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英雄伝説~光の戦士の軌跡~

作者:トロイヌ
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第九話

 
前書き
PCいかれてデータ飛んでそれ以外にもリアルで色々あってモチベーション下げられてようやく復帰しました。
いつもより短いのは申し訳ない。 

 
自由行動日が終わり数日たった4月21日、実技テストの日がやってきた。
グラウンドに集まったⅦ組がまだ内容の知らない実技テストの事を話していると開始時刻から数分後、サラが慌てた様子もなく歩いてグラウンドにやってきた。


「それじゃ、予告通り《実技テスト》を始めましょう。前もって言っておくけど、このテストは単純な戦闘能力を測るものじゃないわ。『状況に応じた適切な行動』を取れるかを見るためのものよ。」


つまり状況に相応しくない行動か恐らく出されるであろう条件を満たさなければ戦闘時間が短時間でも評価は低くなるという事。
それを聞いてⅦ組メンバーがそれぞれ気合を入れているとサラが実技テストの開始を宣言、最初に呼ばれたリィン、エリオット、ガイウスが前に出るとサラが指を鳴らす。
すると突然Ⅶ組の目の前に傀儡めいた不思議な物体が現れた。


(あれは結社の人形兵器……何故あんな物がここに?)


周りが驚く中、カイムだけが考え事をしているとサラがその反応に答えるように話し始めた。


「そいつは作り物の“動くカカシ”みたいなもんよ。そこそこ強めではあるけれど決して勝てない相手ではないわ―――例えばARCUSの戦術リンクを活用したりすればね?」


その言葉を最後にサラは三人に準備を促すとテストの開始した。
最初の三人は前衛と後衛が上手く振り分けられており且つ仲も良好、更に旧校舎での実戦経験もあって特に危なげなくお手本とも言うべき形で試験を終えた。
その後もラウラ、エマ、ユーシスの組とアリサ、フィー、マキアスの組で試験が行われ、最初の三人よりは苦戦しつつもクリアした。
そして最後に残ったカイムだが……


「さあやるわよカイム、かかってきなさい!」

「なんでこうなってんだか……。」


グラウンドの真ん中でサラと相対していた。
そこから少し離れた場所で開始合図を頼まれたリィンが立っている。


「これって試験になんのか?」

「当然、言っとくけど真面目にやらないと補講にするから手は抜かないように。」

「……職権乱用で教頭にチクッてやろうか。」

「教頭はやめて、切実に。というかアンタが相手じゃあれを最高レベルにしてもお話にならないでしょうが。」

「まあそうだけどな。……合図いつでもいいぞリィン、始まったら離れろよ。」

「あ、ああ。それじゃ、始め!」










合図と共にサラは牽制に電撃を纏った導力銃を連射する。
これを目くらましに接近しようとしたのだがカイムは後方下段に構えていた刀を勢いよく振り上げ斬撃を放ちそれをかき消す。
そしてそのまま接近する斬撃を横にステップかわし、高速で突撃してきたカイムの振り下ろしをもう一回ステップすることで回避、その際カイムに向けて導力銃を撃つもなんとカイムはそれを読んでいたかのように首を横に傾けることでかわしサラに向けて横薙ぎで刀を振るう。
流石にこれはかわすのは無理と判断しブレードで受けるも力では敵わず吹っ飛ばされ、空中で一回転し着地した。


「全く相変わらずとんでもないわね、特にあの至近距離の導力銃をかわすなんてホント化け物染みた直感だこと。」

「俺としては試験にも関わらずあんな危険な事をするアンタに驚いたがな。」


一言二言かわすと再び二人は戦闘に戻る。
今度は二人とも高速で相手に接近、このままぶつかるかと思いきやその少し前でサラが電撃を纏い掻き消える。
結果カイムの刀は空振りに終わり、サラはそのまま時に導力銃で射撃を行いながらカイムの周囲を常人では見切れない速度で動き回った。


「(対応できはするがその時の手もあるだろう)ならばっ!」


そう呟きカイムは射撃の合間に刀を縦に構え目を瞑り集中、それと共にプレッシャーが周囲に、離れていたⅦ組メンバーにも分かるほどに撒き散らされていった。


「な、なんだこの息苦しさは!?」

「カイムが剣を構えたと同時に……!」

「何か仕掛ける気だね……!」


Ⅶ組メンバーがカイムが何かをするという事を感じられるということは当然サラも同じ、動く速度を更に上げ導力銃を射撃した後斬りかかる。
弾丸とサラが迫る中、カイムは目を開きそれと同時に刀が炎を纏う。
そして炎を纏った刀を回転しながら振るった。


「鬼炎斬!!!」


それは嘗てカイムと共に腕を磨いた剣士の技、兄のように慕い目標として何度も勝負を挑みその中でその身に受け常人よりも高い学習能力で本人には至らないまでも会得したものである。


「ちょっ、きゃーーーーーっっっっ!!!」


炎を纏った今まで以上の威力の斬撃が弾丸をかき消しサラを襲い吹き飛ばした。
ブレードで受けこそしたもの先程以上の衝撃はサラに体勢を直す事を許されずそのまま地面に落ちてしまい、サラは意識を手放した。


「俺の勝ちでいいな?」

「……え、あ、ああ……。」


愕然とするリィンに確認を取ると少し遅れながら答えた。
Ⅶ組メンバーの方を見ると全員がリィンと同じ反応をしており、やり過ぎたかと反省しながらサラを起こしにいった。










「アンタねえ、もう少し加減しなさいよね。まだ体が痛いんだけど。」

「ちゃんと加減はした。そもそも刀ではなく剣で放つ技だから威力は更に落ちているぞ。」

「そんなおっそろしいもんかましてくれた訳!?……今晩一杯付き合いなさいよ?」

「まあやり過ぎたのは否めんか、分かったよ。」

「全く……さて、みんなお待ちかねの今週末の特別カリキュラムについて説明するわね。Ⅶ組の特別なカリキュラムは、課外活動のことよ。あなた達にはこの紙に書かれている場所に行って、用意された課題をこなしてもらうわ。皆、紙を渡すから受け取って。」


先程の試合のやり過ぎの埋め合わせをカイムに約束させ納得したサラは全員に紙を配った。
紙を配られるまでアリサとフィーは一杯付き合うという部分でカイムを睨み、ラウラはその部分に思う所はあったがそれ以上に刀ではなく剣の技を見た事で今まで以上に闘争心の篭った目で彼を見つめ、他のメンバーもラウラほどではないが似たような目で見ていた。
尚エリオットとエマは武器やポジションに加え穏やかな気性ゆえにそんな光景を苦笑いしながら見ていた。
紙を受け取り詳細を見るとそこには三日後の特別実習の行き先の地名と班の振り分けが書かれていた。




【4月 特別実習】

 

A班:リィン、カイム、アリサ、ラウラ、エリオット

(実習地:交易地ケルディック)

 

B班:エマ、マキアス、ユーシス、フィー、ガイウス

(実習地:紡績町パルム)




カイムが向かう事になった場所は帝国東部・クロイツェン州にある交易が盛んな土地、ケルディック。ユーシスの実家<アルバレア公爵家>が治める土地である。
交易が盛んなのでもしかしたら珍しい食材などを調達できたりするかもしれない。
とはいえカイムとしてはそれよりも班の組み合わせを、もっと言うならB班の組み合わせを見て顔を引き攣らせていた。


「ど、どうして僕がこの男と……!」

「……あり得んな。」


案の定、当事者のユーシスとマキアスは組み合わせをみて顔を歪ませていた。
他のメンバーはどこか憂鬱そうな顔をし、フィーに至ってはカイムに変わってくれという視線を投げかけていた。
諦めろという視線を返すと頬を膨らませてプイッと横を向いてしまった。
サラはその全てをスルーし話を続けた。


「日時は今週末を予定しているわ。実習期間は2日間くらい。各自はそれまでに準備を整えて英気を養っておきなさい♪
それじゃあ、解散!」


その言葉を合図に解散し、各自寮に戻っていった。
そしてその晩……


「ほ~らカイム何してんのよ、早く注ぎなさいな。そしてアンタももっと飲みなさい。」

「飲みすぎだ、そして仮にも生徒に酒を勧める教師があるか。」


サラの酒に付き合っていた。


「こんな美人とお酒飲んでるのに反応が淡白ねぇ、やっぱり同い年くらいがいいの?」

「そんなんじゃねえよ。ただ……いやなんでもない。」


サラの言葉に否定を示した後、少し考えてそう答えた。
サラはそれを聞き暫くカイムを睨んだ後、溜息をついて話し始めた。


「アンタが何考えてるかはまあ多少は想像つくわ、『そういう事』をしてるのもね。その上で一つ言っといてあげる。……あんまり女を舐めないほうがいいわよ?アンタの想像以上に強いから。もう知ってると思ってたんだけどね。」


そう言うと手をヒラヒラさせながら階段を上り部屋に戻っていった。
残されたカイムは目の前のコップに入った酒を飲み干すとテーブルの上の食器をを洗い自身も部屋に戻っていった。


「あいつらは特殊だろうに。」


そんな呟きを残しながら……。


 
 

 
後書き
最近ガルパンを見直し始めました。
みぽりんの転校理由戦車道の健全なる乙女の育成ってのと照らし合わせるとなんかアレじゃねって思いました。 
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