銀河酔人伝説
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酔っ払い、エゴイズムの怪物と出会う
前書き
遅くなりました。本当はちゃんとした話にしようとしたのですが、天啓が下りてきたので・・・こうなってしまいました。
総選挙から10日後、まだ日が出ていないにも関わらず自由惑星同盟議会議事堂前には大勢の報道陣とスーツ姿の集団が集まっていた。自由惑星同盟議会恒例の議会人選びである。これは旧世紀の地球で行われたイベント福男選びを模倣したもので、総選挙後の初登院日に一番乗りを決めるという何ともくだらないイベントである。しかし娯楽に飢えた有権者の評判は上々でトトカルチョも開催されるくらい人気なのだ。
さて、初当選を果たしたグレゴリー・カーメネフは初登院一番乗りを果たす為、前日の夜から待ち続けていたのだが、彼と同じように前日から待ち続けていた男がいた。自由共和党青年局長のヨブ・トリューニヒトである。彼はこの議会人選びで3回連続優勝という経歴を持っており、今回の議会人選びトトカルチョでも1番人気になっている。
「やあ、君がグレゴリー・カーメネフ君だね?」
「貴方はヨブ・トリューニヒト先生!お疲れ様です!先日の選挙ではお世話になりました!」
「何畏まる必要はないよ。それに選挙の件だって私達の派閥争いの延長線で行われただけだからね。気にしなくていい。それよりカーメネフ君、随分と早い時間から待ってるんだね。」
「どうせやるなら一番乗りを果たしたいですからね。気合を入れるためにも早く来ましたよ!」
「はっはっは、いや~元気で良いことだ。まあ一番乗りを譲る気はないがね。私も4連覇が掛かっているんだ。勝たせてもらうよ。」
2人が話しているうちに続々と当選を果たした議員達とマスコミが集まっていき、遂にその時が訪れた。
「さあいよいよ自由惑星同盟議会恒例行事、議会人選びを開催します!それではスタート!」
係員の合図で正門が開かれた。それと同時に議員達が一斉に議事堂内へと駆け抜ける。
「うおおおおお!!!一番乗りは貰ったあああああ!!!」
前日からスタンバっていたおかげで最前列からスタートできたグレゴリーは先頭を走っていた。スタート地点である正門前からゴール地点である本会議場まで約460メートル。このまま決まるかと思われたが、後ろから猛烈な速さで追いかける者がいた。前回王者のヨブ・トリューニヒトである。トリューニヒトはグレゴリーの突破力を見るや否や、瞬時に彼の後方を確保し、機会を窺っていたのである。一番乗りは2人絞られた。
「あああああ!!!負けるかあああ!!!」
ゴール地点である本会議場が見えるとグレゴリーは最後の力を振り絞りトリューニヒトの追撃を振り払った。
「馬鹿な・・・!?この私が追い付けないだと・・・!?」
トリューニヒトはそう呟くしかなかった。
「取ったどおおおおお!!!」
そう叫びながらグレゴリーは本会議場へダイブを敢行した。
「決まったあああ!今回の議会人選び!一番乗りを果たしたのは!社会改革党のグレゴリー・カーメネフ議員だあ!ヨブ・トリューニヒト議員4連覇ならず!これはトトカルチョも大荒れでしょう!」
「いや~私が負けるとはね。中々やるじゃないかカーメネフ君。」
トリューニヒトは倒れているグレゴリーに声をかけながら彼を起ち上がらせた。
「いててて・・・トリューニヒト先生ありがとうございます!でも先生も凄かったですね。」
「まあね。さあ皆さん!今回の主役であるグレゴリー・カーメネフ議員に称賛を送ろうではないか!」
そう叫ぶとトリューニヒトはグレゴリーの手を取り報道陣にアピールした。たくさんのフラッシュが焚かれる中、グレゴリーは照れくさそうな顔をしながら報道陣のインタビューに答えた。
そして議会人選びが終わり本会議も何事もなく閉会した後、グレゴリーは議事堂内をうろうろしていた。
「やあカーメネフ君。こんなところでどうしたんだね?」
「あっトリューニヒト先生ちょうどよかった。トイレってどこですか?」
「トイレ?私も行こうと思ってたし一緒に行こうか。」
そう言ってトリューニヒトとグレゴリーはトイレで用を足した。
「ところでカーメネフ君。君は酒が好きだと聞いたんだが、結構イケる口なのかね?」
「よくご存じですね。まあ酒はよく飲みますよ。」
「それは良かった。実は駅前近くに美味い焼き鳥屋があってね。この後一杯どうだい?」
「いいですね!行きましょう!あのトリューニヒト先生と飲めるとは・・・自慢できますよ!」
「ははははは!私と君はもう同僚だろう。では行こうか。」
「はい!」
2人は街へ向かって行った。
その後2人は同じ酒が好きという事もあってか意気投合しグレゴリーはトリューニヒトの事を「ヨブの兄貴」と呼ぶようになり、党派を超えた友情を育むこととなる。
後書き
次こそは早めに投稿したいです。
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