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夢幻水滸伝

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第六十九話 山賊征伐その二

「そうしてるな」
「そういうことやな」
「ほなあそこからな」
「さらにやな」
「進んでいくで」
 山の奥の方にというのだ。
「そうしていくで」
「わかったで、しかし見たところ」
 狐はコボルトの山賊を見つつ言った。
「こいつそれなりの強さやな」
「うちの足軽連中と同じ位か」
「それ位の強さやな」
「そやな、大体な」
 実際にとだ、芥川もその山賊を見て言った。
「そんなところか」
「ああ、山賊として慣れてるわ」
「戦いにな」
「これは確かにいきなり攻めてくるにはな」
 そうしてくればというのだ。
「強いわ」
「奇襲仕掛けて殺して奪って去る」
「それをやるとな」
「随分な強さや」
 そうなるというのだ。
「ほんまにな」
「賊は何ていうてもな」
 その賊の性質も話る彼等だった。
「奇襲、急襲がや」
「強さの源やな」
「相手を急に攻めて急に去る」
「それが強みやな」
「正々堂々正面と戦ってな」
 そうしてというのだ。
「勝つとかはな」
「賊の戦い方やないな」
「そや、それは軍勢の戦い方や」
 それになるというのだ。
「賊の戦い方はまたちゃう」
「奇襲、急襲やな」
「それや、連中の強さはな」
 それはと言うのだった。
「相手の不意を衝くことや」
「つまりや」
「そや、逆に言うとや」
「自分が奇襲急襲をかけられるとな」
「それの用心はしてるけれどな」 
 相手の方もだ、自分達が奇襲急襲を仕掛けるのならそれに備えることも当然だというのである。
「それでもな」
「自分達も奇襲急襲には弱い」
「そうなる」
 まさにというのだ。
「それでや」
「ここはやな」
「こっちがやる」
 奇襲急襲をというのだ。
「そうする」
「よし、ほなな」
「まずは敵のお口に入るわ」
 こう話してだ、芥川と狐は賊共の縄張りに入っていった。中に入れば粗末な木造りの家が幾つかありその中に賊達がたむろしていてだった。
 山の奥深くに砦があった、芥川はその砦を観て言った。
「ここがな」
「まさにやな」
「賊共の本拠地や」
「そやな」
「ああ、しかしな」
 それでもいうのだ。
「すぐに火を点けることは出来るが」
「しかしやな」
「この中には攫われた人達もおる」
 彼等もというのだ。
「その人達を巻き込むつもりはない」
「そやからやな」
「そや、別の方法を採るわ」
 敵の本拠地を焼くという効果的な方法は採らないというのだ。 
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