八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百九十二話 芥川の作品その二
「その作品ね」
「代表作の一つだね」
「物凄く短いよね」
「それこそあっという間だよ」
「読破出来るわね」
「そう、本当に短いよ」
「私は鼻ですが」
小夜子さんはこちらの作品だった、芥川のデビュー作だ。
「この作品もですね」
「僕どちらも読んだけれどね」
だから言えた。
「どっちもね」
「あっという間にね」
「読破出来ますね」
「そうなんだ」
十分もかからない、授業の休み時間に読みはじめてはじまる前にはもう読み終わっている位の作品だ。
「もうね」
「それじゃあね」
「芥川を読んでいきますね」
「そうしたらいいよ、僕はもう少しね」
ノストラダムスを読むことにした、そしてだった。
少し読んでいると二人共言った。
「読み終わったわ」
「私もです」
「十分位だね」
二人共読破までそれ位だった。
「かかった時間は」
「ええ、本当に短くて」
「あっという間でしたね」
「芥川は大抵がね」
短編作家でそのうえでだ。
「一作一作が短いからね」
「すぐ読めるわよね」
「それこそ今の様な時間で」
「そうなんだよね」
「それでね」
「今も読めました」
「そうなんだよね」
僕もこう言った。
「それぞれ考えるものが多いけれど」
「何かね」
ここで言ったのは美沙さんだった。
「自殺する間際の作品は、よね」
「あまりね」
所謂芥川の末期の作品についてはこう言った、
「僕は好きじゃないけれど」
「どんな作品なの?末期は」
「さっき話した予言マニアとは違ったおかしさがあるんだ」
「自殺する直前だから?」
「そのせいかね」
というかそれ意外には考えられなかった。
「とんでもなく暗いか狂気かね」
「どっちかなの」
「どっちかを感じさせる作品かなんだ」
本当にこの二パターンだ、末期の芥川の作品は。
「だからね」
「読んでいてなの」
「あまりいい気持ちにはならないよ」
作風が急に一変する、これまでとはうって変わって。
「蜘蛛の糸とはね」
「全然違ってるのね」
「そうなんだ」
こう言うしかない位だ。
「美沙さん芥川の末期の作品は読んでないんだね」
「或る阿呆の一生はタイトルだけ知ってて」
「河童とか歯車も」
「読んでないけれど」
「凄いからね、読むならね」
「覚悟してなの」
「そう、読んだ方がいいよ」
そうした方がいいとだ、僕は美沙さんに忠告した。
「暗鬱な作品か狂気に満ちた作品かね」
「どっちかしかないの」
「そう、前期や中期と違うから」
「そんなに違うの」
「その作風がね」
そうだとだ、僕は美沙さんに話した。
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