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夢幻水滸伝

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第七十四話 南からその九

「つまり琉球に必要なものは」
「政でごわすな」
「国と民を考えた」
「ここは港も多いでごわすから」
「貿易により力を入れて」
「そこからの利を活かすでごわす」
「そして漁業もですね」
「それもでごわす、あと言うまでもなくでごわす」
 北原は自分から言った。
「自然は守るでごわす」
「それもですね」
「珍しい生きものも多いでごわすからな」
「琉球には」
「いなくなっては駄目でごわす」
 自然を守る理由は一言だった。
「だから守るでごわす、しかしここは要地でごわす」
「太平洋において」
「だから貿易で栄えているでごわすし」
「兵はですね」
「水軍を重点に置くべきでごわす」
「はい、そう思っていますし僕も船乗りですし」
 職業からもだ、又吉は北原に話した。
「ですから」
「既にでごわすか」
「貿易船を海賊達から守らないとならないので」
 それ故にというのだ。
「既にです」
「水軍を整えていたでごわすか」
「御覧になられますか」
 その水軍をとだ、又吉は北原に申し出た。
「これより」
「百聞は一見に如かずでごわす」
 これが北原の返答だった。
「ではでごわす」
「はい、今から」
「見させてもらうでごわす」
 これが北原の返事だった、そしてだった。 
 二人はそれぞれの供の者達を連れて琉球本島の港に赴いた、そこでは様々な国の貿易船が出入りし停泊しているだけでなく。
 水軍の船も多くあった、北原はその船達を見て又吉に顔を向けて尋ねた。
「ここだけではないでごわすな」
「はい、琉球のそれぞれの港にです」
「水軍を置いてあるでごわすな」
「小舟のものも多いですが」
 それでもというのだ。
「備えています」
「そしてでごわすな」
「琉球の海を守っています」
「そうでごわすか」
「貿易船を守らないと」
 それが出来ない、とだ。又吉は北原に強い声で答えた。
「ならないので丘で戦う兵よりもです」
「水軍の方をでごわすな」
「充実させています」
「そうでごわすか」
「というよりも水軍に軍勢は集中させて」
「普通の丘で戦う軍勢はでごわすか」
「予算の関係もあるので」
 このことはだ、又吉は北原に眉を曇らせて話した。
「ですから」
「どうしてもでごわすな」
「はい、予算を水軍に取られて」
「丘の軍勢は弱いでごわすか」
「そうなっています」
「予算は軍勢にだけ使うものではないでごわす」 
 北原はこのことをよくわかっていた、薩摩と大隅を治める者としてこうしたことがわからない筈がない。
「だから余計にでごわすな」
「はい、軍勢については水軍を重点にして」
「そしてでごわすな」
「丘の軍勢は少しです」
「それはそれで困るでごわすな」
「海賊征伐も丘に行かれると」
 海はともかくとして、というのだ。 
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