| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百九十三話 アフリカの話その四

 あらためて鉄仮面のことが気になった、それで部活の後八条荘に帰って三銃士を読んでから書斎においてだ。
 鉄仮面のことを調べた、書斎の本だけでなくネットでもだ。けれど結局謎は謎のまま誰かという確証は得られず。 
 お風呂に入った時にたまたま一緒になった小野さんに言った。
「実は今鉄仮面について調べたんですが」
「鉄仮面というとフランスの」
「はい、三銃士とも色々あった」
「仮面の男ですね」
「そうです」
 僕は湯舟の中で一緒に入っている小野さんに答えた。
「あの映画にもなってますけれど」
「王様の兄弟だったのでは」
「双子か父親が違う」
「私はそう思いますが」
「その説有力ですけれどね」
「実際は、ですか」
「本当にわかっていないです」
「王様の兄弟かどうかも」
「まあ相当な人ですよね」
 殺すに殺せない様な人物だった、当時フランスで王権神授説まで出して絶対王政を確立したルイ十四世ですらだ。
「王様も無碍に殺せないとか」
「そのことは間違いないですね」
「ルイ十四世は絶対者で」
 当時のフランスでだ。
「しかもあの人なりにフランスと王室のことを考えていましたし」
「かなり贅沢でもでしたね」
「色々やらかしてますけれどね」
 ナント勅令を廃止して商工業者に多かったプロテスタントに逃げられたり戦争ばかりしてフランスを疲弊させたりしてだ。
「それでもフランス王ならです」
「フランスの為に尽くすべきだと」
「常にそう考えていた人でしたし」
「若し鉄仮面がフランス、王室に癌なら」
「殺してましたね」
 普通の相手ならだ。
「けれどそんな人が殺せなかった」
「そうなるとですね」
「やっぱり相当な人ですよ」
 このことは間違いないと思う、自分は国家つまりフランスであるとまで言ってそのフランスの為に全力を尽くしていたルイ十四世が殺せない人ならだ。
「ちょっとやそっとの貴族でも殺してますよ」
「密かに、ですね」
「毒なり何なり使って」
 あと冤罪をふっかけての投獄だ、ルイ十四世は実際にフランスで権勢を誇っていた貴族をこの手段で失脚させてもいる。もっともこの貴族は権勢を誇って賄賂を取ったりしていたというから冤罪というよりかは事実を突き止めて失脚させたと言うべきか。
「消せますしね」
「毒は何処でもありますね」
「そうですよね」
「暗殺の手段では一般的でそれこそ」
 ここでこう言った小野さんだった。
「食べものに入れれば」
「シェフだけあって生々しいですね」
「実際にこれで暗殺したお話は多いですね」
「常ですけれどね」
 本当にどの国でもこうした話はある。
「欧州だとボルジア家が有名ですし」
「カンタレラですね」
 小野さんはボルジア家の代名詞であるこの毒を話に出した。
「あれは実はです」
「実は?」
「どうも伝え聞くところの作り方ですと」
「出来ないですか」
「その様です」
「何かそこに加えるものがあるんですね」
「相当特殊な毒薬でして」
 ボルジア家秘蔵の毒でボルジア家はこの毒で多くの政敵を消していったという。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧