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異世界は神皇帝と共に

作者:黒鐡
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第1巻
  新たなデザート×対ドウター擬き戦

「魔法の効果を物質に付与するエンチャント、相手を麻痺させて動けなくするパラライズ、鉱物や木製品の形状を造り変えるモデリング、自分の求める物を捜索できるサーチ。俺にとっては使えんな」

「確か本来だと将棋盤を作ってみたんだったか相棒」

「俺は創造の力で創れるから試しに作ってみたらハマった者らが下にいる」

「この世界にはバニラの意味が違うらしいが、プチトマトみたいな実だけど味や香りも俺らが知ってるバニラらしいな」

「さて、やる事もないから下に行くか」

俺は時計を見るとおやつの時間だ、スマホとタブレットの充電を終えて部屋に鍵を掛けてから食堂へ行く。ドランさんと『武器屋熊八』の店主であるバラルさんが対面して座ってた。

「また将棋とは飽きないんだな」

「おう」

「相棒を見ずに返事するぐらいハマってるみたいだな」

「これを創ったのは試作品だが、ルールを教えてやってみると時間を忘れる程とは」

まあバラルさんがハマってくれてよかった、今まで俺が対戦相手をしてたが最終的には勝ってしまう。厨房にいたミカさんに昼食を頼み、二人の邪魔にならないよう離れた席につく。

「バラルさんは店の方はいいのかよ」

「この雨で客も大して来ないから女房に任せてきた。それより一真さん、この将棋盤をもう一セット作る事は可能か?」

「それならいくつでも出来るけど、確かバラルさんの分はあげた気が」

「道具屋のシモンが自分も欲しいって言いだしてな『将棋盤一式、創っといたから持っててよ』相変わらずどこから出してるんだ?」

空間から将棋盤一式を取り出したら王手をしたドランさん、腕を組んでたバラルさんが盤上を睨み出して考え中のようだ。

「はいよーお待たせ、父さん達もいい加減にしなよー」

「悪い悪い、この一番だけな」

雨が降らなければこんなにやり込んでないし、長雨を理由とした言い訳。ミカさんが持ってきた昼食は山菜パスタとトマトスープ。

「ミカさん、他の皆は何してる?」

「リンゼちゃんは部屋に居ると思うけど、エルゼちゃんと八重ちゃんは出かけたよ」

「この雨の中で何しに行ったんだ?」

「パレント新作のお菓子を買いに行ったの」

あーもしかてアレかな?随分前に新たなデザートの試作品を持ってた事があって、空間内にある厨房でロールケーキを作ってみた。生クリームたっぷりのから抹茶やイチゴのも一緒に持っていった。

残念ながら抹茶は無さそうなので、現地材料のみで作るならロールケーキとイチゴロールケーキのレシピを渡して試しに作ってみたら美味かった。その話をしたらエルゼ達が食い付いたけど、試作品と完成品出すなら完成品出すので持って帰る事も作り出す事もない。

「ま、スイーツが好きなのは当然か。でもこの雨の中で買いに行くととは」

「ただいまー。うわー濡れた」

「ただいまでござる」

「その傘も役に立ったようだな」

二人の帰還したがビニール傘を畳んで入り口に立て掛ける。ここでは布と木で作られた傘しかない、俺が持つビニール傘を量産して二人に貸してあげたのと今後必要ならレンタルする事も検討中だ。

「お帰り、にしてもこの雨の中で買い行くとは」

「バッチリ買えたわ、雨のお陰で人が少なかったから」

「美味しかったでござるよ」

「食ってきたのか」

笑顔だから買いに行ったのと食ってきたからか。ミカさんの分を渡してエルゼは袋から計四つの白い箱を取り出す。一つはミカさんに手渡し、一つはリンゼで一つはエルゼ達でもう一つはアルフレッドの分だと。

「アルフレッドの分まで買ってきたのかよ」

「公爵様にもお世話になったからね。一真が届けに行ってよ、こんな雨の中で届ける事が出来るのは一真だけなんだから」

アルフレッドの分を持って行くが、エルゼ達は畏れ多いからと。まあアルフレッドと呼び捨てしてるのは俺だけだし、プトレマイオス神国大公で大御所みたいだからかもしれん。

ドランさんには悪いが、アルフレッドに届けるのが最優先なのでそのまま部屋に行き鍵を掛けてからゲートを使う。屋敷の門前に座標設定してからゲートで向かい、門番に土産を届けに来たと言うと案内してくれた。

「うまあ!これうまあ!」

「はしたないですよ、スゥ。でもホントに美味しいわ。このロールケーキと言うの」

エレンとスゥは大喜びでロールケーキを食べてるし、アルフレッドも唸りながら食べてた。

「これをいつでも食べられるとは、リフレットの人達が羨ましい。一真さんみたいにゲートを使えば毎日買いに行けるんだが」

「ロールケーキ一人前だけで結構なカロリーだから、レシピと作り方を屋敷の料理人に教えておくよ。別に秘密ではないが、俺らの神国では週一で食ってるからな」

「本当か一真!母上、これから毎日食べられるのじゃ!」

「もう、スゥったら。一真さんの言う事が正しければカロリー制限しなければなりません。毎日ではなく週に一回にしときなさい」

何せ生クリームだけでカロリーが高い、こちらで作るなら低カロリーの生クリームを作るけどこちらだと材料がいくつか足りない。だから代わりの物を使ってるからカロリーが高くなってしまう。

「ところでこれが将棋と言うものかね?」

「二人でやるゲームと言うか遊びなんだけど、試しにやってみる?」

「父上!わらわも!」

「まあ待ちなさい。まずは私からだ」

将棋盤と駒を眺めてる間に駒を自陣と敵陣に配置、ホントは別ゲームにしようと思ったが出来れば正史のようなルートを通るよう頼まれたからな。ドライグの声そっくりな爺さんに。

「駒の動かし方に関しては取扱い説明書に纏めておいたが、実際にやってみながら覚えてもいいと思うぞ」

「ふむ、これはまるで戦争みたいな布陣なのだな」

「ハマると何局もやって終わりが見えなくなるから、覚えて上達したら帰らせてもらうから」

本を見ながら駒の動かし方を覚えていくアルフレッド、結局のところハマってしまい夜になってしまった。スゥも待ちくたびれたのか寝てるし、この世界に娯楽が少ないと改めて思い知ったわ。

まだ会った事のない国王にまでやらせるつもりだが、流石に国政まで響くからやらせないよう釘を刺しておこうか。雨も上がってるから明日からギルドの討伐でもやるとしよう。腕が鈍ってなければいいんだけど。

「八重、そちらに行かせた」

「承知でござる!」

俺の視界から消えた奴は八重と斬り合ってた、漆黒の騎士鎧と禍々しい大剣を持つデュラハン。今回の討伐対象だが俺は主に援護するだけ、八重やエルゼとリンゼのパワーアップが目的。

「見た目はデカいが俺だと一振りで終わってしまう、たまには別の武器でやってみようか」

『もしかしてショットガンを使うのか?』

八重が危なそうな時だけ使うショットガンは、衝撃と共に脇腹を拳で抉り体勢を崩した相手に回し蹴りを炸裂。

「エルゼ、一角狼の方は片付けたようだな」

「まあね。でも三十匹もいるなんて聞いてないんだけど」

「恐らく俺が一緒だからだと思うぞ」

『相棒が一緒なら自然と数が多くなるのは分かってるはずだ』

リンゼも駆けつけて来たから終わらせたのだろう。エルゼの攻撃にデュラハンは動きを止めていたが、大剣で相手の首に降りかかる。エルゼは躱して八重の方へ行く。

「【炎よ来たれ、煉獄の火球、ファイアボール】」

リンゼの放つ火球がデュラハンに当たるけど背中に命中後、八重の攻撃を大剣で防いでしまうのが難点か。持久戦になると不利になる三人娘、どうにか俺を主力にさせたいのだろう。

デュラハンに生命の活動はなく、アンデッドだから聖なる技が弱点でもある。なので聖剣エクスカリバーの力を使った一刀両断してみようと思う。光属性はリンゼも使えるけど得意魔法ではない。

「リンゼ、氷の魔法でアイツの足を止めてくれ。そしたら俺がやる」

「分かりました・・・・【氷よ絡め、氷結の呪縛、アイスバインド】」

「今だ、はああああ!」

リンゼの魔法発動と共に動く俺、デュラハンの足元が凍り付くが三人娘が気付く時には敵の後ろにいた。で、刀を鞘に戻した瞬間に一刀両断されて消滅した。聖剣エクスカリバーの力により、全身に聖なる力で瘴気を浄化していく。

「凄い切れ味、これが一真殿の力でござるか」

「片付いたけど結局のところ最後に持ってかれたのは一真なのね」

「そうしないと私達が弱いままでは困りますけど・・・・」

「俺の力は金ランクより上だと言う事は理解してもらいたい、一角狼の大群が一緒だと言うのも想定内だったが」

エルゼにリンゼと八重は安堵の呟きと共に、改めて俺の力が如何に強いかを理解させるために一刀両断させたんだが誤算だったかな。三人娘のギルドランクは緑、一人前の冒険者として認定となる。

緑の依頼を受けようとしたが、たまには違う町のギルドで依頼を受ける事にした。そう提案したのはエルゼで、王都の冒険者ギルドに来たら廃墟に巣くう魔物討伐を選択した。

『にしてもこの廃墟は千年前の王都みたいだが、当時の王はここを捨てて新たな王都を作って今に至る訳か』

「穴だらけの城壁と石畳と建物、それと崩壊してる王城らしき瓦礫の山を見れば廃墟と言うより一種のゴーストタウンだな」

『魔物や魔獣が棲みついては冒険者が討伐してもまた棲み付くと言う無限ルームだなこりゃあ』

「そうならないために神の結界を敷く必要性がある。二度と近付かないようにするには魔獣や魔物が嫌う聖なる力でな」

皆が休憩してる間に俺は6対12枚の翼を展開、太陽光を集めて神の力を発動。人間には見えないが、ここら周辺に光の結界を張り外から来る奴らが来ないようにした。まあギルドにとってはデメリットかもしれんけど、無限ループから抜けるにはこれが手っ取り早い。

「相変わらずあの姿を見ると神様って感じはするわね」

「ですね~今光属性の魔法を使ってるようですが、私にも分からない事をやってるんだと思います」

「一刀両断できたのも一真殿が持つ剣によって、だけど拙者には触らせてもらえないでござる」

「そりゃそうだろう。これは俺だけしか触れないようにしてあるし、いつもアクセサリー化させてるから触れられないよ。光の結界で外から来る奴らは来れないようにしたが、ここに王家の財宝か封印された魔物がいれば面白いんだが」

「それは無いと思います。国を滅ぼされたのではなく遷都しただけだから宝も全て持って行ったはずです」

まあそうだろうが言ってみただけで、実際封印された魔物がもしドウター絡みだと面白くなってくるのだが。すると通信機から連絡があったので耳にはめる。

「どうした?」

『微弱ではありますがドウター反応があります』

「と言う事は封印された魔物がいるのか、とりあえず索敵はしてみるか」

『こちらからやりましょうか?』

「いやいい。こちらからやった方が面白味がなくなる」

財宝か魔物かドウターか、どっちでもいいが面白くないとこの世界に来た意味がない。この通信はトレミーからで常に俺らを見てるが、プトレマイオス神国と言う国が存在してるから着艦スペースやドッグなどもある。

「ふむ、索敵を使ってみたら一つ引っ掛かったのがあったぞ」

「それは【サーチ】のような魔法ですか?」

「違うと言っておこう。財宝や歴史的遺物でもないが、何かある事しか言えんな。こっちから感じる」

「この瓦礫の下でござるか」

瓦礫を片付けるのではなく空間切断により下へ行くと両扉がある。鉄で出来た扉は錆びてない、恐らく瓦礫に埋まってたからか鉄ではないのかも。ポケットからライトを取りだし、リンゼは魔法のライトを使って石の階段を降りる。

とりあえずこの迷宮をスキャンしてみると結構広い事が分かるし、幽霊とか出そうだなと思えばエルゼと八重はその類いを信じてそうだ。その証拠に俺の服を引っ張ってる、リンゼは平然と進んでるから度胸あるな。

「ほう、これは古代文字なのか?」

「私は全く分かりません。古代魔法言語でもなさそうです」

「正面の壁一面に歴史的遺物なのだろうが、俺が引っ掛かったのはこの奥っぽいけど扉とか無さそうだ。一応スマホで撮っておこう」

「記録でござるか」

「それも便利だけど私達には使えないもの。あたしらに使えればいいんだけどね」

「これは我が神国で作られた技術だから触らせる訳にはいかんのだ」

フラッシュモードにして何枚か写真を撮るが、皆もだんだん慣れてきてよかった。壁画を全て撮影してるとエルゼから声がかかる。

「ねえ、ちょっと!皆ちょっと来て!」

「何お姉ちゃん・・・・これは魔石ですね。土属性の魔石ですから魔力を流すと何かが起こると思います。仕掛けか罠かは分かりませんが」

「なら流してみるが、一応皆は下がってくれ」

こんな見え透いた罠だと思うと設置した者がバカなのかもしれんが、何らかの起動キーなのかもしれん。一応だから下がらせて魔力を流すと目の前にあった壁が砂となって穴が空いて派手な開閉ドアが出現する。

奥に行こうとしたらドウター反応が、ゲートかと思えば封印された魔物反応かもしれない。ソイツが動き出す前に倒しておこう、三人娘をゲートで外に出した後は魔力でわざと復活させてから一刀両断。

「ふう、三人娘を先に逃がして正解だなこりゃ」

『こちらトレミー、恐らくドウター反応出てたのはソイツの可能性が高いかと』

「やっぱりか。この赤い核が魔法を吸収して再生能力を得る魔物、魔石と関係がありそうだ」

『分析した結果、ドウター反応があったのは魔石のようです。ただ本来ならゲートから出るドウターではないので、恐らく古代にいた一体を封印したんだと思います』

他人の魔力吸収により再生能力と防御を使った方法だとするなら、だが俺が倒すドウターではないのなら三人娘らに倒すヒントだけ出せばよかったのか?とりあえずゲートで上に戻った後、一体何があったのか事後報告をした。 
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