就職だ、京都のお寺だが」
「そちらをですか」
「継いでな」 
「では僧職の方をですか」
「学んでいる最中だ」
 こう円香さんに話した。
「貴殿の兄上とは似た境遇だな」
「そうですね、ただ」
「ただ?何だ」
「あの、今お兄ちゃんと」
「家でいつもそう呼んでいる」
「そうですの」
「おかしいか」
 留美さんは円香さんに怪訝な顔で問い返した。 
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