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レーヴァティン

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第八十話 繁栄の中でその七

「席を外しているんだ」
「雪隠にでもいるか」
「それは言うなよ、わかるならな」
「そうだな、ではな」
「だから今はな」
「少しだな」
「待っていてくれ、いいな」
 こう英雄に言うのだった。
「今はな」
「待たせてもらう」
「それじゃあな」
 こう言ってだ、頭は下の者達に饅頭や羊羹それに茶を出させた。勿論英雄はそういったものに銭を支払った。
 そのうえで菓子を食いつつ茶を飲みながら丁半の様子を観た。そうして時間を潰しているとそこにだった。
「あたいに用があるってのはあんたかい」
「そうだ」
 後ろからの声にこう答えた。
「それでここに来た」
「そうかい、あたしのことを聞いてだね」
「外の世界かた来たな」
「ああ、寝たらね」
 それでというのだ。
「あたしはいつもだよ」
「こちらの世界に来るか」
「そして多分ね」
「俺もだというのだな」
「そうだよね」
 英雄にこのことを問うてきた。
「それであたしに用があるんだよね」
「そうだ」
 その通りだとだ、英雄は声の主女とわかるその者に菓子を食い茶を飲みつつ背を向けたまま返事をした。
「御前が十二人のうちの一人か」
「そのことが本当だったらだね」
「その時はな」
「あたしを仲間に誘う」
「そう考えている」
「わかったよ」
 一言でだ、女は英雄に答えてきた。
「そのこともね」
「そうか、ではな」
「返事をだね」
「聞きたい」
 是非にという言葉だった。
「俺としてもな」
「いいよ」
 これが女の返事だった。
「ここにずっといるのも楽しいけれどね」
「江戸の街にか」
「いい街だよ」
 英雄に笑ってこうも言ってきた。
「華があって見世物も一杯あってね」
「花のお江戸か」
「まさにそんなところでね」
「いても楽しいか」
「相当にね。けれどね」
「俺達と旅に出てか」
「この島を救うってのもね」
 そちらもというのだ。
「面白そうだからね」
「俺達と一緒に行くか」
「そうさせてもらうよ」
「それは何よりだ」
「ああ、しかしね」
「今度は何だ」
「ここの菓子食ってるけれどね」
 英雄にこのことも言ってきた。
「どう?」
「美味いな」
 英雄は一言で感想を述べた。
「羊羹も団子もな」
「それは何よりね、あたしも好きよ」
「ここで出される菓子はか」
「そうなのよ、あたしお酒も好きだけれどね」
「菓子もだな」
「どっちも好きでね」
 それでというのだ。
「よく食べているのよ」
「俺と同じだな」
 英雄はまだ自分の後ろにいる女にこう言った。 
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