うみねこのなく頃にお茶会を
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Episode 2 Turn of the golden witch
戦人「よ~し、今回も無事終わったな」
朱志香「お、お疲れ様だぜ……
ぷっ、くくくくく……」
譲治「じぇ、朱志香ちゃん。
わ、笑っちゃ駄目だよ…
くっ、ふふふふふふ」
戦人「な、何だよ二人とも。
変なもんでも食ったのか?
これから今回の話を振り返るんだぜ。
しっかりしてくれよ」
朱志香「わ、わりい…
で、でもよ。お、お前が…
ぷっ。わははははははははは」
譲治「くくく。だ、駄目だ。
どうしても思いだしちゃう。
あははははははははは」
戦人「い、いい?
ほ、本当にどうしたんだよ二人とも。
しっかりしてくれよ。
何だよ、俺がなんだってんだよ」
真里亞「戦人、お馬さん♪
ベアトのお馬さん♪
うー♪うー♪うー♪」
戦人「ま、真里亞!
ふ、二人ともそれで笑ってたのかよ!
わ、忘れてくれよ。あの件はよ」
紗音「皆さま、お茶をお持ちしました」
嘉音「お嬢様、大丈夫ですか?
少し落ち着かれてください」
朱志香「か、嘉音くん?
わ、私は大丈夫だぜ。
お、お、お茶ありがとう」
譲治「ああ、紗音ありがとう。
お陰で落ち着いたよ」
戦人「ああ。全くだ。
二人が来てくれて助かったぜ。
あのまんまじゃ話が始められそうになかったからな。
よし。
んじゃ改めて今回のお疲れ様会始めるか。
折角だ。
紗音ちゃんと嘉音くんも加わってくれよ。
なんたって大活躍の二人だからな」
紗音「戦人さま、そんな…
大活躍だなんて」
嘉音「ねえさんの言う通りです。
僕らは結局自分も自分の大事な人も護れなかった。
あの邪悪な魔女に屈してしまったんです。
僕にもっと力があればお嬢様を…」
朱志香「か、嘉音くんは悪くないよ!
私を守って戦ってくれたじゃんか!
そりゃ結果はああだったかもしれねえけどさ……
でも私の為に戦ってくれた!
嘉音くんは私の為に戦ってくれた!
私すごく嬉しかったよ。
嘉音くんの背中に庇われてる時。
すごく嬉しかったんだ…」
嘉音「お嬢様……」
戦人「ああ、ええと盛り上がってるとこ悪いんだけどよ。
話戻していいか?
野暮で申し訳ねえけどよ」
朱志香「え?あ!?
も、勿論だぜ!
は、話だよな?!進めろよ!
うん!
どどーんと進めろよ。うん」
嘉音「失礼しました。戦人さま。
どうぞ、話をお進めください」
戦人「まあ二人の話も聞きたいとこではあるんだけどな。
今回はやっぱ、あの魔女の事から始めねえといけねえだろ」
真里亞「ベアトリーチェ!
ベアトはいっぱい遊んでくれた!
ママもいっぱい遊んでくれた!
ベアトのおかげだよ。
うー♪」
戦人「真里亞!
お前あれ見て何とも思わねえのかよ!
あの最後の……」
譲治「戦人くん。止めるんだ」
紗音「戦人さま。
真里亞さまはベアトリーチェさまを信頼しておられるんです。
ですから、その……」
戦人「兄貴…紗音ちゃん……」
真里亞「戦人。
今は分からなくてもいいよ。
でもね。
いつか戦人にも分かって欲しい。
ベアトはね、本当に"い"るんだよ。
そしてみんなを黄金郷に連れていってくれるんだ。
そこではみんなみんな幸せに過ごせる。
だから何も心配はいらないんだよ。
悲しむ必要もない。
だってそこに行けばママはいつだって真里亞に優しくしてくれるんだから」
戦人「………分かったよ。
兄貴、わりい。
ちょっと進行を任せてもいいか?
俺は少し頭冷やすわ」
譲治「うん、分かったよ。
さて今回は魔女ベアトリーチェがいよいよ本編に出てきたね。
戦人くんとベアトリーチェの対決。
どうやらこれがこの物語の基本的な図式になりそうだね」
紗音「ベアトリーチェさまは六軒島で不可能殺人を犯す。
それは一見魔女の仕業としか思えない。
ニンゲンには到底不可能だと」
嘉音「だが戦人さまはそれを認めない。
あくまで犯人はニンゲンであり、魔女などは存在しないという主張を貫き通す」
朱志香「魔女とニンゲンの戦い、か」
譲治「僕としては心情的に戦人くんに頑張ってもらいたいところだけれど状況は中々に厳しそうだね」
紗音「密室殺人…
ミステリーの王道とも云える犯罪ですね。
それだけにトリックも出尽くした、とも言えるのですが…」
嘉音「それを封じる為に魔女が繰り出した楔。『赤き真実』」
朱志香「う~ん、あれだけどよ。
本当に信じていいのか?
魔女がそう言ってるだけだし…」
真里亞「ベアトは嘘つかない!
ベアトが真実って言ったら真実なの!」
譲治「真里亞ちゃんに賛成だね。
これはベアトリーチェと戦人くんとゲームだ。
ゲームにはルールが必要不可欠。
そのルールそのものが信じられないとあってはゲームが成り立たないよ」
紗音「そしてその"ゲーム"はベアトリーチェさまと戦人さまだけで行われているものではありません」
嘉音「竜騎士07とプレイヤーの皆さまとの間で行われているものでもあります。
あなたは魔女を信じるか、と」
朱志香「そういやそうか。
でも、だったらいよいよ手詰まりじゃねえか?
あの『赤き真実』ってのでやたらめったら頑丈な密室造っちゃったぜ?
あの魔女はさ。
戦人だってそれで一回は屈しちゃったわけだろ」
戦人「へ!笑わせんな!」
朱志香「お、戦人復活か?」
戦人「ああ。
充分頭冷やしたぜ。
本編でも此方でも俺は大人しくなんざしてらんねえんだ。
確かにあの『赤き真実』ってやつは厄介だけどよ。
魔女なんざいるわきゃねえんだ。
あの密室だって何かトリックがあるに決まってる。
まあ見てな。
次の話じゃ俺が魔女ベアトリーチェなんて名乗ってるふざけた犯罪者野郎の化けの皮をひっぺがしてやるさ!」
真里亞「きひひひひひひひひひひ。
戦人は本当に単純だね。
密室なんて大した問題じゃないよ。
戦人だって見ただろ?
嘉音は何と戦っていた?
どうやって戦っていた?
紗音だってそうさ。
魔法を使えるのはベアトリーチェだけじゃない。
そこの二人はお爺様の家具だからね。
ベアトリーチェの家具には結局敵わなかったけどね。
それでもあの二人が見せたのは確かに魔法だよ。
魔法戦闘さ。
これ以上明確な魔法の証明があるかい?
きひひひひひひひひひひひひひひひひ」
戦人「あ、あれは、よ……」
紗音「………」
嘉音「………」
譲治「二人が何も言わない以上、ここで問い詰める事はするべきではないんだろうね」
朱志香「あ、あのさ。
こう考えたらどうかな?
ほら最近のミステリーってさ。
超能力とか魔法の存在を前提としたものもあるって聞くぜ。
この話もそうなんじゃねえか。
大抵そういう話ではさ、魔法使う側にも何らかの制限があるんだよ。
一日何回までとか、距離の問題とかさ。
本当に何でもありってんならともかく、そういう条件みたいなのがあれば。
なんかこう……
考え方もあるんじゃねえかな」
真里亞「きひひひひひひひひひひ。
無駄だよ。
ベアトリーチェは無限にして黄金の称号を持つ魔女さ。
その魔力は無限大。
魔女の力に制限なんてないさ。
きひひひひひひひひひひ、あっ痛!」
戦人「折角の朱志香の意見だけどよ。
俺は魔女の存在を否定する。
それは魔法や超能力なんてあやふやなものも含めてだ。
魔女がやった犯罪は普通の人間であれば誰にでも出来るものだ。
俺はそう信じて戦うぜ」
譲治「う~ん。
その辺りはなんとも言い難いところだね。
作者である竜騎士07がどう考えてこの物語を紡いでいるのか……
なにしろ最初から今度の物語は推理可能であることを保証しない、なんて宣言してるわけだしね」
戦人「作者の野郎が何を考えてるかなんざ知ったこっちゃねえさ。
そっちはプレイヤーのみんなに任すぜ。
俺の敵は魔女だけだ。
うちの家族を二度もぶち殺しやがって…
ぜってえ許さねえ!」
朱志香「二度……
そっか。
前の話もあったな。
………あれ?
そういや前の話と今回ってどう繋がんだ?
戦人の言う通り魔女なんていないんだとしたらさ。
結局あの日六軒島で何があったんだ?」
紗音「1986年10月4日」
嘉音「1986年10月5日」
紗音「嵐に閉ざされた六軒島」
嘉音「嵐に閉ざされた二日間」
紗音「島の中で起こった殺人事件」
嘉音「その二日間で起こった殺人事件」
紗音「誰が」
嘉音「どうやって」
紗音「"何故"」
嘉音「行ったのか」
紗音・嘉音「「それは永遠に闇の中」」
朱志香「な、何だよ二人とも急に…」
譲治「紗音?」
紗音「申し訳ありません。
驚かせてしまいましたか」
嘉音「ですが、此だけは申し上げておかなくてはならないのです」
紗音「あの二日間に島で起こった事。
その真実は誰にも分からないんです」
朱志香「………」
譲治「………」
戦人「………二人には二人の事情があるんだろうぜ。
その力も含めてな。
譲治の兄貴が言った通り、ここで問い詰める気はねえよ。
ここはそういう場じゃねえしな。
だがどうしても聞いておきてえ事が一つだけあるんだ。
嘉音くんにな」
嘉音「何でしょう。戦人さま」
紗音「………」
朱志香「………」
戦人「あのよ………」
嘉音「………」
紗音「………」
朱志香「ば、戦人。あまり嘉音くんを」
戦人「朱志香のライヴどうだった?」
嘉音「は?」
朱志香「はい?」
紗音「くす」
戦人「いや~俺も直接観たかったぜ。
なんかスゲー衣裳着てたよなあ。
歌詞もはっちゃっけてたし。
嘉音くんが羨ましいぜ。
いいもん生で観れてよ」
朱志香「ば、ば、戦人ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
嘉音「あ、はい。
なんだかとても眩しかったです」
朱志香「嘉音くんも!
真面目に答えなくていいから!」
戦人「眩しかったかあ。
いやあ、あの朱志香がなあ。
そういや友達連中にもだいぶウケ良かったみたいじゃねえか。
僕っ子キタああああああってか。
ぎゃはははははははははははははははははははははははははははは」
朱志香「うううううううるせえよ!
ら、ライヴの事は言うんじゃねえ」
紗音「嘉音くん、いいなあ。
私もお嬢様のライヴ観たかったな♪」
朱志香「紗音まで?!
な、何だよ。そっちだって色々恥ずかしいとこ見せてただろ?」
紗音「私と譲治さんとの間に見られて恥ずかしいものなんてありません」
譲治「うん。
朱志香ちゃんには悪いけどね。
僕と紗代が築き上げてきたものは誰に対しても胸を張れるものだよ。
隠すべき何物もないよ」
朱志香「だ、駄目だ…
この二人にはかなわねえ…」
嘉音「申し訳ありません。お嬢様。
僕のせいでまたご迷惑を……」
朱志香「い、いやいや。
嘉音くんは悪くない!全然悪くない!」
戦人「そうそう。
別に嘉音くんは悪くないって」
朱志香「お前が言うなあああああああああああああああああああああ」
紗音「朱志香様、お茶をどうぞ」
戦人「そうそう。
ちょっと落ち着けよ」
朱志香「ずず~。ぷはあー。
あー、畜生。
戦人、テメエ冒頭のお返ししやがったな」
戦人「さあ何の事やらだ。
で、まだみんな話す事あるか?
無けりゃそろそろお開きだな」
譲治「そうだね。
まずはプレイヤーのみんな今回もどうもありがとう。
前回の話から随分と物語は進展した、と言っていいと思うけど。
どんな感想を持ったかな?
多分魔法の直接的描写にかなり驚いたんじゃないかな。
あれが本当だとしたら魔女を信じるしかないけどね。
でもきっとみんなはこんな事ではへこたれないんだろうな。
この物語がどこまで続くか分からないけれど最後までみんなが付き合ってくれる事を願っているよ。
じゃあまた、次の話で会おう」
朱志香「こ、今回は色々恥ずかしいとこを見られちゃったな。
あはは……
ま、まあアタシのライヴはさすがに今回限りだと思うけど。
でも、アタシと嘉音くんの関係は次からはちょっとは進むのかな、なんて………
あっはははははは。
わ、忘れて。今の無し!
本筋はあくまで魔女の正体を暴く事だもんな。
みんな諦めずに頑張れよ!
なんせ戦人の野郎は頼りねえからさ。
アイツに任せてたらアタシらは何回殺されるか分かったもんじゃねえ。
頼むぜ、右代宮家の命運君らに委ねた!」
真里亞「きひひひひひひひひひひひ。
みんなさすがに納得したんじゃない?
ベアトリーチェは"い"るんだよ。
魔法は実在する。
今回は惜しかったよ。
戦人があのまま屈服していれば真里亞たちは黄金郷に招かれていただろうにね。
まあいいよ。
運命の輪は既に閉じている。
誰もそこからは逃れられない。
ニンゲンどもがどう足掻こうが全ては決まっているのさ。
それでも挑むというなら好きにするがいいさ。
ベアトリーチェは寛大だよ。
君らが遊んで欲しいというならどこまでだって遊んでくれるさ。
彼女は無限の魔女だからね。
きひひひひひひひひひひひひひひひ。
私はそれを楽しく見させてもらうよ。
きひひひひひひひひ。
ニンゲンどもが敗北する様をね。
きひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ」
紗音「みなさま『うみねこのなく頃に』プレイしていただきありがとうございます。
右代宮の家に仕えております使用人の紗音と申します。
私の立場からはベアトリーチェ様を否定する事は出来ません。
また私の力に関しましても詳しく申し上げる事は出来かねます。
ご了承ください。
みなさまに申し上げたい事は一つだけ。
この世界は愛に満ちています。
その一事だけは信じていただきたく思います。
ではみなさまご機嫌よう」
嘉音「ねえさんの言った通り僕らの力に関しては申し上げる事は出来ません。
その事については申し訳なく思います。
……僕から皆さんに伝えたい事は特にありません。
僕は所詮ただの家具ですから。
家具に意思などありません。
家具はただ努めを果たすのみ。
みなさまを楽しませるために踊るのが役目というならそう致します。
僕に出来るのはそれだけですから…」
戦人「な、なんかやりづれえな。
嘉音くん本当に平気か?
……まあ人には色々事情があるわな。
プレイヤーのみんなは今回の話読んでどう思った?
『赤き真実』やら魔法戦闘やら何かごちゃごちゃ出てきて混乱してねえか。
安心しな。
次の話じゃ俺が何もかも解決してやるさ。
俺は絶対に諦めねえ。
魔女なんて認めねえ。
魔法や超能力みてえな胡散臭えもんで俺達の家族が殺されたなんて納得できるわけねえだろ。
ベアトリーチェが姿を現してくれたのは好都合だぜ。
これで直接やつをぶん殴れるってもんさ。
いいか。
何度でも言うぞ。
完璧な密室なんぞあるわきゃねえ。
ニンゲンには不可能な犯罪ならそれは誰にも不可能ってことだ。
魔女を名乗る詐欺師なんぞにもな。
次だ。
次の話でキッチリ片をつけてやる。
待ってろよ、ベアトリーチェ。
見てろよ、みんな。
次回でこの物語は完結だ。
右代宮戦人の活躍刮目して見やがれ!」
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