八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百九十話 翌朝に話したことその十三
「何でそんなことを知っていたのか」
「それで戦えば必ず勝ったし」
当時イングランドにやられっぱなしだったフランス軍を率いてだ。
「それで火炙りになってもね」
「生きていたって話もあるし」
「謎そのものというか」
「そんなものだよね」
こうアルトネ君に言った。
「あの人にしても」
「実際にとても不思議な人だよ」
「奇跡みたいな」
「本当に急に出て来たから」
歴史上に忽然としてだ。
「本当にフランスを救う為に出て来たみたいな」
「そんな人だよね」
「うん、読み書きも出来たみたいだし」
「当時は貴族でもだよね」
「読み書き出来ない人多かったよ」
何でも貴族でもそうした人が多かったらしい、教育がそこまで行き届いていなかったということか。
「それが、だからね」
「読み書きも出来たんだね」
「一介の農家の娘がね。馬も乗ってたし」
「馬だってね」
「乗馬もね」
このことも少し考えればわかることだ。
「訓練受けないと乗れないけれど」
「しかも武装してだから」
ジャンヌ=ダルクは全身を鎧に包んで戦場に立っていた、そのうえで馬に乗ることは身体の自由を重いそれこそ二十キロは優にあるプレートメイルに阻まれてかなり難しいものであることは言うまでもない。
「だからね」
「相当な訓練を受けていないと」
「乗れないよ」
それこそすぐに出陣したけれどだ。
「考えれば考える程ね」
「ジャンヌ=ダルクも不思議な人だよね」
「剣も使えたし」
「本当にね」
何か不思議どころじゃない、一介の農家の娘がそこまで出来たのか。事実は小説なり奇といってもライトノベルでもこんな設定は作者が色々理由を付けて行わないと無理だ。
「実は王家のご落胤だった?」
「その噂あるよね」
「だから王様の秘密を知っていたとか」
「王様を見付けられたとか」
そんな話もある、とにかく一介の農家の娘には思えない。
そして僕はアルトネ君にこの人の名前も出した。
「ノストラダムスもね」
「ああ、予言者の」
「この人フランスじゃ有名じゃないよね」
「日本では有名だけれどね」
予言者としてだ、流石に一九九九年はとっくの昔に過ぎているのでもう知らない人も増えているけれどだ。
「あの人は別に不思議じゃないよ」
「実は予言者じゃなかったんだよね」
「お医者さんだよ」
本職はそうだった。
「あと占いもしてたけれど」
「当時の学問の一つだよね」
「あくまで本業はお医者さんで美容コンサルタントだよ」
「今で言うとそうだよね」
「そう、予言は実はね」
「フランスでも」
「有名じゃないよ」
そうらしい、日本では五島勉という人が本に書いてベストセラーになってそれから有名になったことだ。
それでだ、アルトネ君もこう言った。
「日本では誰でも知ってる人でも」
「当のフランスではね」
「本当に有名じゃないから」
アルトネ君は僕にこのことを強調して話してくれた。
「下手しなくても誰それだから」
「アルトネ君も日本に来てから知ったんだよね」
「そうだよ。日本人の友達に言われてね」
「ノストラダムス知ったんだ」
「むしろあの時の王様いや王妃様の方が有名だから」
ノストラダムスを当時の王様であるアンリ二世に紹介したカトリーヌ=ド=メディチという王妃の方がだ。
ページ上へ戻る