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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百九十八話 暑さ寒さもその三

「食べるだろうし。夏は夏で西瓜とか桃とか葡萄食べて枇杷も好きだけれど」
「随分果物好きな親父さんだな」
「西瓜は野菜だけれどな」
「果物好きなんだな」
「うん、お酒を飲んでもね」
 果物を食べる時は甘いワインだ。
「それでもね」
「果物もか」
「それも食ってか」
「そうして楽しんでるんだな」
「それで柿もね」
 この果物もなのだ。
「大好きでね」
「それでか」
「イタリアにいても柿食うんだな」
「何かイタリアって感じしないけれどな、柿って」
「ちょっとな」
「親父柿は果物の中で一番好きっていうから」
 他には梨も好きだし蜜柑とか柑橘類もだ、林檎は新鮮でシャキシャキした歯ざわりのものが好きだ。
「食べない筈がないよ」
「そうか、そこは御前と同じか」
「親子で一緒か」
「親子で好み似ること多いけれどな」
「僕も子供の頃から食べてたし」
 それも親父と一緒にだ、親父は自分が柿を食べる時は絶対に僕にも薦めてくれた。いつも腹を冷やさない位に好きなだけ食べろと言ってくれた。
「実際親父に勧められて食べてたし」
「じゃあ親父さんの影響だな」
「どう見てもそうだな」
「親父さんに言われてか」
「それで食う様になったのかもな」
「もの心ついた時には食べてたけれど」
 それも美味しくだ。
「多分そうだね。これ西瓜とか桃もなんだ」
「そうしたのもか」
「親父さんの影響で好きか」
「うん、嫌いな果物ないけれど」
 そして甘いお野菜もだ、西瓜だけでなく苺やパイナップルもだ。
「親父と一緒に食べてたからね、いつも」
「じゃあ絶対そうだな」
「親父さんの影響だな」
「御前は柿好きなのも」
「そうだよな」
「そうだね、しかしね」
 僕はここでまた思った、何か離れていると余計にそう思えてきたことだ。
「僕は親父から何でも影響受けてるね」
「あんな女好きで遊び人でなくてもな」
「やっぱり影響受けてるんだな」
「親子だからだな」
「そうだろうね、若し今日食堂で柿出ていたら」
 デザートにだ。
「食べたいね」
「早速か」
「早速食いたいんだな」
「うん、そう思ったよ」
 実際にだ、僕はこう思ってだった。
 一限目が終わった休み時間に近くの食堂に行ってそれで食堂の前のボードに書かれている今日の特別メニューをチェックした、すると。
 お目当てのものがあった、それでやったと喜んでいると。
「どうした?」
「何かありましたの?」
 留美さんと円香さんがいた、二人一緒だった。
「食堂のメニューをチェックしておられますけれど」
「好物があったのか」
「うん、柿がね」
 僕は二人に顔を向けてすぐに答えた。
「あったからね」
「ああ、柿ですのね」
 柿と聞いてだ、円香さんは僕にこう答えた。
「わたくしもよく食べますわ」
「確か円香さん奈良出身だから」
「子供の頃からよく」
「やっぱりそうだよね」
「奈良で果物といいましたら」
「柿なんだね」
「名産ですので」
 それだけにというのだ。 
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