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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百七十一話 動物園の熊達その十三

「狼より怖いわ、パンダは」
「狼よりもでござるか」
「熊だから。狼は人を襲わないから」
「あっ、そういえばでござる」
 ここでマルヤムさんも気付いた、狼のあることに。
「狼から犬になったでござるな」
「そうよね」
「猪から豚になってでござる」
「狼からね」
「犬になっているでござるな」
「だからね」
 それでなのだ。
「狼は実は人を襲わなくて」
「そのことを考えるとでござるな」
「パンダは狼より怖いわ」
 実は熊のこの生きものはだ。
「特にニホンオオカミと比べたら」
「ニホンオオカミよりもでござるか」
「狼の中でも小さいし」
 何でも狼といっても身体の構造やらが普通の狼とは違うらしい、森に住む狼はシベリア等にもいるけれどどうも普通の狼ではないらしい。
「習性もね」
「大人しいでござるか」
「そうなの、実際に今発見されて」
 そのドリトル先生にだ。
「保護されているけれど」
「大人しいでござるか」
「飼育もその分楽らしいわ」
「熊よりもでござるか」
「他の狼よりもね」
「そして狼自体もでござるか」
「大人しいのよ」
 人を襲わないというのだ。
「相当に餓えていないとね」
「まさに犬でござるな」
「まだ時間あるし」
 動物園の閉園時間までだ、それで友奈さんはマルヤムさんだけでなく僕にも顔を向けて言ってきた。
「今度は狼のコーナーに行く?」
「そうだね、まだ時間あるしね」
 僕も自分の左手の腕時計を見て時間をチェックしてから友奈さんに答えた。
「それじゃあね」
「狼のコーナーにね」
「これから三人で行って」
「狼を見ましょう」
「そうしようね」
「ではでござる」
 マルヤムさんも頷いて言ってきた。
「今から」
「狼のコーナーに行きましょう」
 熊の次はこの獣だった、僕達はそちらにも足を向けた。そうして今度は狼達を見るのだった。実は大人しいこの獣のところに。


第百七十一話   完


                 2018・1・8 
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