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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百七十一話 動物園の熊達その八

「しっかりしていないとね」
「動物園にいてもでござるな」
「油断していたらね」
「いなくなるでござるか」
「病気には気をつけて」
「そうしてでござるな」
「子供も作っていかないと」
 そうしていかないと、というのだ。
「本当にね」
「いなくなるでござるか」
「パンダと一緒よ」
 この動物園にもパンダがいる、それで人気者になっている。
「まさにね」
「ううむ、パンダは大事にされているでござるが」
「他の生きものもよ」
「大事にしないと」
「いなくなるわ」
 つまり絶滅してしまうというのだ。
「そうなってしまうわ」
「深刻な問題でござるな」
「本当にね」
「どの国もでござるか」
「ええ、気をつけないとね」
「いなくなるでござるか、では」
 ヒグマを見つつだ、マルヤムさんはしみじみとした口調で話した。
「遊びで素手で戦って倒すなぞということは」
「しないことよ」
「そうでござるな」
「生きているんだし」
 ヒグマ達も他の生きもの達もだ。
「だからね」
「魂があるということでござるな」
「キリスト教では生きものには魂がないというけれど」
 この辺り宗教観の違いだ、日本ではあらゆる生物に魂があると考えている。生物どころかものにさえた。
「それでもね」
「ううむ、実はイスラムでもでござる」
「動物の魂については」
「拙者は考えてこなかったでござる」
 マルヤムさん自身はというのだ。
「どうだったかでござるか」
「それはなのね」
「拙者の不勉強でござる」
 友奈さんに申し訳なさそうに話した。
「どうにも」
「そうなのね」
「ジンはいるでござるが」
 イスラム教の精霊だ、アラジンと魔法のランプのあの精霊もそうだ。ゲームでも敵だの召喚モンスターなので出て来る。
「ちゃんと」
「ジンはなのね」
「いるでござる」
 マルヤムさんはジンについては断言した。
「コーランに出ているからにはでござる」
「実在するのね」
「そうでござるよ」
 コーランに間違いはない、イスラム教の教えではコーランはそこまで絶対視されていてマルヤムさんもそう考えているのだ。
「ジンは存在するでござる」
「そのこともわかったわ」
「それは何よりでござる、ただ」
「動物の魂のことは」
「拙者は不勉強で」
「よくわからないので」
「そうでござる」
 マルヤムさんはこのことは残念そうに話した。
「これから学んでいくでござる」
「そうするのね」
「はいでござる、それで次は」
 ヒグマの次に見に行く生きもののことをだ、マルヤムさんは聞いてきた。
「どの生きものにするでござるか」
「ホッキョクグマかな」
 熊を見て回っているしだ、今度は僕が提案した。
「次は」
「シロクマでござるな」
「そう、それでね」
 ホッキョクグマの次もだ、僕は考えて言った。 
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