夢幻水滸伝
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第七十三話 荒波を見てその六
「讃岐か阿波の適度なところで」
「我が棟梁と会って頂けますか」
「そうしましょう、場所は」
具体的な場所は何処かとだ、織田はさらに述べた。
「観音寺はどうでしょうか」
「讃岐のですね」
「はい、そちらのお寺でです」
「お互いにお会いして」
「お話をするということで」
「それでは少し確認を取ってきます」
使者はこう言って一旦織田の前から退散してそうして貝殻で正岡に連絡を入れた、すると正岡は使者に明るく笑って答えた。
「よし、そこで会うぜよ」
「讃岐の観音寺で、ですね」
「そこにわしが行ってじゃ」
そしてとだ、正岡は貝殻の向こうにいる使者に話した。
「そうしてじゃ」
「会われてですね」
「それで話を決めるぜよ」
「それでは」
「ああ、織田君にも伝えるんじゃ」
「わかりました」
使者も頷いた、そしてだった。
使者は織田のところに戻ってそうして彼に正岡の返答を伝えた、すると織田も微笑んで使者に答えた。
「では」
「はい、それでは」
「お会いさせて頂きます」
織田も応えてだ、そしてだった。
二人は観音寺で会うことになった、こうして二人は讃岐の観音寺で会うことになった、その観音寺に入ってだった。
二人は顔を見合わせた、すると正岡から言った。
「わしは戦よりもぜよ」
「政ですね」
「そして商い、貿易ゼよ」
こちらだと言うのだった。
「そういうものの方が大事ぜよ」
「そうお考えですね」
「国を豊かにしてその力で」
まさにというのだ。
「日本、世界を統一して」
「そしてですね」
「そうしてじゃ」
「世界を救うぜよ」
「そうされますか」
「戦をせないかん時もあるがのう」
それでもとだ、正岡は織田に話した。ダッグ族という家鴨がそのままホビット位の大きさになって服を着ている姿である彼に対して。
「しかしじゃ」
「出来るだけですね」
「それはせんに限るぜよ」
「だからこそですか」
「こうしておまんとも話してるぜよ」
「では」
「わしはおまんと一緒にまずはじゃ」
織田に対してさらに言うのだった。
「この四国を統一してじゃ」
「そしてですね」
「日本も統一したいんじゃ」
「そこから世界ですね」
「まだ世界の脅威が何かわからんが」
それでもと言う正岡だった。
「この世界をぜよ」
「救いたい」
「そうぜよ、それでまずはじゃ」
「拙僧とですね」
「手を組みたいんじゃがええか」
「拙僧で宜しいでしょうか」
少し考えてからだ、織田は正岡にこう返した。
「貴方は志ある方、ですが」
「おまんはっちゅうんか」
「伊代一国で手が一杯でした」
「いやいや、充分治めてるって聞いちょるが」
「それが手一杯です」
伊予を充分に治める、それだけでというのだ。
「拙僧は」
「それは一人だからじゃろ」
「一人?」
「そうじゃ、一人では所詮限られとるわ」
正岡は織田に少し崩れた口調で返した、見れば織田はしっかりと正座して礼儀正しいが正岡は正座していてもかなり崩れていて身振り手振りも多い。
「だからじゃ」
「拙僧が伊代一国でも」
「二人だとどうじゃ」
「二人ならですか」
「それにわし等の下にはよおさんの協力者がおる」
彼等もというのだ。
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