永遠の謎
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504部分:第三十話 ワルキューレの騎行その三
第三十話 ワルキューレの騎行その三
「彼等がドイツを支配することになります」
「粛清に次ぐ粛清ですか」
「それですか」
「そうです。フランス革命が永遠に続きます」
しかもだ。それが永遠だというのだ。
「ですからそれはです」
「避けなくてはならないことですか」
「では」
「はい、ただ一人の人間に全てが支配されていきます」
王はそこまで見ていた。共産主義の危険を。
それが欧州を席巻していることにだ。深刻な危惧を覚えてだ。王は。
ドイツの将来をだ。また話した。
「ドイツは文化や芸術を第一に一つになるべきです」
「ドイツがですか」
「一つになる」
「文化や芸術によって」
「それは既にはじまっています」
そちらからの統一はだ。既にだというのだ。
しかしそれでもだ。王は言うのだった。
「ですがそれは第一に為されるべきです」
「それは難しいですか」
「やはり鉄と血ですか」
「それによってですから」
「必然なのはわかっています」
ビスマルクを理解していた。何処までも。
それでだ。王は言っていく。
「それを彼等はわかっていないのです」
「問題ですね」
「それが非常に」
「そう仰るのですね」
「臣民達が」
「臣民達だけではありません」
それはだ。まさにだった。
「バイエルンの殆んどの者がです」
「だから首相もですか」
「更迭せざるを得ない」
「そうなっていると」
「彼を。ホーエンローエを更迭しても」
それでもだった。彼等がもたらすものは。
「ビスマルク卿がおられ」
「そうしてあの方はバイエルンの為にもなる」
「そうなっていることがですか」
「誰にもわかっていない」
「あらゆることが」
「ドイツのこともわかっていません」
王はわかっているがだ。それでも彼等はなのだ。
そしてそのことについてだ。王はあの憂いの顔で述べた。
「悲しいことに」
「それは彼等が愚かだからでしょうか」
「それともものを知らないからでしょうか」
「感情故にです」
そのせいだとだ。王は言った。
「彼等の感情故に」
「プロイセンへの反感ですか」
「そのせいですか」
「ひいてはビスマルク卿への」
「若しもです」
ここで王は一つの家庭を述べた。
「ビスマルク卿がバイエルンの者で」
「そしてカトリックならですね」
「その場合は」
「彼等は喜んであの方を支持したでしょう」
そうなるというのだ。若しビスマルクがそうならば。
「そしてプロイセンが反発したでしょう」
「そうなっていましたか」
「その場合はですか」
「逆なら」
「同じことをしてもです」
ビスマルクがバイエルン人でだ。カトリックでもありだ。今と同じ政策をしならばバイエルンの者はどう思ったか。そうした話をしてだった。
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