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双子の謎

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第一章

               双子の謎
 山本剛が告げられた試練は呉にあるとのことだった、山本はその話を聞いて相方となっている井伏秀幸に言った。
「呉じゃとのう」
「ああ、こんなにとってはな」
「遊び場じゃ」
 都から呉に向かう道中でだ、彼は井伏に話した。
「それこそじゃ」
「隅から隅まで知っとるのう」
「そうじゃ」
 山本は井伏に呉の言葉で応えた。
「ほんまにな」
「それならな」
「やりやすいわ、それでじゃ」
「ああ、今から呉に戻ってな」
「試練を突破する、それでじゃ」
 そのうえでとだ、山本は竜人のその目を光らせて井伏に話した。
「わしは必ずじゃ」
「新しい神具を手に入れるんじゃな」
「そうする、そしてその分強くなる」
 鋭い声でこうも述べた。
「これからな」
「そうするか」
「ああ、それで呉に入ったらな」
 それからのこともだ、山本は井伏に話した。二人で大坂から呉まで船に乗って向かっている。その船の中で言うのだった。
「まずは美味いもんを食うか」
「牡蠣か」
「そうじゃ」
 その通りだとだ、彼は言うのだった。
「生牡蠣もフライとか蒸したのもな」
「どれもか」
「美味い、そやからじゃ」
「呉に着いたらまずはか」
 井伏は自分の向かい側に座っている山本に応えた、二人は今も刎頸の交わりを果たした親友同士だった。
「わしにそれを食わせてくれるか」
「そうじゃ、わしの馴染みも店じゃ」
「その店で牡蠣をたらふく食うて」
「そしてじゃ」
 それからと言うのだった。
「ええのう」
「ああ、試練じゃな」
「わし一人でやるって言うたら怒るな」
「アホ言えじゃ」
 これが井伏の返事だった、彼は山本に笑って話した。
「こんなだったらわしがそう言うたらどう言う」
「同じじゃ」
 山本はすっと笑って井伏の猪の顔を見つつ答えた。
「まさにな」
「そういうことじゃ、だからじゃ」
「こんなはか」
「こんなを助ける、そしてじゃ」
「二人でじゃな」
「試練を乗り越えるぞ」
 こう話してだ、そしてだった。 
 二人は呉の港から街に入った、呉の港も街も日本が統一されされに太平洋が統一されてから賑やかになる一方だった、その呉の街のある店に入ってだった。
 生牡蠣や牡蠣フライ、スパイス焼き、酒蒸し、そうした様々な料理と美酒を食べつつだ。山本は目を細めさせて話した。
「わし等が治めていた時と比べるとな」
「全然違うのう」
「ああ、ずっと繁栄しとるわ」
 呉の街も港もというのだ。
「ほんまにのう」
「そうじゃな、全く別と言ってええのう」
 井伏は生牡蠣にポン酢を付けて食べつつ話した。
「何杯も賑やかになってる感じじゃ」
「治安もよくなってな」
「そうじゃな、しかしじゃな」
「この街のことはじゃ」
 呉のことはとだ、山本も牡蠣を食べつつ話した。
「わしはよお知っとる」
「そう言えるな」
「ここにおったんじゃ」
 それ故にというのだ。
「よく知っとる、ほなじゃ」
「牡蠣を食うてな」
「試練を受けるか、しかしその試練が何か」 
 山本は清酒を杯で飲みつつ述べた。
「それがじゃ」
「わからんのう」
「どうにもな、しかしな」
「それでもじゃな」
「絶対に近いうちに試練ははじまる」
 神託、それは絶対だからだというのだ。
「それでじゃ」
「ここはか」
「そうじゃ、その試練を待つ」
「そうしてじゃな」
「その試練を乗り越えるんじゃ」
 井伏にこう言ってだ、彼は試練を待つことにした。そうして今は牡蠣と酒を楽しむのだった。昔ながらの海辺の居酒屋の中で。 
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