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永遠の謎

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453部分:第二十七話 愛を呪うその二十三


第二十七話 愛を呪うその二十三

「私は彼女とつながりを感じる」
「その御心にですか」
「精神の奥底で。それを感じるのだ」
 それがだ。愛かどうかというのだ。
「これは愛なのだろうか」
「同じだからではないでしょうか」
 ホルニヒはその王にこう述べた。
「陛下とあの方は」
「同じ?」
「何かが同じなのではないでしょうか」
 そうではないかというのだ。
「それで」
「そうなのか」
「はい、陛下は皇后様をどう言われていますか?」
「鴎だ」
 皇后をだ。鳥に例えて呼んでいるのが常だ。
「そしてあの方は私を鷲と呼んでくれる」
「御互いに鳥ですね」
「そうだな。鳥だな」
「そう言われるのはやはり」
 どうかというのだ。それでだ。
「御互いが同じだと感じておられるからではないでしょうか」
「だからなのか」
「そうです。それでなのでは」
「私とあの方は同じか」
「御心が」
「だからか」
 また言う王だった。
「私はあの方に同じものを感じておられるのか」
「それは愛情ですね」
「そうだな。愛だな」
 それは間違いないとだ。王も認めた。
 しかしだった。それと同時にだった。
 王はだ。その愛についてだ。こう言ったのだった。
「だがそれは男女の愛ではないな」
「それではなくですね」
「心の愛だ」
 それだというのだ。
「愛と言っても色々あるのだから」
「親子の愛もあれば友情としての愛もありますね」
「私は男女の愛は知らない」
 自分ではそう思っているのだ。王自身を知らないが為に。
 そのうえでだ。王はこう言うのだった。
「シシィに対してもだ」
「男女の恋愛ではなく」
「同性めいたものを感じる」
 七歳年上の従姉に対してだ。感じるのはそれだというのだ。
「妙だな。そしてゾフィーにも」
「あの方にも」
「愛は感じるのだ」
 このことは否定しなかったしできなかった。
「だが。その愛はだ」
「男女の愛ではなく」
「同性への愛なのだ」
 それを感じるというのだ。ゾフィーに対して。
「女性は女性とは結ばれない」
「男性が男性と結ばれない様に」
「だからだろうか。やはり私はだ」
「まさかと思いますが」
「結婚できない」
 騎士との言葉も思い出しながら。王は話した。
「だからだ。やはりだ」
「御成婚は取り止められますか」
「そうしていいだろうか」
「私からは何も」
 ホルニヒの王への言葉はだ。こうしたものだった。
「申し上げられません」
「言えないか」
「はい、それは」
 こう王に頭を垂れて答える。
 
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