クロスウォーズアドベンチャー
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第17話:クロスハート
レインゾーンでのダークナイトモンとの戦いから数ヶ月が経過した。
大輔達はバグラ軍に侵攻されていると言うコリドーゾーンに向かっており、コリドーゾーンの村にバグラ軍の大軍が押し寄せてきていた。
「も…もうこのコリドーゾーンも終わりだっ…!」
「バグラ軍め…このデジタルワールド全てを戦乱に巻き込むつもりか…!!」
「諦めるな!!」
岩山から姿を現したのは、大きな軍団を率いたタイキ達であった。
「全軍突撃だ!!」
大輔が指示を飛ばし、エクスブイモン達が飛び出す。
「あ…あの旗はチーム・クロスハート!!やはりこのゾーンに来ていたのか…では、あの少年が」
「工藤タイキ…!!敵方の司令官はジェネラル、工藤タイキであります御大将!!」
対するバグラ軍の大将はタクティモンである。
「敵の大将はタクティモン様ですぞ殿!!最早これまで!!拙者と共に落ち延びましょうぞ~っ!!」
「いや別にまだ何もされてないよ!!」
「落ち延びたいなら君だけでやってくれオチムシャモン!!寧ろタクティモンが今率いているのは偵察のための少数部隊、今なら奴を押さえ込めます!!」
賢がオチムシャモンにツッコミを入れ、タクティモンの部隊を分析した賢がタイキに言う。
「ああ!タクティモンさえ抑え込めば撃退出来る!行くぞ!みんな!!シャウトモン!バリスタモン!!ドルルモン!!スターモンズ!!デジクロス!!」
シャウトモン達をデジクロスさせ、シャウトモンX4にすると、スターソードによる一撃を叩き込んでタクティモンまでの道を作る。
「一撃で敵の本陣までの道が開けたっ!!」
「何という威力…!!あれがチーム・クロスハートの主力、シャウトモンX4か…!!」
「(なるほど…噂通り、あのオメガモンを彷彿とさせる姿をしているわね…)」
テイルモンとウィザーモンの横をコトネを肩車した大輔と、その横を走るヒカリの姿があった。
「コトネちゃん!!しっかり捕まってろよ!?」
「はいでち!だいしゅけしゃん!!タイキしゃんに遅れを取るなーっ!!もっとスピードアップでち!!」
「え?いいの?そんじゃあリクエストに応えて一気にスピードアップっ!!」
コトネのリクエストに応えて一気にスピードアップ。
「にょおおおおお!!?や、やっぱり普通でいいでち…」
「はいはいお姫様」
振り落とされそうになったため、必死に大輔にしがみつくコトネ。
少し涙目なのはご愛敬だ。
「もう、大輔君ったら…」
ヒカリは苦笑しながら大輔とコトネを見つめる。
「な…何、あの子!!?」
「あんな幼い子供がクロスハートに…!?」
「それに…あの2人……いや、まさか…ね…もう2人はあんな歳じゃないし…」
ウィザーモンが目を見開きながら大輔達を見つめ、テイルモンは大輔達を見て一瞬目を見開いたものの、気のせいだと言うかのように頭を振る。
「賢、待たせたな!!」
「遅いぞ大輔!ヒカリさん!!」
「ふふ、ごめんね賢君。さあ、コトネちゃん。一緒に頑張ろ?」
「コトネ!行くよっ!!」
「合点でち!!シャウトモンX4!!スパロウモン!!デチクロス!!」
「シャウトモンX5!!」
シャウトモンX4がスパロウモンとデジクロスすることで、スパロウモンの空戦能力を得た姿となる。
「エクスブイモン!!」
「スティングモン!!」
「ネフェルティモン!!」
「「「エヴォリューションクロス!!」」」
「パイルドラモンHM!!」
そしてエクスブイモン達もエヴォリューションクロスをし、パイルドラモンHMに。
シャウトモンX5はタクティモンに向かって行き、パイルドラモンHMは雑魚の殲滅に向かう。
「…ほう…また新しい力を手に入れたか、赤の少年…そしてあの少年達も…」
「行くぞタクティモン!!」
「今日こそ決着つけてやるぜえっ!!」
「…参る…!!」
シャウトモンX5の剣とタクティモンの刀がぶつかり合う。
どちらも一歩も譲らず…いや。
「バグラ軍第一の将と言われるタクティモンと互角に戦っている…!!」
「て言うか…ちょっと押してるんじゃないの…!!?」
「(スピード、パワー共にパイルドラモンと同等か…)…近頃はクロスハートと名乗っているようだな…?」
「心意気が俺達の取り柄なんでね!」
「ほう…!成る程、これだけの力を手に入れたのだ。その心意気…おさおさ侮るまいぞ。だが…この戦乱の果てに君達を待つ、真の修羅道…果たして意気だけで渡っていけるかな…?」
シャウトモンX5の剣によってタクティモンの刀が弾かれ…いや、わざと弾かれたのだ。
「剣を…!?」
「三の太刀・改、地鎚閣!!」
刀は勢い良く後方の岩山に突き刺さり、凄まじい勢いで岩がシャウトモンX5に向かって伸び、それはシャウトモンX5に直撃した。
「ぐああっ!!?」
そしてタクティモンは刀を再び手にし、シャウトモンX5に向かって突きの体勢を取る。
「鬼神突!!」
「げっ…!?」
剣で防御しようとしたが間に合わない。
衝撃で剣が吹き飛ぶ。
「やられたっ…!」
ウィザーモンとテイルモンがシャウトモンX5の敗北だと思い始めたが…少なくてもシャウトモン達の地力は以前より格段に上昇していた。
「(ムッ…!?)」
「ってててて…相変わらず効くなあ、こん畜生っ…!!」
「痛っ!痛たたっ!!ちょっ…背中痛いんですけどっ!?」
シャウトモンX5は咄嗟にスパロウモンの背を盾にすることで直撃を避けたのだ。
…いや、スパロウモンは直撃を喰らったが。
「けどっ…捕まえたあっ!!」
「ムオッ…」
「ウオオオオオオ!!メテオインパクト!!!!」
その隙にシャウトモンX5はタクティモンを捕まえると、岩に向けて吹き飛ばす。
それは岩山を突き破り、タクティモンを向こう側まで吹き飛ばした。
「あいつを吹っ飛ばした…!?」
「何という戦いだ…!」
「グムッ…(何とな…ここまでとは、彼らも着実に三元士レベルの力を手に入れつつある…!)」
「インペリアルドラゴンインパルス!!」
巨大な竜のオーラを纏って、タクティモンの部下の大半を屠るパイルドラモンHM。
「パイルドラモンHM、右だ!!」
「デスペラードブラスター!!」
パイルドラモンHMが右方向の敵に砲撃をを放って殲滅した。
「よし、数ではこっちが完全に有利になったな」
大輔がそう言いながら、シャウトモンX5の方を見遣る。
「がっはっは!どうだこら!!ようやく一矢報いてやったぜぇ!!痛ててててて!!」
「いやもうこっちは10矢分くらいやられまくってるんだけどね」
ボロボロとなったシャウトモンX5の言葉に同じくボロボロのタイキが言う。
「不景気なこと言うなよ!これから10発でも20発でもやり返してやるさ!」
「お前なあ…いい加減もう少し慎重な戦い方ってもんを…」
「ひ~ん、痛いよ~!」
シャウトモン、ドルルモン、スパロウモンがそれぞれ言うが。
「…いや…実際…」
土煙からタクティモンが姿を現した。
「大した物だ。この私が戦場で地に伏せるなど、ここ数百年来無かったことだよ。素直に感心する。」
傷をつけたのがパイルドラモンで地に伏せることが出来たのはシャウトモンX5と言うことらしい。
「ちっ…涼しい顔しやがって!俺のメテオインパクトがモロに入ったってのによ」
「…彼らのように進化の力を使わないのかね?」
それを聞いたシャウトモンX5が思わず顔を顰めた。
「(…ったく、何でそんなこと知ってんだよこいつらは…)」
「急拵えの模造品とは言え、たった一度の変化であのミレニアモンを圧倒した力だ。今使えばこの私さえも倒せると思わないかね?」
「へっ!てめえなんざ、あんな力使わなくたってなぁ…」
「うん、ぶっちゃけまだどうやって使っていいか分かんないんだあの力。大輔達に聞いても駄目だった。」
何度か進化の力を使えないかと試してみたのだが、見事に駄目であった。
普段使っている大輔達にも尋ねてみたが、彼らも感覚で使っているため分からないとのこと。
「…タイキぃ~…」
「隠しても仕方ないだろ!タクティモン!あんたは何か知らないか?バグラ軍もこの力には興味があるんじゃないのか?」
「デジタルワールドの戦乱の未来を占う要因の1つ…我が君はそう見定め、関心を払っておられる…」
「なあ…皇帝バグラモンは何でこんな戦争を続けるんだ…?単なる支配や権力を得ることがこの世界で意味があることなのか…?」
人間の世界ならともかく、デジモンの世界で支配し、権力を得てどうするつもりなのか…タイキは常に疑問に思っていた。
「一介の武人たる某の語ることではない…私は陛下のお与え下さった戦場で刃を振るうのみの男よ…さて…戦況は我が軍に不利なようだ。尻尾を巻いて逃げるとするかな。追撃してくるかね?」
「しないよそんな怖いこと!巻いた尻尾から何が出て来るか分かったもんじゃない!」
「ふ…陛下は君達の戦力がこの世界に齎す影響に興味を持っておられる。つまらん戦場で野垂れ死んでくれるなよクロスハート!」
「た…タクティモンが軍を退いていくぞ!!」
「うわーっ、正面からあいつの部隊を退けたの、これで2回目よ」
1回目はパイルドラモンが、2回目はシャウトモンX5がタクティモンを退けた。
「ちぇっ!どうにも釈然としねえ勝ち方だぜ!」
「まあ、勝ちは勝ちさ!俺達はこのゾーンを守ったんだ!(…あれ?何かこの戦場、前にもどっかで見たことがあるような…?)」
それはタイキ達がデジタルワールドに来る前に見たタイキの夢なのだが、本人はすっかり忘れていたのであった。
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