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レーヴァティン

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第七十五話 霧の都その三

「調味料もお塩かお酢だけで」
「その二つだけかよ」
「それで何でもケチャップで」
「何でもか」
「それで誤魔化す、いや済ませるから」
 淳二は本音は慌てて打ち消した。
「ついでにお魚のパイはお魚一匹丸ごとだしね」
「切らないんだな」
「そんな発想ないよ」
 イギリス料理には、というのだ。
「何でそうするって感じなんだ」
「凄いな」
「鰻のゼリーなんてね」
 わりかし知られているこの料理はというと。
「煮凝りと同じかっていうと」
「違うか」
「あんないいものじゃないよ」
「また違うものか」
「若し日本でお店に出したら」
 その鰻のゼリーをだ。
「某陶芸家で美食家の偉そうな爺だと」
「息子の新聞記者でも同じだろうな」
「あの親子の周りの連中全員そうだけれど」
「まず怒るか」
「まずいもの食べたらすぐに怒り狂うから」
 もっと言えば自分の気に入らないもの特に化学調味料を使っているものを出すと店の中で喚き散らす、悪質な営業妨害でインターネットの動画サイトに掲載すべき悪行である。
「もうね」
「怒り狂うものか」
「というかあの漫画でイギリス出たことある?」
「ないだろ、俺あの漫画読んでないけれどな」
「読んでないんだ」
「何から何まで嫌いだからな」
 それでとだ、久志は淳二に答えた。
「読んでないんだよ」
「そこまで嫌いなんだ」
「ああ、昔の作品をちょっと読んでな」
 初期の作品をというのだ。
「あの親子とその周りの連中にも腹が立ってな」
「読まなくなったんだ」
「あの漫画の登場人物って皆同じだろ」
 どう同じかというと。
「異常に短気で無教養で粗暴な野蛮人ばかりだろ」
「うん、奇天烈な人ばかり出るね」
 勿論悪い意味でだ、淳二もそのことは認めた。
「お店の中でまずいって言って喚き散らす様な」
「まずいなら食うな、だろ」
「お金を払ってね」
「某スタンド使いは払わないけれどな」
 第三部の主人公だ、ただしこのキャラもまだお店の中で喚く様なことはしない。彼は彼で個性的であるがだ。
「あれは論外だからな」
「完全に営業妨害だからね」
「他のお客さんが文句つけたらこんな店の味で満足するな、だからな」
「何か原作者もお店でまずいと思ったら喚いたらしいし」
「原作者の人間性が出ているんだな」
「だからあんなキャラばかりみたいだよ」
 最近は残念ながら巷にも増えてきているが社会不適格者と断言出来る様な登場人物ばかりだというのだ。
「原作者がそうで」
「それでか」
「うん、ああしたね」
「有り得ない位短気で野蛮で下品な野蛮人ばかり出るんだな」
「特に怒りっぽいのが目立つね」
「あれおかしいだろ」
 まさに異常なまでに短気だというのだ。
「原作者もそうなんだな」
「そうみたいだよ、それであの漫画の連中に出したら」
「確実に怒鳴り散らすか」
「そんな代物だよ」
「そうなんだな」
「ちなみに福岡の料理上手のサラリーマンさんだと」
 子供は二人いる非常に大柄で顎が目立つ人だ。 
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