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夜の烏

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第一章

               夜の鳥
 この時芥川宗介は都に自分と同じ神星である紫綾乃そして中里雄一と共にいて御所で遂に一つにした太平洋をどう治めるかという話をしていた。
 そこで芥川はこう二人に言った。
「当然仲間になった七人の神星はや」
「政でも戦でも中心になってくな」
「そや、七人共どっちも出来るからな」
 それ故にとだ、芥川は中里に答えた。
「政はこれまで通り宰相の太宰と内政担当の連中に中心になってもらうが」
「日本から太平洋の祖の範囲拡げるか」
「その用意はしてたさかいな」
「そやから行政組織大きくしてやし」
 綾乃も棟梁の座から言ってきた。
「それでやね」
「そや、後は太平洋の官僚組織を一つに再編成してや」
 そうしてとだ、芥川は綾乃にも話した。
「そのうえでや」
「統治機構も整えて」
「そうしてくんやね」
「まあ太平洋の全ての官吏を太平洋を治める仕組みの中に組み込んでく、再編成してな」
 そのうえでというのだ。
「そやからまあ一から造るんやなくてな」
「再編成やな」
「そうなるんやね」
「人がおるからな、星の奴も含めて」
 だからだというのだ。
「そうしてくで、勿論太宰や他の神星の連中ともじっくり話してな」
「それで再編成してくか」
「これからじっくりと話して」
「そうするで」
 こう言ってだ、芥川も他の太平洋の神星の面々や宰相の太宰と共に太平洋全体をどう治めていくのかを話していた、だがその中で。
 太平洋の都にもなった京都においてある事件が起こった、彼は警察機構を担当し太平洋の治安の責任者となっている海音寺喜久子からその話を聞いてまずはだ。
 首を傾げさせてだ、こう喜久子に言った。
「けったいな話やな」
「そう思いますね」
「ああ、夜急にか」
「はい、大国屋においてです」
「あの店の主が大事にしてる壺が盗まれたか」
「それもギャマンのとびきりのものが」
 喜久子は芥川にその壺のことをさらに話した。
「価値にして一万両だとか」
「成程な、主の枕元にいつもあってか」
「厳重に保管されている筈ですが」
「盗まれたか」
「そうです、夜に忽然と」
「術を使ってやないな」
 芥川はすぐにその可能性を考えた、だが。
 その可能性をすぐに否定してだ、こう喜久子に言った。
「そんな一万両もする大事なのはな」
「周りに結界を張っていたとか」
「それも厳重極まるまでな」
「そうしていました」
 実際にというのだ。
「大国屋も」
「やっぱりな」
「しかしです」
「それでも盗まれた」
「そうでした、夜に忽然と」
「そうか、それでその壺は結界は張っててもな」
 それでもとだ、芥川は喜久子にさらに問うた。
「結界の外から持ち出せることは出来たか」
「手を入れて出し入れ出来たとか」
「術は効かんでもか」
「そして動かすことは出来たとか」
 それは出来たというのだ。
「何しろギャマンの壺なので」
「磨かなあかんからな」
「はい、そうした結界だとか」
「そうか、ほな吸血鬼でかなり強いな」
 芥川はもう一つの可能性を考えた、今度はこの世界では人の種族の中の一つになっている彼等はというと。 
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