| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十四話 マルセイユからその五

「この島では何よりもより実力重視になります」
「教育を受けていても門閥優先だとな」
「家柄はよくても無能な大臣が多くなります」
「それはやばいな」
「例え下級貴族や低い職の聖職者でもです」
「優秀ならな」
 久志も述べた。
「登用出来るからな、高官に」
「試験制度によって」
「だからいいんだな」
「我々の世界ではキャリア制度もっと言えば」
 順一がここで言うものはというと。
「フランスの高官ですが」
「あそこ日本より遥かに酷いんだよな」
「はい、日本のキャリア制度よりもです」 
 日本で批判されているこの官僚制度よりもというのだ、キャリア組ばかりが出世していくというこの制度よりもだ。
「遥かに酷く」
「政府の高官とか政治家とかな」
「ほぼ全てがです」
「その制度で成功した奴ばかりだってな」
「こうなるとです」
「まずいよな、それはそれで」
 久志も思うことだった。
「本当に」
「はい、ですから」
 それでと言うのだった、久志に対して。
「そこまでは極端だとよくないですが」
「それでもか」
「はい、試験制度で優れた人材を登用する」
「その制度は必要か」
「そう思います」
「そういうことか、じゃあ試験制度もな」
「取り入れていきましょう」
 順一は久志にあらためて言った。
「有能な人材の登用と貴族の専横を抑える為に」
「あと聖職者もだな」
「彼等も抑える為にも」
 宗教の政治への介入、これを防ぐ為にもというのだ。
「そうしていきましょう」
「よし、これもほぼ決定だな」
「旗揚げの時は」
「後は爵位の高い貴族や高位の聖職者をどう言いくるめるかか」
「そんなの能力あったら合格しろ、でね」 
 源三が言ってきた。
「言えばいいし」
「相応しいなら合格出来るだろ、でか」
「やっていけばいいよ。こっちも貴族制度は否定しないけれどね」
「やっぱり有能な人材雇いたいからな」
「教育を受けている貴族達の中でもね」
 政治が出来る者達の中からさらにというのだ。
「有能な人材集めたいし」
「それならな」
「もうね」
「試験制度やってか」
「大貴族が何か言っても」
「合格しろ、か」
「それでいいと思うよ、まあどうしても逆らうなら」
 そうした大貴族がいるならとだ、源三はさらに言った。
「もうその場合は仕方ないけれど」
「攻めてか」
「降すしかないよ」
「それが政治ってやつか」
「うん、けれど本当に良太の考えいいね」
「試験で人材選ぶことはか」
「これは本当に貴族や聖職者の専横抑えられて」
 そしてというのだ。
「有能な人材も入るから」
「やっぱり取り入れるべきだな」
「うん、科挙はそう思うといい制度だったね」 
「後で結構言われたけれどな」
 儒林外史という書では専門的に批判されているし聊斎志異についても批判されている、この制度もこの制度で問題があったことは事実なのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧