八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百九十三話 アフリカの話その六
「思うに」
「そうした話も言われていますね」
「私以外の人も言っていますね」
「はい、僕も有り得ると思います」
「ただ王様の秘密を知っていて所謂ユスリをしようという人間なら」
「もうあっさり殺されますね」
どう考えてもそうなる。
「王様をゆするとか」
「秘密を知りましても」
「その時点でそうなりますね」
秘密を知った者を生かしておく訳にはいかない、創作の世界でよくある話だが現実にも絶対にある。
「王様の秘密なんて今でも国家機密ですから」
「今でもそうですね」
「我が国の皇室なんか」
「よく言われていますが」
「少なくとも古代からありますからね」
どう短く見積もっても古墳時代からある、三世紀には間違いなく存在したという。
「その間謎とかは」
「恐ろしい数になっているでしょうから」
「儀式のこととか」
「それが一番多いかと」
「そうですよね」
宮内庁の人達でもそうそう知らない様な儀式が結構あるというのは本当だろうか、それこそ歴代の天皇皇后両陛下が一子相伝みたいに伝えられているものがだ。
「そんな秘密は」
「ゆすろうとするどころか」
「知っただけで、ですね」
「危ないものもあるでしょう」
「そうですよね」
「尚皇居のプライベートな空間は首相でも自由に入られないですし」
「それ凄いですよね」
竹下元首相が昭和帝崩御の折にはじめて中に入ってご寝室を見てその質素さに驚いたという。一体どんなご寝室だったのか。
「首相ですらですから」
「勿論首相ですらです」
「知り得ないお話が多くありますよね」
「皇室には」
「そんな話知ろうとしても」
それこそだ。
「今の日本では消されないまでも」
「調べられませんね」
「そうですよね」
どう考えてもだ。
「王様、王室の秘密もそうですね」
「ブルボン家でもそうで」
「じゃあそんな秘密を知っていて」
「王様を脅迫しようとすれば」
「消されますね」
僕はその場合の結末を容易に想像出来た。
「そうなりますね」
「はい、そして実際にです」
「そうした人はですね」
「消されていたと思います、ですが」
「鉄仮面はずっと生かされていた」
「例え脅迫しようとしても」
普通なら脅迫しようと邪心を起こすどころか知った時点で殺されても普通におかしくないことを知っていてもだ。
「牢獄の中に入れられていた」
「おかしいですね」
「本当に普通なら殺されています」
僕もこう考えた。
「確実に」
「しかし牢獄に入れられているだけだった」
「そこも謎ですね」
「ルイ十四世にとって相当な方でしたね」
「殺すことが出来ない」
「そう無碍には」
流石に手紙を窓から落とした後は次にそんなことをすれば殺せと看守長が言ったらしい。けれどその看守長も自分の考えで言ったかどうか。
ページ上へ戻る