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おぢばにおかえり

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第四十六話 受験が終わってその十七

「全く、そんなに図々しいと後で苦労するわよ」
「怒られてですか」
「そうよ、私だけが言ってるみたいだけれど」
「実際そうですよ」
「何でかしらね。馴れ馴れしいし」
「そう言われるのも先輩だけで」
「不思議なことよ。とにかくね」
「謙虚であれ、ですね」
「そうよ、こうまんはよくないわよ」
 おみちの教えの言葉をここで出しました。
「こうまんになったら頭ぶつけるわよ」
「戒めとしてですね」
「高くなったお鼻は曲がるでしょ」
 言いながら天狗を思い出しました、とはいってもこの場合はあの赤いお顔の天狗です。
「そうでしょ」
「そうですね、天狗になるなですね」
 阿波野君も天狗を出してきました。
「つまりは」
「そうよ、天狗になったらそうなるから」
「僕は天狗ですか」
「天狗にならないでって言ってるの」
「そういうことですか」
「そうよ、そこは気をつけてね」
 阿波野君にあらためて言いました。
「くれぐれも」
「はい、先輩が言われることなら」
 またここで笑って言ってきました。
「そうさせてもらいます」
「そういうことでね、ただね」
「ただ?」
「いえ、私が言ったらなの」
 何かそこが気になって阿波野君に尋ねました。
「そうなの」
「そうなりますでしょうか」
「私が言ったからって」
「だって僕の先輩ですから」
「高校の?」
「そして人生とおみちの」
 この二つでもというのです。 
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