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奇妙な僧正

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第二章

「全く変わって。我が宗派のものでも」
「僧正さんの形じゃないんだな」
「あの方の癖ではありません、そして寺に急に新しい僧侶が増えていて」
「その坊さん達も怪しいか」
「どうにも。よからぬことを感じまして」
「今ここに来てか」
「お話したのですが」
「基本政府としては宗教には関わらないんだがな」
 政教分離だ、太宰がそこはしっかりとしているのだ。
「犯罪の匂いがするなら別でい」
「それでは」
「おう、僧正さんのこと秘かに人を雇ってな」
「そういう形にしてですね」
「調べるな」
「はい、お願いします」
「よし、じゃあその二人を寺に参拝とかで出入りさせてな」
 そのうえでというのだ。
「調べさせてもらってな」
「まことにおかしければ」
「正させてもらうぜ」
「それでは」
 フランケンの僧侶は幸田にくれぐれもという態度で応えた、そうしてだった。
 僧侶、法名を聡明という僧侶が去った後でだ、幸田は麻友に自分達の部屋に戻って浴衣に二人で着替えてから話した。
「じゃあ明日からでい」
「弦隆寺にだね」
「入ってな」
 そうしてというのだ。
「色々調べようぜ」
「そうして僧正さんのことをね」
「確かめような」
「わかったよ、どうもこれが試練だしね」
「やっていくぜ」
「明日からね」
 こう話してだった。
 幸田はこの日は麻友と共に寝た、そして次の日だった。
 あえて普通の町人の身なりになって寺に向かった、そこで幸田は麻友の格好を見て言った。
「麻友っちはあまりな」
「変わってないかい?」
「ああ、普段の服とな」
 江戸の町娘のそれと、というのだ。
「違うな」
「いや、色々とね」
「違うのかよ」
「あたしが普段着てる服は江戸の町娘の着物だよね」
「ああ、それはな」
「今日のはこっちのだよ」
 下関の、というのだ。
「服で髪型と化粧もね」
「そういえば普段と違うな」
「あと目の色もね」
「ああ、変えてるな」
「ちょっと術で変えたんだよ」
 姿を変えるそれでというのだ。
「黒くしてお肌の色も黄色くしてね」
「吸血鬼から人間になったんだな」
「こうすれば本当にね」
「麻友っちだってわからねえか」
「そうだよ、じゃあね」
「お互いに変装したしな」
 幸田にしても傾奇者ではない、完全に猿人の町人になっている。
「じゃあな」
「この恰好でね」
「寺に入ってな」
「まずは寺のことをはじめようぜ」
 こう話してだ、そしてだった。
 二人で弦隆寺に入った、寺は山一つがそのまま寺になっており僧侶も多く平日だが参拝者もそれなりに多かった。
 様々な堂があり仏像や絵画も多い、幸田はそうしたものを麻友と一緒に観て回りながら麻友に対して言った。
「わかるよな」
「うん、坊さん達の中にね」
「怪しい奴が紛れ込んでるな」
「それも僧衣を着慣れてないね」
「そんな奴が結構いるな」
「そうだよね、これはね」
「寺の乗っ取りか?」
 幸田は目を鋭くさせて言った。 
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