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八条学園騒動記

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第四百八十六話 双子の閃きその六

「それでもね」
「江戸時代、本人じゃないとか」
「そういうことにしているとね」
「幕府も許していたか」
「先代萩なんて」
 この作品はというと。
「伊達政宗さんのあの家のお家騒動だけれど」
「あの戦国大名のか」
「家紋そのまま使っていても」
 伊達家のそれをだ。
「室町時代ってことで」
「通ったか」
「伊達家も文句言わなかったのよ」
「普通言うだろ」
「今だとね」
 この時代ならとだ、ビアンカは答えた。
「言うけれど」
「それでも昔はか」
「昔の日本、江戸時代だとね」
「名誉既存の概念はなかったか」
「そういうこともなかったし」
 侮辱しただのどうだので騒動になることはあってもだ。
「だからね」
「先代は仙台だな」
「そう、伊達家は足利家で五十四万石は五十四郡になっていたけれど」
「確か伊達家は源氏か」
「その名門よ」
 ただし本当は藤原氏のルーツだったと言われている。
「これ彰子が言ってたけれど」
「伊達家の話はか」
「先代萩の話もこの歌舞伎部の舞台でね」
「教えてくれたんだな」
「事前にね」
 先代萩の舞台を行う前にだ、彰子が教えてくれたのだ。
「そうしてくれたけれど」
「それでか」
「そう、それでね」
「丸わかりも丸わかりか」
「隠していないけれど」
 伊達騒動を扱った作品であることをだ、尚この作品の本題は伽羅先代萩、読むと『めいぼくせんだいはぎ』となる。伽羅を『めいぼく』と読ませるのだ。当時の藩主が名木の下駄を履いて吉原に行っていたことに由来する題名だ。
「それでも伊達家は嫌だったことは間違いないけれど」
「抗議はしていないか」
「そうなの」
「仙台藩の度量が凄いな」
「こんなの今作品としてやったらね」
「確実に抗議が来るな」
「どの国でもね」
 まさに名誉毀損の咎でだ。
「そうなるわ」
「そうだな」
「忠臣蔵は問題にならないけれど」
「どの国の政府を批判してもな」
「何もないわよ」
 どの国の政府も市民に批判を受けている、これは中央政府も同じだ。民主主義の根幹の一つ言論の自由が保障されているからだ。
「それで当時の日本もね」
「幕府自体だと言わないとか」
「批判出来たのよ」
「開祖の人までもだな」
「そうだったのよ」
 当時神君とさえ言われていた家康さえもだ。
「鎌倉時代とか言えばね」
「凄い時代だな」
「まあ連合って当時の日本みたいだって言われてるけれど」
 中央政府と各国政府があるからだ、幕藩体制が各国政府の権限が強い連合と似ているというのである。
「器の大きさがね」
「凄いな」
「当時の世界の政権の中でもね」
「江戸時代の日本は凄いな」
「もう色々庶民文化も栄えていて」
 それでというのだ。 
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