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クロスウォーズアドベンチャー

作者:setuna
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第4話:XローダーとD-3X

大輔は不思議そうに目の前に突然現れた少女を見つめながら尋ねる。

「えっと…お姉さんは誰ですか?どうして俺やタイキさんの名前を?」

「私は天野ネネ…どうして私があなた達のことを知っているのかと言うとあなた達のことをずっと見てたから…」

そう言うとネネは大輔とタイキの腕に自分の腕を絡ませた。

「え!?え!?」

「私…あなた達のファンなんですもの!私、戦う強い男の子が好きなの!!」

「んなあーーー!?」

「え、えーーー!?」

アカリとヒカリがネネの爆弾発言に激しく動揺する。

「あ…う…」

そして色恋沙汰に鈍感なタイキはとにかく、大輔はネネの発言と行動に赤面して硬直している。

何故なら女の子に、しかもネネのような美少女にそのようなことを言われたり、されたりした経験など皆無だからだ。

「はっ…はいはいはい。強い男の子ならここに!!江東区最強の中学生剣士!!剣ゼンジ…」

「アカリ・ドストライク!!!!」

「あひん!!?」

「ゼンジロウさん!?」

アカリの必殺技、アカリ・ドストライクと言う名の肘打ちがゼンジロウの鳩尾に炸裂し、あまりの痛みに悶えるゼンジロウに賢が駆け寄るのであった。

「あ、あの!!だ…大輔君から離れて下さい!!」

「そうよ!!ちょっとあんたいきなり馴れ馴れしいんじゃないのぉ!!?」

ヒカリは大輔の腕を掴んでネネから引き離し、アカリはタイキの前に立ちながら威嚇する。

「あらら…ごめんなさい。憧れの殿方達が目の前にいたものだからつい…本当は強い女の子も大好きなんだけどね、陽ノ本アカリさんに八神ヒカリさん。」

「へひっ!?」

ネネはアカリの顎に触れながら更に言葉を紡ぐ。

「残念だけど八神ヒカリさんはともかく、あなたには資格がないの」

「へっ…はっ…し…資格ぅ!?」

「そうそうコードクラウンの使い方だったわね。タイキ君、大輔君…コードクラウンとXローダー…そしてD-3Xだったかしら?ちょっと私に貸してもらえるかしら」

「はい」

「ほい」

大輔とタイキは戸惑うことなく、あっさりとD-3XとXローダーをネネに渡す。

「簡単に渡しちゃ駄目ーっ!!」

「易々と渡すなーっ!!」

「(…何て澄んだ赤…とても熱く…激しい…けど、潔く清々しい…潤いのある炎…こっちのは何て綺麗な青…暖かくて…全てを包み込むような…優しい光…!!いいな…いいな…!でも…2人共、私と交わるには少し澄み過ぎてるいるかも…)」

「?」

「ネネさん、どうしたんですか?」

黙ってD-3XとXローダーを見つめるネネを不思議そうに見つめるタイキと大輔。

「ううん…ただ綺麗だなって…このコードクラウンが各ゾーンの支配者の証であることは知ってるわね?そしてその持ち主は本来遠く隔てられているゾーンの間を行き来する次元の道を開くことが出来る…Xローダーにはここに差し込むけど、このD-3Xの場合は…」

D-3Xの横のスリットにコードクラウンを差し込み、大輔にD-3Xを返す。

「天に翳して言ってみて!ゾーン移動!」

「は、はい。ゾーン移動!!」

叫んだ次の瞬間に宙に穴が開いた。

「ちゅ…宙に穴が開いた!!」

「私達がデジタルワールドに来た時の穴と似てる…!!」

「…この穴は…俺達の世界に通じてるのか?」

「さぁ…それは行ってみないと分からないわね。もしその先があなた達の望むゾーンじゃなかったら…その時はそのゾーンのコードクラウンを探せばいい。いつか望みのゾーンに行き着けることもあるでしょう…それに…このデジタルワールドに散らばる全てのコードクラウンを手にした者には…デジタルワールド全ての支配者としてこの世界そのものを創り変える力が与えられると言われているわ…そうなれば何処に行くのも思いのまま…」

「ってこたぁ…そのコードクラウンを全部集めりゃ、デジタルワールドのキングになれるってことか!?」

「この世界の王になりたいと言うなら…それも1つの方法ではあるわね。けど今は多くのゾーンのコードクラウンはバグラ軍が押さえているわ。彼らとの戦いは避けられないでしょうけどね」

それを聞いたシャウトモンとブイモンは強気の笑みを浮かべた。

「へっ…!望むところだぜ!!デジタルワールドを荒らすバグラ軍をやっつけて…コードクラウンを取り戻す!上等じゃねえか!!」

「バグラ軍を倒した後はコードクラウンの力で俺達は俺達のいた場所に戻る!!」

「ふふ…期待してるわ小さなドラゴンさん達♪けど…注意してね?デジタルワールドの覇権を狙う者は他にもいる…敵はバグラ軍だけじゃないかもよ?」

「君とか?」

「もしかしてネネさんもデジタルワールドの覇権を狙ってんですか?」

「うーん、内緒!ふふっ…やっぱり2人共面白い子ね。でもコードクラウンの使い方と…強い男の子が好きってことは本当だよ?」

「「っ!!」」

ネネのその言葉にヒカリとアカリは過剰に反応した。

「出来ればずっとあなた達のファンのままでいたいな…頑張ってね大輔君!タイキ君!」

それだけ言い残して、ネネはこの場を去っていった。

「いきなり現れたかと思えばあっさり行っちゃいましたねゼンジロウさん…」

「ああ…」

賢は呆気に取られながら、ゼンジロウは残念そうに呟く。

「な、何なのあの人…いきなり現れたかと思えば、大輔君やタイキさんに抱きついたり、ファンって言ったり…」

「全くだわヒカリちゃん!!何者よあの蛇女!!勝手なことばかり言って~!!騙されちゃ駄目よタイキ!!大輔君!!いいように利用されてぼろ雑巾のように捨てられるのがオチよ!!」

「ちょ、ちょっと落ち着いて下さいよアカリさん!!」

強く肩を揺さぶられる2人は何とかアカリを落ち着かせる。

「別に嘘は言ってないんじゃないかなあの子。隠し事は色々してるみたいだったけどさ、それにまだ利用しようとしてるんじゃなくて、利用出来るか試してる感じだったし…」

因みにタイキの声はネネに届いていた。

「(鋭すぎるのは、ちょっと可愛くないかな…)」

ネネは笑みを浮かべながらそのままモニタモン達と共に茸の里から去った。

「(俺にはネネさんが無理して笑ってるように見えたけどな…何か悩みでもあるのかな?)」

「大輔君…何、ネネさんの行った方を見つめてるの?」

「へ?いや、別に…って、ヒカリちゃん…何で怒ってんの?」

「知らない!!」

「???」

そのまま距離を取るヒカリに大輔は疑問符を浮かべるしかなかった。

「タイキ殿ーっ!!」

聞き覚えのある声に振り返るとジジモン達が駆け寄ってきた。

「あっ…マッシュモン達…それにジジモン様達まで!!」

「茸の里が襲われてるって聞いて駆けつけたんだけど…」

「既に事を収めてしまった後だったとは…いやはや大した手並みですわい!!」

「いや~それほどでも~」

「ゼンジロウさんはただ見ていただけじゃないですか」

ゼンジロウの言葉に思わず賢がツッコむ。

タイキは長老に気付くとコードクラウンを見せる。

「あっ…!マッシュモンの長老様!!コードクラウン…何とか取り戻したんだけどさ…良かったらもう少し俺達に貸しておいてくれないかな」

「事情はジジモン殿から聞いた…バグラ軍に所在が知れた以上、それはお主らが持っておった方が寧ろ安全じゃろう…」

「「ただし!!」」

「ん?」

「わシュら2人をクラウンの守り人として旅に連れて行くっシュ!!」

「それがコードクラウンをお前らに託す条件っシュ!!」

「え…?」

「お前らがぁ~!?」

「おいおい、お前ら一体どういう風の吹き回しだよ?」

ブイモンがマッシュモンズに尋ねるとマッシュモンズは明後日の方向を見遣りながら説明する。

「べ…別に身を呈して里を守ってもらったことに感謝してるとか…」

「格好いいからわシュらもデジクロスしてみたいな~とか思ったわけじゃないっシュよ!?ただお前らちょっと頼りなさそうだから力を貸してやるだけっシュ!!」

「「「(素直じゃないな~)」」」

素直になれないマッシュモンズに対して思わず同じことを思ってしまった大輔達であった。

「ああ…分かったよ!頼りにしてるぜマッシュモンズ!!」

「シュ~ッシュッシュ!!よろしく頼むっシュよマイブラザー!!」

「過去のことは水に流して楽しくやるっシュ!!」

シャウトモンの肩に手を置きながら言うマッシュモンズ。

「わしらもお供しますぞタイキ殿!大輔殿!シャウトモンの想いは我ら微笑みの里者全ての願いでもある。微力ながらこの力、役に立ててくだされ!!」

「うん…!ありがとうジジモン様!!」

「なあ、ドルルモンはどうする?一緒に来るか?俺達と一緒にいれば色々なゾーンに行けるかもしれないぞ?キュートモンの親捜しだってその方が都合が良いんじゃないか?」

大輔がドルルモンに尋ねるとドルルモンは少しの間を置いて頷いた。

「そうだな…このグリンゾーンでキュートモンの親を捜すのも手詰まりになってきたし、この時世、ゾーンを渡れるチャンスもそう多くないし…悪いが次のゾーンまで便乗させてくれ」

「次のゾーンまでと言わないで私達と一緒に戦わない?あのオメガモンみたいな合体にはあんたが必要みたいだし」

「悪いなお嬢さん。俺はバグラ軍と事を構えるつもりはないんでね。それに群れるのは苦手なんだ」

「そう、分かったわ」

テイルモンが共に戦わないかと尋ねるがドルルモンは拒否した。

流石に無理強いは出来ないため、テイルモンはすぐに諦めた。

「さて…じゃあ、俺達人間のことなんだけど…」

「俺達は残りますよ。俺達が知る場所に行って、そこから帰らないと」

「そうしないとちゃんと戻れないかもしれませんから」

「分かった。アカリ!ゼンジロウ!!」

大輔とヒカリの言葉に頷くと、タイキはアカリ達に向かって口を開く。

「…タイキ…」

「あの道の先が…願い通り、俺達の世界に繋がっていたとしても…俺もうしばらくこの世界でこいつの夢に付き合ってみようと思う!その時はアカリ…」

「た…タイキ。私っ…私ね…!」

アカリが言い切るより先にタイキが口を開いた。

「一緒について来てくれないか?俺やっぱお前がいないと、どんどん無茶ばっかやっちまいそうでさ。そういう時いつもみたいにお前に止めて欲しいんだ!頼むよアカリ!!」

アカリは赤面し、タイキから顔を逸らす。

「わ…分ぁかってるわよ。最初からそのつもりだったてぇの!!ったく、面倒な性格してるんだからあんたはっ…!ったく…勝手なこと…ばっかり…!」

アカリの背後でリリモンとサンフラウモンは意味深な笑みを浮かべていた。

「「うふふふふふ」」

「…な…何よ…」

「アカリ可愛いっ!!」

「可愛い可愛い可愛~い~!!」

「何っっじゃあ~っ!!降ろせえ~っ!!」

「あー、可愛い可愛い」

「可愛いなー、もう」

リリモンとサンフラウモンに抱き付かれ、ふわふわと浮かぶアカリ。

「「「あはは…」」」

それを見ていた大輔達は苦笑しか出ないのであった。

「お…俺も行くぞタイキ!」

「ゼンジロウ!!」

「しゅ…宿命のライバルが激しい戦いに身を投じる決断をしたというのに。俺だけ1人だけおめおめと帰れるか!!」

「そっか…うん!ありがとうゼンジロウ!!」

「(剣道の話だけじゃない!!ここで引き下がれば一生こいつには勝てん気がする…!!)」

「よぉし…じゃあ、みんなで行こうっ!!デジモン達は一度XローダーやD-3Xの中に入ってくれ!!次元の道ではぐれたりしたら大変だからな!!」

XローダーとD-3Xにデジモン達を入れると、タイキが確認を取る。

「みんな、いいな!?」

「「「はい!」」」

「うん!」

「何時でも来おい!!」

「行くぞ!!」

6人の子供達は次のゾーンに繋がるゲートに飛び込む。

こうしてグリンゾーンでの戦いは終わり、子供達は新たな戦いの場へと向かう。  
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