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妖精のサイヤ人

作者:貝殻
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Prologue_remake:世界は甘くなかった

 
前書き

願ったのは一度目とは違い刺激的で冒険性の溢れる新たな人生。
魅せられたのは闘争に楽しみを見出し我が道を歩む戦闘狂の武道家、或いはサイヤの戦士。
その男に憧れ、踏み出すのは、新たなサイヤとしての人生。

それはそれとして…今自分のいる場所って魔導士がありふれているんだけど、本当にDBワールドでいいんだよね??え、違う?


by転生新サイヤ人 

 

その地は既に死が蔓延していた。
全ての自然が、動物が、植物が生はなくどこを眺めても''死''だけが残っている。


其れ等は寿命としてそうなっていたのならばマシなのかもしれない。
動物たちはまだ活動のできる見た目だった。老化などなっておらず死んでおり、その目を見開いた状態で、まるで何かに驚愕を最期に地に伏していた。
その死骸には傷もなく、突然死をを迎えて。

だが、この場を見て目に留まるものがあった。
それは地面が抉られた場所があり、それは一つではなく別々の場所にも存在している。
何かが落ちたのか、それとも爆発したのか分からない。
動物は傷一つなく、木々も死んでいて地面も何ヶ所が抉られている。どこも通常じゃないような状態なのは見ても分かる図だ。

その森に続いて、少し離れた荒野がある。
静かに死に至った森とは違い、荒野から何かが大砲を撃つような音が響く。
それも一回などではなく、一瞬に付き何度もだ。
大砲一つではありえないような音であり、まるで数々の大砲があると思われても仕方ない。

その音が生まれる場所は、大砲音が響き続いている。だが、大砲らしきものもなければ誰も居ない。
ただその音が鳴っていってるであろう場所は急に爆発したかのように弾きが続く。
音が鳴る度に岩も壊れ、地面は抉られる。
そんな未定的な現象は常人では理解することができない。

――常人、では。

誰も居なかったであろうその場に、瞬時にて二人の男が姿を現した。

一瞬において現れた男二人は腰を引き締めて拳を互いに突き出している。
男二人の拳は互いに力で押し合っているのか、拳は振動している。
それだけで終わらず男二人の周り紅いオーラと黒いオーラを纏っており、大砲音によって弾けていた岩や小石は重力と反して宙に浮き始めた。

同じ動作で拳と拳の振動は止まず、黒い服をしている黒髪の少年はその若々しい顔を楽しげな不適の笑みを浮かべて目の前の男を見据える。
眼前の敵に期待するかのような表情で。
反対にもう一人の男はボロボロの姿をしている。紅い炎のようなオーラを身に包み、そのオーラと同じ色した髪を揺らしながら目の前の男を見据える。
だがその顔は息苦しそうにしており、息がきちんとできていないかのように見える。

黒髪の少年は拳を離してすぐさま目の前の男を横蹴りを放つ。
紅髪をした男はそれを避けるように上半身を後ろへ倒し、片手を地面につけて勢いよくサマーソルトキックを相手の顎へと的中させる。
黒髪の少年の顎に痣ができ血を流すも、そんなもの知ったことではないと言わんばかりに片手に''黒い炎''を纏わせて紅髪の男へと投げ放つ。

「――フンッ!!」

迫りくる黒い炎に対し回避をしたくも放たれた距離によりその行動を阻止されたもの当然。
紅髪の男は両手を上に上げ、体内から己の力を炎のようなエネルギーを纏い凝縮させ、自身の前に平の壁へと変形させた。

「…っはあああ!!!!」

黒い炎がエネルギーの壁に衝突したその瞬間に、壁はその形が崩れ、まるで一つの球体へと変形し、黒い炎をもまとめて閉じ込めた。
黒い炎を内側へと閉じ込めた紅の球体エネルギーを片手に、敵へとお返しと言わんばかりに投げようとするも、目の前の光景には黒ではなく、''白''に変わっていた。

「なっ…!!?」

「――巧い、が少し遅かったね」

‘’白い何か''は、紅の男を包み込むような輝きを放ち、そして――






「ゲホッ…ゲホッ……スゥーッ…!」

止まぬ咳を堪えながら口を押えていた手を離し、その手に付いていた血を見つめた後に、深呼吸をする。

「まだ…まだ…せめての抵抗はしてやる…!!はああああ!!!」

男は咆哮し、その身に再び紅いオーラを纏う。そのオーラは人のサイズより、より巨大化し始める、が
男の雄叫びに合わさるように大きくなっていたそのオーラは、突然小さくなり始めた。

オーラと共に男のその声を少しずつ小さくしていくなっていった。
男の前にいる''黒い髪''に戻った少年は無表情に、冷徹にそれを見ていた。

「…神性を纏ったサイヤ人、同類かと思いきやそうではなく、かといったら僕の呪いに耐性もない。期待していたが――もう時間切れだね」

少年は男から興味を失せたように、もう男はこのまま倒れ尽きると判断する。それは少年は相対している男から感じていた力が消え失せていくことで己がかかった呪い(・・)によりこの男はもう”死ぬ”と思ったからだ。

「…勝手に期待するのも失礼…いや、大罪を犯し続けた僕が気にするのは変な話か」

少年は失望から後悔の色を顔に浮かぶ。
自身の我儘により、また一人の人間を死に至らせていたことに。
何故このようなことになったのか、最初は殺すようなことをするつもりもなかったはずなのに。

矛盾しきったその思考に、少年は再び頭を抱えそうになるがそれを耐えて再び男へと目線を向け
そして自身の右手を目の前の紅髪の男へと手を向ける。
その手からは黒い色したエネルギーのような何かが発現し、そのエネルギーを圧縮する。

「――君との殺し合いは、新たな可能性を僕に見せてくれた。とても有意義な時間だったよ。''この世界‘’で、君のようなイレギュラーが居たことに感謝すらしている。だから―――一思いに楽にしてあげるよ」

少年は目の前の男との死闘により自身の望みに近づける近道を知ることができた。
少なくとも目の前の男はそれを叶えさせてくれるかもしれない、とそう短時間に錯覚してしまった。

「君の死体をサンプルを決して無駄にしないことを誓おう…だから―――なんだこの魔力の流動は…!!!」


男に対して感謝の言葉を紡ぎ出そうとしたその時――男の雰囲気が変わっていくのを感じた。
紅かったそのオーラは蒼へと急変し男を包み込むようになっていき、最後に男のシルエットだけが残る。

「なんだ…何が起こって―――!?」

蒼いオーラとそのシルエットは次に剥がれ始め、男の姿が見えるようになっていく。

少年は息を呑み、静かにその光景を見入った。
その力に、その姿に。

男はその姿を完全に顕現する――紅い髪はオーラと同じ逆立った蒼い髪になり、目も同じ色へと変わっていった。
色だけではなく、男が纏う雰囲気も完全に別と化している。
さっきまでの神性とは比べ物にもならない程の神性の濃さと段違いの戦闘力。

荒ぶる蒼いオーラはまるで、その様は蒼い武神のようだと。

少年は神の姿を目にしたことはない。ただ呪い(・・)をもらったに過ぎず。
故に、神らしい姿を二度も魅せた目の前の男に言葉にできない程の感動を覚えた。
この男なら―――必ず自分を消滅してくれる、そう信じて。

決着(ケリ)をつけよう…!!」

蒼き武の神は、ただ冷静に言葉を告げて構えを取るのだった。
少年――黒魔道士は歓喜に震え、己のギアも上げて目の前の男と相対する。


―――この男と黒魔道士の死闘からは100年後、未だにその土地は闘いの傷跡が残されている。


○●○●○●


「う…ううん…?」

眠っていた意識が覚めていく。
目を閉じた状態からは眩しさと暖かさを感じて、もう朝が来たとすぐに理解した。
目を半目にして開け、周りを見渡す。

どこから見ても森しかおらず、目の前は陽の光が森を避けてこっちまでに届いていた。
寝惚けていた頭から、昨晩までの記憶を起こす。

「…っと…確か昨日は森に出られないからここで野宿して…後は…ここで寝てたんだっけ…?」

一応風邪を引かないように寝る時に被っていた上着を着て、立ち上がる。

「早く村でも見つけねえと……ハァ~腹減ったなぁ…」

溜まりきったストレスに耐えきれず、口から愚痴をこぼしてしまう。

最初に考えていたであろうスケジュールと違ってもはやハードモードと言っても過言じゃない生活を始めてから溜息をしない日々がない。

今世では実の両親に当たる父と母の顔も知らず、10歳になるまで面倒を見てくれた姉しか家族と呼べるものはいないこの生。
かといって悪いことばかりではなく、己が望んだ種族である、‘’戦闘民族サイヤ人‘’として生を受けたから、いいことであると受け入れている。
二つほど不満があるとすれば、何度修行しても結果が得られないといったことか。

鞄からマップを取り出し、ペンで囲んだ場所の名前を見つめながらため息を零す。
本来なら昨晩で村に着くはずが、オオカミと似た見た目をしたモンスターたちに襲われて、気が付けば向かっていた方向とは別の場所へと辿り着いてしまったのだ。
何故か強い姉の手解きのおかげでモンスターを追い払えたが、その結果が森の獣道で迷子とか洒落にならない程の大失敗をおかしたことが今の後悔である。

「どこ村だっけな…この真っすぐに進めばいいのかぁ…??」

前世の自分であったのならどうしていたか…精神的に脆いはずなので役に立たねえだろうな、と思わず遠い目を空に向けて現実逃避をしてしまう。
前世と繋がりがあるとすれば、今も失っていないあるサイヤ人に対する憧れと…

「神龍よ…できれば今呼ばないでくれよ…」

近い将来、タイムパトローラーとして呼ばれる自分を想像しながら、荷物を持ち前に歩く。
茜色の逆立ったヘアスタイル、前髪を弄りながら未来に希望を持って歩きだす。

第二の生を、転生サイヤ人として歩むオレはネロ・ハバード。
いつの日にか、神龍に呼ばれるかもしれない、魔導士たちのいる世界で旅をするサイヤ人である。



○●○●○●



SIDE:???


「ふぅ…これでいいのかな?」

村の近くにある森で私は今同じ教会で住んでくれているシスターの先生と一緒にいい薬になる雑草や花を取りに来ていた。
少しだけ村から離れちゃうけど、私みたいな年の子供でも来れる距離の森だ。迷うこともなければ森に生息している危険な生き物がいる森じゃないから心配もない、安心して来れる森だから私一人でも来れる。
今年で5歳になる私だけど、今お使いや頼み事を聞かなければならない。

私が物心が付いたときから、両親なんていなかった。
教会にいる大人たちや他の子供たちと一緒に居るときも”暖かい気持ち”になるけど、それでも満たされないときがあった。

――孤独。

教会や子供たちと一緒に居ても、何故かそれだけが消えなかった。血の繋がった人がいないという事実が、どうしても頭から離れられないのだ。
それは酷く寂しく、辛いことだ。
まるでこの世に居るのは私だけだというような気持ちになって、もっと寂しくなることがある。
だから親や兄妹と居る子を見て、少しだけ嫉妬してしまったりする。

私を家族として本当に想う者はいない、そう考えてしまう。
それでもこの村の人達に良くしてもらっているのは事実だ。先生のお手伝いをしたり、何か役に立てることをする。それが今の私にできる、恩を返す方法だ。

「―――ちゃーん!もう集め終わったかしらー?」

「あ、はーい!多分…えと、集めました!」

少し離れたところから先生の声があった。こっちが葉っぱと花を集め終わったかの確認らしい。
手に持っている籠を見る。結構な数がある花を見て、これでお願いは達成できると思う。

けれど一応確認の為に見てもらわないと、そう思って先生の場所へ足を向けようとしたその時、近くの草原から何かの音を耳に拾った。

「えっ…?」

その音に驚き、その音が発生した草原に目を向ける。
まさか、動物だろうか?ならばリスのような可愛いのだと思いたい。

だが、そこから出てきたのは私が可愛いと思っていたリスではなく――私の髪の色と似た男の子だった。

「だ、誰…?」

目の前で出てきたであろう男の子は、私より身長が少しだけ大きい。おそらく年上だろうが…敬語を使うことを忘れて先に疑問をぶつけてしまった。
なにせ突然の登場に慌ててしまったのだ。しかも見たことのない男の子、村にこんな人は居ただろうか?


私の質問に男の子は何も答えず、ただ半目で立っているだけだ。
無視…だろうか?一応声は相手に分かるように出したはず、一応また声をかけてみるべきか。

「あの――「腹…」―――え?」

「腹…へったぁ…」

そう言って男の子は倒れて―――ええ!?

「ちょ、ちょっと大丈夫なの!?せ、せんせーい!!」

エルザ(・・・)ちゃん…?どうしたの!?」


突然の事態に私は混乱し、男の子に声を掛けるも無反応なのでこれはいよいよ危ないと思い、先生を呼ぶ。

先生は私の声に反応して駆けつけてくる。私は先生がここに駆けつけてくる草原の音をよそに私はまた倒れている男の子に目を向けて、あることを考えてしまう。

(…血が繋がった家族がいたら、私と同じ髪の色なのかな)

男の子の髪は私の緋色の髪に似ているためか、なんとなくそう思ってしまった。
先生が来るときまで私は、ただ男の子を見てどうすればいいのかオロオロするだけだった。


なんとも言えないのだが、これが私と彼の出会いだった。 
 

 
後書き

プロローグをリメイクさせていただきました。
これから書き続ける話の中に、矛盾点が出てくる可能性があったもので…それと今頃納得いかなかったので新しく作らせていただきました。
では、新話の方にも取り掛かってきます。12/23より。

戦闘力=レベルとする。

ベジータ(初期):戦闘力:18000 レベル:10

ってことで、これがリメイク版プロローグとなります。
ちなみに前作のヒロイン候補にいたピンク頭と緑頭の彼女たちをヒロイン候補として外しました。新しいヒロインを入れたかった――だから石を投げんなって!!


FTワールドを強化(狂化)しましたが、もはや戦闘力が初期の悟空と同じ主人公が強さバラバラになっているFTワールドにいることでどうなるか、これからお楽しみくださいませ。できるだけ愉しませないと(使命感)

2021 1/5 編集

8年前⇛10年前に変更。
8年前にすると主人公の将来の親友と年が離れてしまうので変えました。変えないとその親友が面倒くさくなる予感しかないので(理由が適当)

 
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