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永遠の謎

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561部分:第三十三話 星はあらたにその六


第三十三話 星はあらたにその六

「時々そう思うのですが」
「森の中にいて夜にですね」
「人狼は現われるもの」
「あの野獣もまたそれだったと」
「魔物はこの世にはいないと言われています」
 この頃にはそうした存在は迷信だとされるようになっていた。
「ですがどうなのでしょうか」
「それは私にはわかりません」
 ホルニヒには答えられないことだった。魔物の実在については。
「ですが」
「それでもですか」
「月には確かに不思議な力があります」
 ここで彼が言うのはこうしたことだった。
「間違いなくです」
「そうですね。見ていると」
 ここでカインツもだ。夜空を見た。そこにある月を。
「落ち着きますね」
「しかもですね」
「はい、人狼や他の魔物達を目覚めさせるものであっても」」
「夜は決して闇ではない」
 ホルニヒは言った。
「それが陛下の御考えです」
「闇ではなくですか」
「夜には夜の光があります」
「それが即ちですね」
「はい、月です」
 まさにそれだというのだ。そしてだ。彼はさらに言った。
「そして星達もです」
「星もですね」
「そうです。星達もまたです」
 光だというのだ。夜のだ。
「ですから決して闇ではないのです」
「そして陛下はその中においてですね」
「生きておられます。では」
「はい」
「その夜の世界において下さい」
 ホルニヒは月の光の中でカインツに告げ。そのうえでだった。
 カインツはホルニヒの案内の下ヘーレンキムゼー城に入った。そのドイツ、中世と幻想のそれとフランス、バロックとロココのそれの中にある城の中においてだ。先に進むホルニヒに尋ねた。
 城の中は近代的にだ。ガス灯が使われそれで照らされている。思った以上に明るい。
 だが彼等はその明るさから次第に奥に入っていく。カインツはその中でホルニヒに尋ねたのである。
「何処に行かれるのでしょうか」
「はい、洞窟です」
 そこにだとだ。ホルニヒは答えた。
「陛下はそこにおられます」
「洞窟にですか」
「この城の地下には洞窟もあります」
 ホルニヒは先を進みながらカインツに話していく。
「そしてそこにおいてです」
「陛下がですね」
「貴方を待っておられます」
 こうカインツに話すのである。
「ですからおいで下さい」
「わかりました。洞窟ですね」
「そしてそこからです」
 ホルニヒはさらに話す。
「王の間においてです」
「その部屋で、ですか」
「陛下は貴方と詳しくお話をされたいそうです」
「それはまた」
「変わっていますか」
「そう思います」
 カインツは追うが偽りを好まないと聞いていたので率直に答えた。
「最初に洞窟とは」
「そうですね。それは確かに」
 そしてだ。ホルニヒもそのことを否定しなかった。
 だが、だ。彼はこう王に言ったのである。
「ですがそれでもです」
「陛下はですか」
「そうされることを好まれます」
「まずは洞窟ですか」
「そこで貴方と御会いしたいとこのことです」
 最後にカインツに話す。
 
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