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永遠の謎

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449部分:第二十七話 愛を呪うその十九


第二十七話 愛を呪うその十九

「ですから」
「左様ですか」
「私はここに残ります」
「では私だけで行きましょう」
 王はゾフィーに言われてもだ。特に残念そうな素振りも見せなくだ。
 素っ気無い調子でだ。こうゾフィーに述べたのだった。
「そうさせてもらいます」
「あの、本当にですか」
「舞台は今です」
 あくまで舞台のことを話す。王はこの世界にはいなかった。
 王のいるべき世界からだ。ゾフィーに話すのだった。
「その今を観に行きます」
「どうしてもですか」
「何かおかしいでしょうか」
 おかしなところはなかった。王にとってだ。
 それでだ。こう言ってであった。
 王は周りにだ。すぐに告げたのだった。
「では今からです」
「今から?」
「今からといいますと」
「舞台に行きます」
 こう周囲に告げるのだった。
「すぐにです」
「あの、陛下」
「本当ですか?」
「本当にそうされるのですか?」
「舞台に行かれるのですか?」
「今から」
「はい、そうです」
 何でもないといった感じでだ。王は驚く周囲にまた告げた。
「そうさせてもらいます」
「あの、今はです」
「宴が開かれていますが」
「それにゾフィー様もおられます」
「それでもですか」
「今行けば第三幕に間に合います」
 また言う王だった。
「ですから」
「はあ。左様ですか」
「それでゾフィー様はどうされますか?」
「それでは」
「私が行きます」
 言外にだ。ゾフィーを外しての言葉だった。
「そうさせてもらいますので」
「ですか。お一人でなのですか」
「今から舞台に行かれますか」
「そうされますか」
「はい、そうします」
 こう話してだった。王は実際に舞台に向かった。ゾフィーを残して。
 このことはすぐに宴の場全体に広まった。それでだ。
 誰もがだ。唖然として言うのだった。
「それはまことか!?」
「陛下は舞台に行かれたのか!?」
「この宴を抜け出られて」
「しかもお一人で」
 そのことにだ。唖然としながら言っていく。
「ゾフィー様を置いてか」
「そうされたのか」
「一体何を考えておられるのだ」
「わかりませんな」
「全くです」
 こうだ。彼等は言っていく。
「陛下の御考えはわからないことが多いですが」
「しかし今回は特にです」
「こんなことをされるとは」
「御后を置いていかれるとは」
 異常な事態と言ってよかった。そして舞台でもだ。
 
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