クロスウォーズアドベンチャー
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第27話:憤怒 後編
大魔殿の壁をぶち破って現れた大輔とインペリアルドラモンHDMは勢い良くダークナイトモンに襲い掛かる。
「俺はお前が許せねえーーーっ!!!」
「インペリアルクローーーー!!!」
ダークナイトモンに勢いよく迫り、インペリアルドラモンHDMは両前足の爪を叩き付けた。
「がっ!?」
まともに喰らったダークナイトモンが錐揉み回転しながら吹き飛ぶ。
「「大輔とインペリアルドラモン!?」」
「よう、久しぶりだなダークナイトモン。しばらく見ないうちに随分と気色悪い姿になったな。まあ、お前にはお似合いの姿だぜ?」
「ガ…ギギ…貴様…本宮大輔とインペリアルドラモン…!!」
「どうした自称絶対の王様?お前の言う王様の姿ってのは地面に這い蹲っているのがお似合いの姿のことを言うのか?」
「さっさと立てよ?それともさっきの一撃でもうグロッキーか?」
見下したような大輔とインペリアルドラモンHDMの冷たい目と声色にコンプレックスを刺激されたダークナイトモンが起き上がる。
「い、一撃を…っ、入れた位でいいいい気にっ、なるなああああ!!」
インペリアルドラモンHDMに殴りかかろうとするダークナイトモンだが、次の瞬間、脳天に凄まじい衝撃が走り、ダークナイトモンは再び地面に叩きつけられていた。
「なあ…にぃ…!!?」
「えっ?な、何が起こったの!?」
「お、恐らく、ダークナイトモンの頭に右前足を振り落としたんだと思う…」
テイルモンもウィザーモンも何が起こったのか分からないと言う表情である。
「ブラストモンも可哀想にな、後…お前に取り込まれたデジモン達も…お前に吸収されて、利用されたデジモン達…そしてお前が利用して苦しめてきたネネさんの苦しみと痛みを…たっぷりと味わいやがれっ!!インペリアルドラモン!!!」
「おうっ!インペリアルクローーーー!!!!」
「ギャアアアアアア!!!」
立ち上がる暇すら与えずインペリアルドラモンHDMが凄まじい速さで両前足を繰り出し、ダークナイトモンに反撃すら許さずに一方的に叩きのめす。
「…凄まじいな…これが夢と希望が満ちていた時代を生きていた者達と…今の我々とのポテンシャルの差か…」
「うおおおおおお!!」
「っ!!」
インペリアルドラモンHDMの左前足をギリギリでかわして顔面を殴りつけた。
「ヒッ!!…ヒヒヒヒ…ど、どうっ、だ…ブラストモンを取り込んだっ、いい今の私のっ、パワーはっ!!」
「…こんなもんか?お前のご自慢のパワーってのは?はっきり言ってブラストモン単体の方がまだ強かった…あいつの方がまだ力の使い方が分かってたな」
「っ!!?」
ダークナイトモンの渾身の一撃は見事に顔面を捉えていた。
それも完璧に、手応えさえあった。
徐々にインペリアルドラモンHDMに押し返されなければ申し分ない一撃…のはずだった。
誰もが驚愕する中、唯一バグラモンだけはその光景に動揺していない。
「(当然だな、大振りすぎてどこを狙うのかが分かり易すぎる…狙われた箇所にインペリアルドラモンの全パワーを回せば受けるダメージは小さくて済むというわけだな)」
「いくら強制デジクロスをしまくったからって、ベースになるデジモンがただの馬鹿じゃあ、ブラストモンのパワーも宝の持ち腐れってわけだな…ネネさん達が受けた痛みと苦しみを数千倍にして返してやるよ…覚悟しやがれダークナイトモン!!」
静かに憤怒の炎を燃やす大輔。
「だああああっ!!!」
今度はインペリアルドラモンHDMの左前足がダークナイトモンの横っ面に炸裂した。
「ギッ!!?」
「忠告してやるよダークナイトモン。お前は一生王にはなれない。負け続けるんだよ俺達みたいなのがいる限りなっ!!!」
「ポジトロンレーザー!!」
零距離ポジトロンレーザー。
まともにレーザーを喰らったダークナイトモンがのたうち回る。
「お前の薄汚ない腕に…胸糞悪い面にようやく攻撃することが出来るんだな!!」
「セイクリッドブレード!!!」
インペリアルドラモンHDMはダークナイトモンの腕を握り潰すと顔面に前足のブレードで裂傷を刻み、ブラストモンの体の一部が床に叩きつけられた際に砕ける。
「ヒギャアアアアア!!!!」
腕に、顔面に、体中に走る激痛に悲鳴を上げるダークナイトモン。
その凄まじい光景にウィザーモン達は息を呑む。
「何と…ダークナイトモンが一方的に…」
「どっちも最低の相手には容赦のないとこは共通ね。私はあいつとの最終決戦を思い出すわね。こっちはシリアスだけど」
「お前だけは絶対にぶっ飛ばしてやる!!お前が苦しみと屈辱を与えた奴らに代わってな!!そいつらがお前から受けてきたのは地獄程度じゃ味わえない苦しみと屈辱だぜダークナイトモン!!遠慮なく腹一杯喰らいやがれ!!!!」
大輔の怒号が玉座の間に響き渡る。
インペリアルドラモンHDMの絶え間ない猛攻を受け、地面に転がるダークナイトモンは息絶え絶えの状態であった。
「シェ、シェ、シェ…イドモオオオオン…奴を…強制デジクロスで…取り込…」
「止めておきたまえ、不完全な強制デジクロスでは逆に君が取り込まれて彼らの力の糧になるだけだ。(それ以前に強制デジクロスの時間すら与えてはくれんだろうな…)」
強制デジクロスでインペリアルドラモンHDMを取り込むことで難を逃れようとするダークナイトモンをバグラモンが制した。
インペリアルドラモンHDMはシェイドモンに向けて凄まじい殺気を放って行動を妨害していた。
シェイドモン自体の戦闘力はさほど高いわけではない上に人間のネネがベースとなっているのでインペリアルドラモンHDMに対して完全に無力である。
その気になれば一瞬でシェイドモンを気絶させることも可能だろう。
「流石のお前もこれで終わりだなダークナイトモン。俺達はお前みたいな奴に良いようにされてたのか。情けないぜ」
冷たく見下ろす大輔にダークナイトモンが口を開いた。
「さげ…すむな…」
「ああ?」
「私を…蔑むなああああっ!!」
起き上がり、殴りかかろうとするダークナイトモンだが、インペリアルドラモンHDMが殴り飛ばし、大砲から最大出力の光線を放ってダークナイトモンに直撃させた。
「あ…ああ…あああ…」
「まだ生きてんのか…耐久力だけは大したもんだな…」
「ああ、さっさと片付けてしまおう。こんな奴に時間をかけ過ぎた」
インペリアルドラモンHDMが左前足のブレードに聖なる光を纏わせ、倒れ伏すダークナイトモンに振り下ろそうとした瞬間であった。
「…出でよ、ディアボロモン」
「ギィイイイイ!!!」
バグラモンがディアボロモンを召喚し、ディアボロモンはインペリアルドラモンHDMに強烈な体当たりを喰らわせた。
「何!?」
「あ、あれはディアボロモン!?あんな奴まで…」
驚愕するテイルモン。
完全に虚を突かれたインペリアルドラモンHDMが城外に叩き出される。
大輔は重力操作がされている防護壁内にいたため無傷であるが。
一方、城外に叩き出されたインペリアルドラモンHDMを見たマグナモンは叩き出したデジモンを見て目を見開く。
「あれはディアボロモンか!?」
「ディアボロモン!?見たことも聞いたこともないデジモンだ…君はあのデジモンを知っているのかマグナモン?」
「ああ…キメラモンの次に嫌な思い出があるデジモンさ。ディアボロモンが相手では流石のインペリアルドラモンも分が悪いかもな」
「何だって?」
確かにディアボロモンからはかなりの力を感じるが、インペリアルドラモンには及ばないと思えるのだが。
「奴が厄介なのは戦闘力じゃない。俺がまだロイヤルナイツに加入する前の話だ…。ネットワーク世界に存在するバグや不正プログラムなどのカスが寄り集まって誕生したデジモンでな。凄まじいスピードで成長し、通常のデジモンには不可能な“単体増殖”によって大量のコピー体を生み出す能力を持っている。まだ未熟だったとは言え、俺の仲間は奴に良いようにやられ、奴の無数のコピーで埋め尽くした空間に誘いこまれた後にリンチにされてな。少なくても俺が知る限り、実力、性格共に最悪のデジモンの1体。俺達の戦いを見ていた人々の願いの力がなければ勝てたか分からない。ディアボロモンの一番厄介なのは何を仕出かすのか分からないところだ。」
マグナモンが当時のディアボロモンとの戦いを思い出したのか苦々しげに言う。
ディアボロモンはスピードを活かしてインペリアルドラモンHDMに攻撃している。
「チッ…ポジトロンレー…」
「ギィイイイイ!!」
何とか叩き落とそうと背中の大砲にエネルギーを込めた瞬間、背中にエネルギー弾を受ける。
「っ!?何!?」
インペリアルドラモンHDMが振り返るとディアボロモンがもう1体いた。
「隠れてやがったのか!?HDM、拡散式のポジトロンレーザーで…」
言い切る前にディアボロモンが2体から4体、更に4体から8体へと凄まじい勢いで数を増やしていく。
「ま、まずい!!早く攻撃を!!」
「ポジトロンレーザー!!」
拡散式の光線を放ち、ディアボロモンを撃ち抜こうとするが、インペリアルドラモンHDMが倒す数よりもディアボロモンの増殖スピードの方が圧倒的に早い。
気付いた時にはディアボロモンの数が30000体を超えていたのである。
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