| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百九十話 翌朝に話したことその三

「ギロチン台行きだよ」
「やっぱりそうなるのね」
「うん、ジャコバン派はそうした連中だったから」
「じゃあオスカルさんも」
「あの人王室転覆までは考えていなかったかも知れないしね」
 精々ジロンド派位か、ジャコバン派みたいに平民のことを強く考えていてもあんな滅茶苦茶なことは絶対に賛成しない。
「フーシェみたいに関係ない市民まで殺すとか」
「絶対にないわよね」
「うん、絶対に反対するから」
「じゃあ余計に危ないわね」
「本当にいい頃に死ねたよ」
 バスチーユの時にだ。
「あそこで死ななかったらね」
「王妃様が殺されるのを見たり」
「何だかんだで嫌いじゃなかったのがわかるしね」
 マリー=アントワネットのこともだ、実際にこの人は世間知らずでも決して悪い人ではなかったらしい。
「もう殺し殺されなんてね」
「オスカルさんは嫌いよね」
「ベルサイユの薔薇は歴史が動く場面のドラマだよ」
 その場面に恋愛やロマンを持ち込んだ素晴らしい歴史劇だ。
「ヤクザ映画じゃないからね」
「そこ重要よね」
「池田理代子さん自身そうした策風じゃないし」
「人間の美を描いていますね」
「そうだよね」
 陰謀とかも書いていてもだ。
「オスカルもマリー=アントワネットもアンドレもね」
「その心は奇麗ですね」
「ナポレオンだってね」
 続編とも言えるエロイカの主人公もだ。
「女帝エカテリーナもね」
「心は奇麗ですね」
「困難や苦難に向かっていく」
 それがどんな苦境でもだ。
「前を向いていく感じだね」
「裏切り裏切られではなくて」
「困難に向かっていく人を描いているよね」
 僕は小夜子さんにこう返した。
「本当に」
「はい、確かに」
「だからね」
 それでだ。
「そんな極道な世界とはね」
「また違う人ですね」
「だからあの頃は中間みたいに描いていた感じだったかな」
 エロイカでもだ。
「ナポレオンの若い頃で」
「副次的ですね」
「メインはナポレオンの活躍だから」
 そして晩年の凋落だ、けれどエロイカでのナポレオンは自身の凋落にも前を向いて進んでいた。それがあの人の世界だ。
「また違うよ」
「人間の善を描いている」
「善と言うか黄金の精神なのかな」
「黄金の精神ですか」
「苦難に敢然と向かうね」
 辛いと思いながらもそれでもと前を向いてだ。
「そうした人を描いてるね」
「それが敗北に終わっても」
「ナポレオンがそうだね」 
 その結末はわかっている、ワーテルローで敗れてそうしてエルバ島で死んでしまう。どうも毒殺らしい。
「あの人もそうなったけれど」
「苦難に敢然と向かう」
「顔を上げてね」
 そしてその苦難を見据えてだ。
「そうした人を描いているけれど」
「そうしたヤクザ映画の様に陰惨な世界は」
「描くとはね」
 これはあまりだ。
「思えないから」
「ヤクザ映画ってあれよね」
 美沙さんが言うこのジャンルの作品はというと。
「裏切り裏切られで」
「仁義なき戦いとかね」
「陰惨な世界よね」
「絶対にいたくないね」
 その世界にはだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧