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戦国異伝供書

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第二十三話 東国入りその八

「会津じゃ」
「会津ですか」
「あの地面に築く」
「あの地ですか」
「今は伊達家の領地じゃが」
 それでもというのだ。
「伊達家は北の。仙台の方に移してな」
「そうしてですか」
「その伊達家の抑えとしてもじゃ」
「会津にですか」
「城を築いてな」 
 そのうえでというのだ。
「東北全体の要としたい」
「東北もそうされますか」
「うむ。それと蝦夷じゃが」
 信長はこの地面のことも今から考えていた。
「天下の土台の政が落ち着くとな」
「それからですか」
 福富が聞いてきた。
「あらためて」
「蝦夷にもな」
 その地にもというのだ。
「人をやってな」
「そのうえで」
「調べてじゃ」
「政を行われますか」
「そう考えておる、あと琉球じゃが」
 この国はというと。
「攻めずにな」
「そうしてですか」
「交易を行ってじゃ」
 そのうえでというのだ。
「やっていきたい、あとその南、明の近くに嶋があると聞くが」
「その島は」
「あの島は島津家を降せばじゃ」
 その時はというのだ。
「島津家に攻めさせてな」
「そのうえで」
「治めさせるか、あの家は侍が多い」
「その侍達を養わせる為に」
「そうさせるか」
 信長はその島のことも既に考えていた。
「そして他国との交易を盛んに行ってな」
「国を治めていかれますか」
「そう考えておる、その為にな」
 今はというのだ。
「小田原に向かうぞ」
「わかり申した」
「それではですな」
「これよりあの地に向かい」
「そうして」
「小田原城を攻め落とす」
 信長は小田原も目指し軍勢を進めさせた、北条家はこれといって軍勢を出さず各城に籠城させていた。それは小田原城も同じで。
 籠城して出てこない、信長はその城を大軍で囲んで瞬く間に城も築いた。そうしてから兵糧攻めを行うが。
 小田原城を見てだった、信長は家臣達に言った。
「これで良しじゃが相手がのう」
「相模の獅子ですからな」
「北条殿も強いです」
「信玄公、謙信公とも互角に渡り合った」
「それだけの御仁なので」
「油断はならぬ」
 決してという言葉だった。
「この状況でもな」
「まだ余裕がありますな」
「この事態を打ち破らんとする」
「そうしてきますな」
「うむ、間違いなくそうしてくるからな」
 だからだというのだ。
「ここはじゃ」
「守りを固め」
「そうしてですな」
「油断せぬことですな」
「わしは城の中に様々な謀も仕掛けておるが」
 敵将の誘致等を誘っているがというのだ。 
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