永遠の謎
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526部分:第三十一話 ノートゥングその七
第三十一話 ノートゥングその七
「私のやるべきことをな」
「そうされて下さい。それでなのですが」
「絵画のことだな」
「私も描いて下さるのですね」
「無論だ」
そのことは当然だとだ。王は騎士に答えた。
「卿も描かずしてどうする」
「有り難うございます」
「卿と。そして」
さらにだというのだ。王は。
「卿と同じ精神を持つ彼等もだ」
「描いていくのですね」
「全て描く。ワーグナーの全てをそこに描き」
そしてだった。さらに。
「バロックにロココもだ」
「城の中に築かれますか」
「そうする。あのベルサイユも再現する」
王が心から憧れているだ。その宮殿もだというのだ。
「だからだ。私はだ」
「わかりました。それでは」
「待っていてくれ。私は今から築く」
そのだ。宮殿をだというのだ。
「それが今はじまったのだ」
「畏まりました。それでは」
「それではか」
「そのベルサイユには今は行かれないのでしたね」
「行きたくはない。そして」
さらにだとだ。王は騎士に話した。
「私は新しい国旗もだ」
「それも掲げられませんか」
「それもしない」
そのこともだ。しないというのである。
「私はバイエルンの王だ」
「そうですね。ならばですね」
「私はバイエルン王だ」
こう話すのだった。そのことを念頭に置いて。
「それならば決してだ」
「ドイツ、即ちプロイセンの国旗ではなく」
「バイエルンの国旗ですね」
「それを掲げる」
王は言った。
「そしてそれは咎められはしない」
「ビスマルク卿は御承知ですから」
「あの方は私の理解者か」
「そして心から心配して下さっています」
「不思議だ。私はあの方とは立場が違う」
それもあらゆることがだ。違うというのだ。しかしだ。
「それでもだ」
「ビスマルク卿は陛下を理解されているからです」
騎士はこう王に話す。
「ですから」
「そして私もだな」
「はい、ビスマルク卿を理解されていますね」
「見事な方だ」
そのあらゆることが違う相手をだ。王は認めていた。そしてそのことを言葉にありのまま出してだ。王は騎士に話したのである。
「全てはドイツの為に行われているしな」
「あの方の夢はドイツを築かれることです」
「そうした意味で私達は同じか」
「その通りです。あの方はドイツ帝国を築かれ」
「私は城を築く」
「ワーグナー氏がそれぞれ想うことをです」
ワーグナーは愛国者でもある。ドイツ人なのだ。それ故に芸術にあるドイツ的なものに関して著作において書き残してもいるのだ。
そのワーグナーの見ているものをだ。二人はそれぞれだというのである。
「実現されようとされています」
「私達が」
「だからこそです」
騎士は王に話す。
「あの方は今は」
「フランスを批判しているが」
「それもドイツ人故です」
「わかっていることだ」
それ自体はだと言う王だ。しかしだ。
感情からだ。王は言うのである。
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