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八条学園騒動記

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第四百八十六話 双子の閃きその八

「何かが生まれないでしょうし」
「それは確かにあるな」
「だからそうも思ったけれどね」
「歌舞伎で出来なくてもか」
「歌劇じゃあったわね」
「あったか」
「ブリテンの作品で」
 イギリスのこの作曲家の作品でというのだ。
「二十世紀の作品でね」
「確か前衛劇が出た時代だな」
「そう、まさにその時代の作曲家で」
「前衛的な要素もか」
「かなりあった人で」
「音楽に取り入れていたんだな」
「あえてそうした作品もあるの」
 ギリシア劇の舞台の下から驚いたり笑ったりするその人達をというのだ。
「温故知新でしょうね」
「それでやったんだな」
「これが成功したみたいよ」
「実際にか」
「この大学の歌劇ではブリテン自体殆どしないけれど」
「そういえば少ないな」
 アルフレドにしてもだ、衣装部として歌劇部を見ている立場から述べた。
「高等部でも大学でもな」
「ブリテンの作品上演しないわね」
「この一年していないな」
「というか十年はね」
 それ位の間というのだ。
「してないって話よ」
「あれだけの数の作品を上演していてもか」
「それでもね」 
 ブリテンの作品はというのだ。
「うちの高等部も大学も歌劇は前衛的なの好きじゃないみたいだから」
「部活の傾向でか」
「そう、それでね」
「ブリテンは少ないか」
「モンテヴェルディとかはしても」
 歌劇を確立したと言われている作曲家だ、十七世紀の人物だ。
「ブリテンはね」
「少ないか」
「この十年上演したことがない位にね」
「本当に少ないな」
「結構華やかな作品多いみたいよ」
「だから前衛的な作品は少ないか」
「それでベルクもね」
 この作曲家の作品もというのだ。
「少ないみたいよ」
「モーツァルトは多いみたいだな」
「あの人の作品は定番よね」
「うちの学園だとな」
「舞台も華やかで」
「前衛的じゃないな」
「けれど演劇部の舞台はね」
 こちらはというと。
「前衛劇もあって」
「暗黒舞踏部もあるしな」
「そうそう、サイケとかアングラとかいうみたいだけれど」
 ビアンカのここでの言葉は今一つはっきりしないものだった、実はそちらへの知識はあまりないのだ。
「ああしたね」
「暗黒舞踏をやる部活もあるしな」
「私あっちはよく知らないけれど」
 兄にもこう返した。
「どうもね」
「知らないのか」
「何か趣味じゃないから」
 それでというのだ。
「知識もね」
「ないんだな」
「そうなの。理解出来ない世界よ」
 ビアンカにとってはだ。
「あっちは」
「前衛は理解出来てもか」
「理解出来てもあまり積極的に好きじゃないけれど」
「それでもか」
「まだそっちはいけるの」
 前衛劇はというのだ。
「けれど暗黒舞踏になると」
「どうもか」
「知識もね。殆ど観たこともないし」
 それ自体ないというのだ。 
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