八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百七十三話 涼しさその十三
「四川の方の猿人とか」
「山奥にいる」
「それは有名だと思うある」
世界的にというのだ。
「海南の方にもいるらしいある」
「ヨーウィみたいな」
エリザさんはオーストラリアの猿人を出した。
「ああした」
「そうある、ビッグフットみたいな」
水蓮さんはジョーンさんを見てエリザさんに応えた、アメリカのロッキーの方に出るという謎の猿人だ。
「そういうのがいるある」
「ヒバゴンですね」
小夜子さんも言ってきた。
「言うなら」
「ヒバゴンは日本のあるな」
「猿人ネ」
「はい、広島の比婆山に出ると言われています」
小夜子さんは水蓮さんとジョーンさんに答えた。
「ヒバゴンは」
「あれ本当に出るノ?」
「いるあるか?あの山に」
「本当にいたら大変だけれド」
「大騒ぎあるよ」
「今も名物になっていますが」
その比婆山のだ。
「ですが今見た人は聞かないですし」
「それじゃあ今はいないのネ」
「そうあるか」
「見た人がいた時も見間違いだったかも知れません」
小夜子さんはこうも言った。
「ただ日本にはこうした大きな猿のお話も多いですが」
「狒々ですね」
円香さんが言ってきた、そういえば円香さんの出身地である奈良県も山に囲まれている地域だ。南は特に凄い。
「猿の妖怪は」
「あと猿神もいますね」
「はい、四国に多いです」
猿神の話はというのだ。
「そして小夜子さんのおられる地域にも」
「広島にもですか」
「近くに狒々の話がありました」
広島県の近くにというのだ。
「昔美作と言われていた地域ですが」
「確か岩見重太郎の」
「あの豪傑が退治した狒々です」
大坂の陣に豊臣方で参加して壮絶な討ち死にを遂げたという、その豪傑にまつわる逸話だ。
「そのお話もありまして」
「ではヒバゴンも」
「狒々かも知れないですね」
日本の山に出るというこの妖怪が正体だったかも知れないというのだ。
「若しかすると」
「そうですか」
「その辺りはよくわかりませんが」
円香さんにしても憶測だというのだ。
「ですが我が国にもです」
「大型の猿の未確認動物のお話はありますね」
「それも昔から」
「そもそも猿がいる国だ」
こう言ったのは留美さんだった、この人の出身地の京都府にしても四方を山に囲まれている。所謂盆地だ。
「ニホンザルがな」
「そのニホンザルで、ですね」
「大型のものがだ」
「狒々やヒバゴンだったかも知れないですか」
「そうかも知れない、ただ大きいといっても」
狒々なりヒバゴンなりがだ。
「オランウータン程だと思うが」
「大体その大きさですね」
「あまり大きくないか」
「妖怪にしては」
「若しくは熊か」
「熊の見間違いですね」
「これもよくあることだ」
未確認動物と既に認知されている生物を見間違うことはだ。
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