クロスウォーズアドベンチャー
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第1話:知らない世界
時空の歪みに吸い込まれ、そして歪みから抜け出した大輔とヒカリは現在地面に向かって落下中であった。
「きゃあああああ!?」
「うわあああ…って、服が変わって…今はそれどころじゃねえ!!」
歪みから抜け出した瞬間、何時もデジタルワールドに入ると起こる服装の変化に気付き、大輔はデジタルワールドに来たのだと言うことに気付いたが、今はそれどころではない。
「大輔!!ど、どうすればここから出られるんだよ!?」
D-3の中で慌てるブイモンとテイルモン。
「リロードだ…」
「「え?」」
突如、頭の中に流れてきた声に大輔とヒカリは辺りを見遣るが、周りには宙に浮かぶ岩しかない。
「リロードと言い、デジモンの名を呼べ…そうすれば…」
「「リ、リロード!!」」
「ブイモン!!」
「テイルモン!!」
声に言われたように自身のパートナーデジモンの名を叫ぶと、ブイモンとテイルモンが飛び出した。
それを確認した大輔とヒカリは何時もの台詞を叫ぶ。
「「デジメンタルアップ!!」」
「ブイモンアーマー進化、燃え上がる勇気!フレイドラモン!!」
「テイルモンアーマー進化、微笑みの光!ネフェルティモン!!」
大輔は先に着地したフレイドラモンが受け止めて、ネフェルティモンは落下するヒカリを背中に乗せた。
「ふう…助かったぜ、フレイドラモン」
「ありがとうネフェルティモン」
「いや、それはいいんだけど…ここは…?」
フレイドラモンが大輔を地面に降ろすと周囲を見渡す。
「服が変わってるからデジタルワールドじゃないか?」
「あ、本当だわ」
ようやく落ち着いたヒカリは自分の服が変化していることに気付き、ここがデジタルワールドであることに気付く。
「確かにデジタルワールド…のような気はするけど、違うわ…」
「うーん、何か違和感を感じるよな」
デジモンである2体は微妙な表情で辺りを見回す。
「…良く分かんねえけど、とにかく村か何かを探さないか?無かったら、何とかしてテレビを…」
大輔が言い切る前に向こうで爆音が響いた。
「何だ!?」
向こうで何度も上がる爆炎。
それを見て大輔とヒカリは、またデジモンカイザーのような存在が現れたのかと急いで爆炎が上がっている場所に向かう。
因みに機動力の問題でフレイドラモンは即座にライドラモンにチェンジした。
「大輔君、もしかしてまたデジモンカイザーが現れたのかしら!?また、彼みたいな…」
「…それは分かんねえけど…でも、ようやく平和になったデジタルワールドを滅茶苦茶にするような奴は許さねえ!!」
目的地に向かう途中で巨大な象のようなデジモン達と出会す。
「こいつは!?」
「マンモンだわ!大輔君、あれは完全体よ!!」
マンモンがこちらに気付き、突進を仕掛けてきた。
「ライトニングブレード!!」
「カースオブクィーン!!」
完全体であるマンモンに対して真っ向からやり合っても勝てないと分かりつつも、大輔達を守るために必殺技を放つライドラモン達。
精々目眩まし程度にしかならないと思っていたのだが、意外すぎる展開が起きた。
2体の必殺技を受けたマンモンが悲鳴を上げ、消滅したのだ。
「「え?」」
目を見開く大輔とヒカリ。
今まで完全体を相手にしてきたが、一撃で倒せたことなど一度も無かったからだ。
「今ので完全体を倒したの…か…?」
「お、おかしいわ。マンモンは見た目通り、完全体の中でも相当タフなデジモンのはずよ…なのにどうして…?」
かつてヴァンデモンの手下として同じヴァンデモンの手下であったマンモンを見たことがあるネフェルティモンが困惑したように呟く。
「ニ、人間ノ子供ガ更ニ2人!?アッチニモ子供ガ3人イルシ、ドウスレバイインダ!?」
「お前らか!?ここで暴れてんのは!?折角平和になったデジタルワールドを荒らすってんなら俺は許さねえ!!」
大輔が怒りを露わにすると仮面を着けたようなデジモンが慌てて銃を構えた。
「ブルーサンダー!!」
「ロゼッタストーン!!」
即座にライドラモンとネフェルティモンが必殺技を放って一気に数体薙ぎ倒す。
「どうして完全体を倒せるのか分からないけど今は好都合だ!!」
「ええ、このまま一気に全滅させるわよ!!」
多少の疑問を抱きながらも、ライドラモンとネフェルティモンは圧倒的な強さで敵を倒していく。
「サンダーボルト!!」
特に、広範囲を攻撃出来る技を持つライドラモンはネフェルティモンより早いペースで撃破数を増やしていく。
「ライドラモン、後ろよ!!」
しかし、数が多過ぎるためか、ライドラモンは背後をタンクモンに取られてしまった。
ネフェルティモンが慌てて叫ぶが間に合わない。
「しま…っ」
「ラウディロッカー!!」
赤い蜥蜴のようなデジモンがスタンドマイクでタンクモンを殴り飛ばした。
「お前は…」
「よう、大丈夫か?お前らもバグラ軍と戦ってるデジモンか?」
マイクを構えながらデジモンが歩み寄って来る。
「バグラ軍?」
「それがこいつらの軍団名なの?」
疑問符を浮かべるライドラモンとネフェルティモンに赤いデジモンも疑問符を浮かべる。
「はあ?何だお前ら…もしかしてバグラ軍を知らねえのか!?お前ら一体何処のゾーンから…」
「人間の子供が暴れていると聞いて来てみれば…シャウトモン!貴様達だったか!!」
「な、何か偉そうな奴が出て来たぞ?」
シャウトモンの近くにいた大輔やヒカリよりも年上そうな少年が突如現れた獣人を思わせるデジモンを見遣りながら言う。
「チッ!ちょいと厄介な相手に出会しちまったぜ。気ぃつけな!こいつはついさっき、俺様の命を奪いかけた奴だぜ」
「ええ!?」
大輔とヒカリと同い年くらいの女の子が叫ぶ。
「つまりあいつがあいつらのリーダーなのか?」
「ソウダ」
ライドラモンがシャウトモンの近くにいるバリスタモンと言うデジモンに尋ねると肯定された。
「まあいい…払っても払っても沸いて出るのが蠅と言う物よ…このバグラ軍、グリンゾーン方面軍司令、マッハレオモン様が…何度でも引導を渡してやるわ!!」
「来るぞ!!」
マッハレオモンは両手の短剣を構えると凄まじい速さでライドラモンに迫る。
「速い!?」
「ソニック・スラスト!!」
高速で動き回り、両手の短剣でライドラモンを斬り刻む。
「ぐあああああ!?」
デジタルワールドの復興作業とこちらに来てからの連戦で疲れていたとは言え、一方的にやられるライドラモン。
それを見かねたバリスタモンが殴りかかるが、パワー型のバリスタモンの動きは鈍く、マッハレオモンはそれを容易くかわす。
「大丈夫カ?」
「あ、ああ…助かった」
「クカカ!1体は戦闘不能に追い込んだ!パワーと頑丈さだけが取り柄のお前にこの動きは捉えられまい!?さあ…我がバグラ軍に不吉を齎す人間の子供達よ…くたばれっ!!」
「私を忘れるんじゃないわよ!!ロゼッタストーン!!」
「むっ!?」
マッハレオモンに向けて発射された巨大な石像を発射するネフェルティモン。
それを跳躍してかわすマッハレオモンだが…。
「もらったあああああ!!」
攻撃の機会を窺っていたシャウトモンが拳に炎を纏わせてマッハレオモンに叩きつける。
「ふん…この程度で俺を倒せると思っているのか!!」
しかしマッハレオモンは直撃を受けても大してダメージを受けておらず、シャウトモンを蹴り飛ばす。
「あいつ…、大輔。今度はフレイドラモンで行く!!」
「分かった、デジメンタルアップ!!」
「ブイモンアーマー進化、燃え上がる勇気!フレイドラモン!!」
「何だその変化は!!?」
突然の変化に目を見開くマッハレオモン。
構わず、フレイドラモンは拳に炎を纏わせるとマッハレオモンに殴りかかる。
「チッ!!ソニック・スラスト!!」
フレイドラモンの拳をかわすと短剣で斬りかかるが、今度は一切油断していなかったためにマッハレオモンは両腕を掴まれ、動きを封じられた。
「何っ!?」
「さっきは油断していたからやられたけどな」
「う…ぐぐ…!?」
マッハレオモンの腕を掴むフレイドラモンの手に力が入り、あまりの握力にマッハレオモンは短剣を落とす。
「今度はやられない。覚悟しろ!!」
フレイドラモンはマッハレオモンの腹部に強烈な膝蹴りを叩き込む。
「ぐはっ!?」
「ふんっ!!」
悶絶するマッハレオモンにフレイドラモンは続けて顔面に強烈な蹴りを叩き込んで吹き飛ばす。
「つ、強い!頑張って!!」
「へ、へへ…誰だか知らねえけど…やるじゃねえか…俺にもあれくらいの力がありゃあ…」
「いや…(分かる…こいつらの力はまだまだこんなもんじゃない!!だって、だってこいつらは…そうだ!!あの夢の中で…俺、何をした…?)」
夢の内容を思い出した少年が叫ぶ。
「シャウトモン!!バリスタモン!!何も言わずに俺の指示に従ってくれるか…!!?」
「…!」
「へっ!言ったはずだぜ!!俺達ゃ、ソウル・ブラザーだってな!!」
シャウトモンが笑みを浮かべながら言うと、少年はデジヴァイスらしき物を掲げた。
「シャウトモン!!バリスタモン!!デジクロス!!!」
「ウオッ!?」
「なっ…何だぁ!?体が!?」
「デジ…クロス…!?」
「2体のデジモンが1つに…!?」
「ばっ…馬鹿な!?デジクロスだとっ!?バグラモン皇帝陛下が唯一恐れると言われる合体進化の力…!!!」
誰もがシャウトモンとバリスタモンに起きた変化に驚愕し、そして光が収まった所には…。
「シャウトモンX2!!」
ポーズを取りながら叫ぶ、変化したシャウトモンの姿があった。
「え?あれってシャウトモンをバリスタモンの中に入れた…だけじゃないか?」
「進化…じゃないの?」
大輔とヒカリが進化と言うにはあまりにも簡単な変化に呆然となる。
「いえ…確かに簡単そうな変化だけど…!!」
ネフェルティモンは気付く、シャウトモンが合体前よりも凄まじいパワーを宿していることに。
「わっ…ワハハハハハ!!デカブツにシャウトモンを収納しただけではないか!!噂に尾鰭は付き物とは言え…伝説のデジクロスがそんなお粗末な物だったとは…チッ…一瞬でもビビらせおって!!」
シャウトモンX2に殴りかかるが、シャウトモンX2はマッハレオモンの動きを見切って尻尾を掴む。
「なっ…!?」
「良おおおっく…見えてるぜえっ!!」
そのままシャウトモンX2は勢い良くマッハレオモンを地面に叩きつけた。
「俺達も続くぞ!!喰らえ、ナックルファイア!!」
「ロゼッタストーン!!」
好機と見たフレイドラモンとネフェルティモンも同時に必殺技を放って直撃させる。
「つ…強!!!見た目ちょっと微妙だけど強っ!!」
「微妙微妙うるせー!!」
少女の言葉に怒鳴るシャウトモンX2。
「いや、そんなことよりもフレイドラモン。早くあいつを!!」
大輔が攻撃の指示を出そうとするが、既にマッハレオモンは立ち上がるのと同時に退避行動を取る。
フレイドラモンとネフェルティモンの必殺技で吹き飛ばされたために逃げるには充分過ぎる距離が開いていた。
「いかん!ここは一旦退き、上層部に報告を…」
「待ちなさい!!」
ヒカリが叫ぶが、このままではマッハレオモンに逃げられると誰もが思った時である。
「ムーンシューター!!」
真横から飛んできたエネルギー弾がマッハレオモンの足場を吹き飛ばし、バランスを崩したのだ。
「なっ!?」
「今だ!!」
突如現れた昆虫型デジモンがこちらに向かって叫ぶ。
「おう!!誰だか知らねえがありがとよ!!さあ、オーディエンス!!魂に刻んで帰りな!!俺のシャウトをなあっ!!!バディブラスター!!」
そしてシャウトモンX2の必殺技はマッハレオモンに炸裂し、マッハレオモンは吹き飛ぶ。
「あの…デジモン…あれは!!」
「一乗寺賢君!?」
大輔とヒカリは昆虫型デジモンの隣にいる賢に気づいて目を見開く。
賢は大輔達を見遣った後、この場を後にしようとするが。
「待てよ!!」
フレイドラモンに抱えられた大輔が賢の前に立つ。
向こうでは少女の叫びが響き渡るが、今の大輔達はそれどころではなかった。
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