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許されない罪、救われる心

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1部分:第一話 辛い気持ちその一


第一話 辛い気持ちその一

                   許されない罪、救われる心  
                    第一話  辛い気持ち
 薄くやや上にあがった眉に黒い髪を前を下げてボブにしている。
 白い肌にやや切れ長気味の丸く見える目をしている。制服は白いセーラーにえんじ色のリボンである。赤いストライブのスカートでブラウスはピンクだ。背は一六〇程だ。
 城崎如月は今学校廊下を俯いて歩いていた。その彼女に眼鏡にロングヘアの女の子が声をかけてきた。青いブラウスに白いベストである。リボンは青である。
「また先輩に?」
「うん」
 その眼鏡の少女今村弥生に悲しい顔で頷く。
「そうなの」
「あの先輩もきついのね」
「とても厳しいっていうか」
 如月はその俯いた顔で答える。
「いじめられてるから」
「折角ラクロス部に入ったのに」
「あんな人いるなんて思わなかったから」
「そうよね。私も話は聞いてるわ」
 弥生も暗い顔で頷く。
「山崎先輩よね、三年よ」
「ええ、山崎水無先輩」
 如月はその先輩の名前も言った。
「その人」
「物凄く怖い人って」
「何かあると凄く怒るの」
 そういう人だというのだ。
「それでとんでもないトレーニング言ったり雑用とかやらせたり」
「今日もだったの?」
「今日は言われたの」
 そうだったというのである。
「死ねとかもう辞めろとか。それで」
「それで?まだ何かあったの?」
「一人で部室掃除させられて。大変だったの」
「そういうことがあったの」
「あんな先輩いるなんて思わなかったから」
 また言う如月だった。
「そんなこと」
「そうね。けれどもう少しよね」
 弥生はここで如月を励ましてきた。
「だって。部活はもう三年生引退するじゃない」
「そうなの。もうすぐだから」
「頑張ってね。それで」
「それで?」
「何かあったら私にすぐに言って」
 こう言って励ますのだった。
「そうして」
「有り難う」
「御礼はいいわよ。それよりもね」
「ええ」
「もう帰りましょう」
 今度はこう如月に話すのだった。もう校舎の中もすっかり暗くなってしまっている。その中で彼女に対してこう言ったのである。
「いても仕方ないしね」
「そうね。それじゃあ」
「帰り何処かに寄る?」
 今度はこんなことを尋ねた。
「それで何処がいいの?」
「本屋さん行かない」
 如月は弥生の励ましの言葉にその気を幾分かよくさせた。それで少しだけ微笑んで、であった。彼女に対してこう返したのだった。
「本屋さんに」
「何か買いたい本あるの?」
「あっ、本屋さんっていってもね」
「ええ」
「ブックオフよ」
 そこだというのである。青と黄色のイメージカラーがすぐに目につく古本屋のチェーン店だ。色々な街にあり様々な本が置かれている。
「そこでどう?」
「ブックオフね」
「そう、そこに行かない?」
 また言うのだった。
 
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