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チート転生者が転生者を狩りにきますよ

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1.現状把握

「さて、こうして目覚めたはいいものの、まずここはどこなのだろうか」
 私は完全に迷子になっていた。いや、森っぽいし遭難と言うべきだろうか。
 よくよく観察すれば森というよりも緩やかな斜面の山、というべきだろう。そして聞こえてくる川のせせらぎの音。
「ん?川だって!?」
 是非確認してみなくてわ!しかし、音源は歩くどころか自らの真後ろにあった。
 おお!透き通っていて淀みがない。きれいないい川だねぇ。
 水面に顔を近づけ、───────────そのまま上半身を水に沈めた。そう入水である。
 そして私は、そのまま行く先を川の流れるままに身をゆだねた。










 私、八意永林は現在ピンチに陥っていた。
 首都から出て、首都周辺の薬草を取りに行くがてら生態調査も行っていたら。まさか、妖怪の群れに出くわすなんて。倒せども倒せども湧いて出てくる。しかも、後少しの所で矢が尽きてしまった。私としたところが、迂闊だったわ。
「グヘヘヘ。うまそうな人間の女じゃねーか」
「ああ、ここの所何も食ってなかったんだ」
「そんなことよりおうどん食べたい」
「おう、行ってこい」
「やったぜ」
 なんか一体だけ変なこと言ってるやつがいたきがするわ。このままだと本当にまずいわね。ぐっ!何か武器はないのか!
 周りを見渡し、すると頭の中に複数の選択肢が浮かんだ。
 ① 天才えーりんは一発逆転の策を思いつく。
 ② 首都から誰かが助けにきてくれる。
 ③ 無理、現実は非情である。
(③は有り得ない。②も望みは薄いわね。この時間帯はこのあたりの巡回は無いはずだもの。となると①ね)
 運がいいのか後ろには川が流れている。飛び込めば撒けるかもしれない。
 覚悟を決め後ろを振り返ると。どんぶらこ、どんぶらこ、と人が流れて。
 ……………人が、流れて。




 数分後。


「はあ、はあ」
 助けてしまった。くそっ、助けなければそのまま逃げられたのに。何でこんなときに溺れてる人が流れてくるのよ。
「おい、その人間大丈夫か?」
 何で妖怪まで人の心配してんのよ。まあ、大丈夫でしょう、け、ど。
「息、してないっ!」








「おい!あんた何やってんだ!」
「知らない!私知らないしやってない!」
「早く手当てしてやれ!」
「え!?そっち!?いやどっちだ私!?」ムクッ
 まったく、何でこんなことになってんのよ。それもこれも全部、







 ん?ムクッ?
「あ、生きてた」
 目の前の彼は上半身を起こしていた。
「チッ!」
「チッ!?」
 え?舌打ちした!?舌打ちしたこの人!
「せっかくまともに死ぬチャンスに巡り会えたというのに」
「何で川なんかに」
「見てわからなかったのかい?入水だよ」
 何言ってるんだこいつは。
 あまりの一言に無礼承知でまじまじと目の前の人を見つめてしまった。しかし、他意はない。
「………なんか、襲うタイミング逃しちまったな」
「ああ、あんなこと言われちまったら戦いにくいなぁ」
 何言ってるのあんたらは!あんたら妖怪でしょう!ここのところ何も食べてないんでしょ!?それでいいの!?
「ああ、まあ、あんちゃん。生きてれば何かいいことあるって。じゃあな。妖怪には気をつけろよ」
「いやあんたらが妖怪!?」
 こうして私への危機は去っていった。こんなにもあっさりと。なんなのこいつ。てか、こんなやつと二人にしないでほしい。
「そう言えば、君は?」
「……ハッ!ごめんなさい。ちょっと呆然としてたわ。私は八意永林。さっきはありがとう、あなたは?」


「私は大空涼介。ただの自殺主義者さ」


 何言ってるんだこいつは?

 
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