八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百七十八話 秋の二大イベントその二
「流石に没になりましたが、実際の競技前に」
「その借りものは」
「ご本人は気付かれていないと思ってたんですよ」
自分が鬘を被っていることをだ。
「そうだったんですから」
「それをあえて出すのは」
「流石にやばいんで」
「没になったのね」
「はい」
エリザさんにはっきりと答えた。
「それは止めろって、体育祭の進行委員の間で内密にされました」
「内密になの」
「僕その委員だったんですよ」
中二の頃の話だ。
「このお話もここだけの話ですよ」
「わかったわ」
「それでは」
エリザさんだけでなくジョーンさんも頷いてくれた。
「誰にも言いませんわ」
「そうするわ」
「それでお願いします、とにかく」
この話はだ。
「洒落になってないですから」
「鬘は」
ジョーンさんはまた言った。
「流石に」
「髪の毛の話だからね」
「ご本人も必死ですし」
勿論ばれない様にする為にだ、髪の毛のことは身体のことでも特に気になることだから本当にそうなる。
「それで」
「カエサルだってね」
ローマのこの英雄もだ。
「髪の毛のことはね」
「かなり気にしていたのでしたわね」
「うん、前からきてたらしいから」
何でもそこから薄くなっていたらしい。
「四十代位から」
「それがカエサルのコンプレックスでしたわね」
「それで月桂冠を被られるとなってね」
「喜んでいたそうですわね」
「それで髪の毛を隠せたからね」
薄くなっているその部分をだ。
「あのカエサルでも必死だったんだよ」
「髪の毛のことには」
「うん、もうそれこそね」
「それで兵士にもですわね」
「ネタにされてたらしいね」
その髪の毛のことをだ。
「凱旋してきたら言われたらしいね」
「薄い毛の女好きと」
「もっと酷い言葉だったらしいね」
はっきり言えば禿の女ったらしと言われていたらしい、カエサルが多くの女性と関係があったことも影響している仇名だ。
「実際は」
「そう言われても怒らなかったと」
「らしいね」
嫌な顔をしたらしいがだ。
「カエサルがそれだけ寛容だったとね」
「言われてますわね」
「その様にね」
「それは流石カエサルですけれど」
「今も言われるとかね」
死んで二千年も経ってるのにだ。
「嫌だよね」
「そうですわね」
「自分の業績はともかくね」
「髪の毛まで言われることは」
「いいことではないよ」
僕もそんなことは嫌だ、髪の毛のことを終生どころか死んでからもネタとして言われ続ける様なことは。
「誰だってね」
「ですわね」
「イギリスの王子様もね」
第一王子だ、お顔は美形で背も高いけれど。
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