銀河酔人伝説
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酔っ払いと親父達の誓い
前書き
ようやく一区切りが着きました。
トリューニヒトとレベロの人物像が原作とかなり乖離してるように思いますが、そこは主人公の影響と二次創作という事でご容赦ください。
グレゴリーを含めた二次会が始まった。酒を飲んでおり、グレゴリーが得意の手品や宴会芸を披露した事もあって、賑やかに過ぎていった。皆日頃の対立関係を忘れて飲みあい、互いに笑いあった。
宴会が始まりそれなりに時間が過ぎたころ、いきなりグレゴリーが大声を上げた。
「ホアンの親父!レベロの叔父貴!ヨブの兄貴!今日は相談とお願いをする為に集まってもらったんです!」
グレゴリーは起ち上がると3人に対して頭を下げた。
「私は君の親父だ。話してみなさい。」
ホアンが促すとグレゴリーは話を続けた。
「親父も叔父貴も兄貴も第5次イゼルローン要塞攻防戦以降、同盟が大損害負い敗退を重ねていく現状をどう思っていますか?ヴァンフリートでは勝てましたが第6次イゼルローン要塞攻防戦で敗退しました。第3次・第4次ティアマト星域会戦では追い返したという事実だけで帝国軍以上の損害を同盟軍は負っています。その結果国境は荒廃し、軍備を立て直すために公債の増発と臨時増税と社会保障削減が乱発されています。私の選挙区では毎日陳情が来ます。何とかしてくれって。エル・ファシルだけじゃないんです。シャンプール、ネプティス、パルメレンド・・・私の選挙区じゃないところからも陳情が来るんですよ。何とかしてほしいって言ってきてるんです。こんな私や有権者でも危機感は持ってるんです。このままでは同盟そのものが崩壊してしまいます。」
三人は俯いた。それはそうだ。三人とも思想の違いや理想の差異はあれど同じく危機感は持っていたからである。しかし政局情勢と三人の身動きを取れなくしていた。トリューニヒトは与党自由共和党の所属であり自身の派閥を持っているとはいえ非主流派に甘んじている(最も彼の場合今後の政局の為に敢えてその立場に甘んじているという事情があるが)。レベロは野党同盟民主党のトップであり、ホアンは野党社会改革党の事実上のトップである書記長を長年務めている。更に党派は違えど彼らは現最高評議会の一員を務めているのだ。おいそれと動くことはできない。
「軍は新兵ばかり多くなり、社会は人員不足で混乱が生じてまいます。数少ない資産はフェザーン資本に取られ、治安は乱れるばかりです。地方では宇宙海賊なんて時代錯誤な輩まで跋扈してるんですよ。これをどうにかしなくちゃいけない。そのためには御三方の協力が必要なんです。お願いします!」
そう言うとグレゴリーは土下座をした。三人は困惑した。グレゴリーは確かに頭の出来は良くないが、三人が公的には対立関係にある事を理解できない男ではなかった。だからこそ政策論議を行わず私的関係だけで人脈を広げていくグレゴリーを可愛がったのだ。
少し時が流れると、意外な人物が声を発した。グレゴリーが叔父貴と呼んでいるジョアン・レベロである。
「私はハイネセン主義者だ。だから労働組合出身者の君とは対立関係にある。だが君は私の政界の教え子であり、君のその素直な所を気に入っている。なにより同盟を救いたいという気持ちは私も同じだ。君に協力しよう。」
レベロがそう言うとトリューニヒトが続いた。
「親友であり弟分の君からそこまで頼まれて動かないようなら兄貴分の名が廃るだろう。今は出来ないことの方が多いが、協力は出来る。」
ホアンが口を開いた。
「君をこの世界に連れてきたのは私だ。君に未来を作ってほしいと言ったのも私だ。私には君に手を貸す道理がある。それに・・・この願いを叶えてやりたいと思うのが親というものだ。」
ホアンがグレゴリーの肩を叩く。
「親父・・・兄貴・・・叔父貴・・・!ありがとうございますうぅぅぅ!!!」
グレゴリーは涙と鼻水でぐしょぐしょになりながらホアンに抱き着いた。
「おいおいカーメネフ君、大の男が泣くんじゃないよ。」
「まあ彼らしくていいじゃないかレベロさん。それよりせっかくの酒の席なんだ誓いの盃といこうじゃないか。」
「君にしては中々の提案じゃないかトリューニヒト、ほらグレッグもいい加減離れろ。」
ホアンがグレゴリーを離し盃を持たせると4人は盃を掲げた。
「「「「我等4人、同盟救済をここに誓う!乾杯!」」」」
この誓いが自由惑星同盟にどのような影響を与えるか、今はまだ謎である・・・
後書き
一区切りついたので次回は設定と流れの説明をしようと思います。
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